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「綱渡りのドロテ」

モーリス・ルブラン作。

アルセーヌ・ルパンは登場しないけどルパンシリーズにくっついて出版されていた作品。
本作で出てくるお宝がルパンの作品中でも触れられていることからそういう扱いになっていたのですが、内容は完全にルパンものとは別です。

主人公は女性(というか女の子って感じ)で、彼女は誰の助けも借りずに独力で敵と戦います。男に守られたり庇護されたりとか、そんなことは全くなく、自分の知恵と勇気と行動力だけで危機を乗り越えます。
だからルパン的ヒーローはお呼びじゃない。
むしろルパンは彼女で、先を読む力と決断力はアッパレなほど。
作中に出てくる頼りにならない男達が皆彼女の信奉者になるけれど、それも納得というほどこの主人公は圧倒的オーラを放っているのです。
だからまったくもってルパンはお呼びじゃない。
あんなのが作中に二人もいたらかえって暑苦しいかも。



子供時代に読んだポプラ社版のタイトルは「妖魔と女探偵」、偕成社版は「女探偵ドロテ」なのですが、原題は今回読んだ創元推理文庫の「綱渡りのドロテ」に近くて、「綱渡りの踊り子ドロテ」です。
こっちの方が断然本書の中身を言い表してて良いタイトルですね。
ドロテはタイトルになるのも当然なくらい綱渡りが得意なのですが、そんなことより何より彼女の生き方が綱渡り、取る行動選ぶ行動がことごとく綱渡り的で、一瞬でもバランスを間違えたら、あるいは集中が切れたら、そこで全てが終わってしまうくらい危うい綱を渡り続けるのです。
それは彼女のこれまでの人生に裏打ちされた自信と実力があってこそで、別に無謀な博打に挑んでるのではないんだけど、読んでるこっちはドキドキハラハラ、実際ドロテは危機に何度も陥ってるし、まさに「綱渡りのドロテ」なんですよねえ。

サーカス団をやってるってのがこれまた素晴らしくて、馬車一つで町から町へと渡る生活してるもんだから、基本的に腰が軽いんですね。当時の女性にしてはフットワークが軽すぎで、思いついたら即行動、自由気ままにあちこち駆け回るのです。
これで良いとこの出身っていうのが面白くて、だからメチャクチャやっても品性はきちんと保たれてる。美人だし、包容力あるし、こりゃ男共がメロメロになるのもしょうがないって感じの女性です。

そんな彼女だから本来ならお宝に縛られるなんて真っ平ごめんだと思うのですが、今回の事件に関しては自身の父と先祖が絡むとあって、当事者の中心として積極的に行動を起こします。が、後に微妙に当事者でないことがわかり、あっさりと全てを捨て本来の自分に戻る。
この辺の筋の通し方はいいですね。
非常に都合がいいストーリーになっていますが、何者にも縛られないドロテを描くなら、最後はあれでよかったと思います。



瀬名秀明の「大空のドロテ」は本作が元になっています。
昔読んだ「妖魔と女探偵」はすっかり忘れてて、これを読み直さなきゃ「大空のドロテ」には手が出せなかったんですよね。
というわけで、そのうち「大空~」の方も読む予定。
手軽な文庫本が出ないかなーと、のんびりと待ってます。
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by teri-kan | 2013-09-13 10:10 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」1巻 公妃の宝冠

面白かったーっ!

以前にも書きましたが、私は原作でもこのお話が大好きなのです。
シャルムラース公爵がカッコいいんですよねー。
スタイルの良いイケメン、上品で洒落っ気があって皮肉屋で冗談好き。
乗馬が上手くて運転が上手くて決闘に強くて女のコに優しい。

なんてパーフェクトな男なんだー!
もう最高です、シャルムラース公爵。
大好きです。愛してます。

うん、まあ、ルパンのことなんだけどね、ようするに。
女に弱くて挑発に弱くて大ほら吹きの自惚れやの泥棒なんだけどね。



もうちょっと撫でつけられた髪型をイメージしていましたが、マンガだからこれでいいと思います。
若々しくて活動的な青年公爵って感じ、出ています。
下まつげ(笑)がいいですね。
目の表情がイキイキしていて、とても良い下まつげです。

爆弾を持ってる時の目は素晴らしすぎて言葉がありません。
アップがすごくて悶絶しました。笑い声をたてないように必死だったです。
ルパンって感情の起伏が激しくて、狂ってる時はホントに狂ってるかのようなんですが、そういう激しさが出ていたという意味で、あのイッちゃってる目は良かったです。

ていうか、目……(笑)。
一応弱者の味方、婦女子の味方の美男子ヒーローなんですけどねえ(笑)。

まあその目も含めて、公爵のパリ屋敷でのすったもんだは私のイメージ通りで、とても満足できるものでした。
ソニアと公爵はいいですよねー。
この場面はホント好きです。

ビクトワールがもうちょっとおばちゃんだったらなおイメージ通りでしたが、赤ちゃんルパンの面倒を見てる絵がとても良かったのでこれはこれでいいかな。
絵的には若い方が華やかだし。

そうそう、この頃はルパンのお父さんってああいう設定だったんですよね。
「アバンチュリエ」でここまではっきりと書くということは、ようするに「カリオストロ伯爵夫人」はマンガにはならないということなんだろうな……。
まあ無理だろうとは思ってたけど、正直に残念と思ってしまいますね。
心情的には「カリオストロの復讐までやっちゃってよ」なので、お父さんの説明がもっと曖昧だったら先の希望が持てたのになあって気分です。



相変わらずおっさん連中の描写が素晴らしいです。
原作では全然愛着のわかないフォルムリーやグルネイ・マルタンを「いいかも」って思ってしまうのだから、漫画家の腕の素晴らしさってことなんだと思います。

早くも次が楽しみですね。
原作のショームズ登場作品はそこまで好きではないのですが、「アバンチュリエ」のショームズは面白いので期待して待ってます。
そして「奇厳城」、「813」か。

今も時折見せるルパンの狂気が「813」では全開になります。
「813」の狂気はギャグでは済まされない、ホントにホントの狂気。
悪人と善人のバランスがこれからどうなっていくのか、今後の「アバンチュリエ」に大期待です。
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by teri-kan | 2013-08-23 10:18 | 漫画 | Comments(0)

「アバンチュリエ」5巻

金髪婦人事件解決。

原作よりもマンガの方が面白かったです。
絵があるからですかねえ。当時のパリの建物、調度品、生活ぶり、それらがとても細かく描かれているからとてもわかりやすかったし面白かった。
「金髪婦人」の犯罪はパリの普通の生活の場が舞台なので、そこが豊かに表現されていると俄然面白くなるんですね。
原作で単行本半分のお話がかなりなページ数のマンガになりましたが、分量もさることながらそれ以上に充実した絵情報満載の内容だったと思います。

ショームズが良かったです。ガニマールも良かった。
ルパンもカッコよくて良かった。

クロチルドはやはり哀れだ。
以前ここでも書いたけど、ルパンと関わった女性の中で最も哀れ。
ていうか、クロチルドって余命わずかの女性だったっけ?
なんか記憶があやふやです。



「アンベール夫人の金庫」をここで入れるのはいいことなんじゃないかと思いました。
次は「ルパンの冒険」の宝冠事件だし、ここで下町の下層の生活を描いておく意味はあるかなと。
で、「ユダヤのランプ」「奇岩城」とこれから続くそうだけど、この並びでいくならその次は「813」かなあ。「813」ならショームズを絡ませられるし。
で、それから外伝風に「水晶の栓」。もしくはいくつか短編。

なんとなく恋愛風味の強いものはとりあげられないような気がするし、あまりオジサンになってからのものもとりあげられないような気がするし、となると上記の作品が妥当だろうと思うし、そうすると扱う作品がもうあとわずかということになって、なんだか寂しい気持ちがしてきたりする。
とはいえ単行本半分の「金髪婦人」がこれだけ日数がかかって、「ルパンの冒険」でさえ連載されるのはこの春からだし、となると「奇岩城」が読めるのは一体いつになれば~?って感じ。

はっきりいって先はかなり長いぞ。「813」なんて遠い彼方。

ていうか「813」描いてくれるのかなあ……。
あれは結構グロいしルパン人でなしだし最後はあんなだし、マンガにしてくれないかも……。
大体「813」は「虎の牙」の完結をもって初めて丸く収まるといったお話だし、個人的には「虎の牙」も描いてもらいたいんだよねえ。
ううーん、望みを語ると尽きない……。

いやまあ連載が続くだけでホントはありがたいんですけどね。
ホントにね、面白いと思うのに、なんでこうマイナーかなあ。
解せんですよ、本当に。
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by teri-kan | 2013-02-26 16:06 | 漫画 | Comments(0)

「アバンチュリエ」は一安心

アルセーヌ・ルパン漫画「アバンチュリエ」が、この度雑誌を移籍することになりました
現在の雑誌では年内いっぱいとのことで、秋にその報が届いた時からヤキモキしていたのですが、無事続けられるとのことで何よりでした。

今の某雑誌、なんでダメだったのかなあ……。
出来はとても良いと思うんですけどねえ。
ルパンは時代遅れだから? いや、それはちょっと認めたくない。
宣伝だよ、宣伝が足りなかったんだよ、と言いたいところだけど、でも実際扱いは本屋でも地味で、それって売れてないから地味なんだよね(涙)。

ポップか何かで「元祖ルパンの冒険ここにアリ!」みたいに飾ってくれたら、もしかして「昔図書館で読んだなー」程度の人がウッカリ手にとってみるとか、あったんじゃないかなあ。
なんかこう、ルパンものってなかなか盛り上がらないですよねえ。

まあ、そんな辛気臭い話はもういいのです。
せっかく移籍決定したのだから、ルパン好きはそのことで盛り上がらなければ。
特に移籍第一弾として選ばれたお話が「ルパンの冒険」という願ってもない題材!

以前、当ブログでも書いたのですが(「ルパンの正しい薦め方」)、このお話は初めてルパンを読む人に大変オススメなのです。
細かい理由は「ルパンの冒険」にも書いているんですが(注:ネタバレ大アリです)、ルパンの(可愛い方の)魅力がふんだんに盛り込まれてるんですね。ファンにならずにいられないってくらい魅力的に。
ストーリーも古典的な泥棒モノで、変身が得意な泥棒ならこの手のお話がなければウソだろーってほど基本中の基本。
ニヤニヤしながら読めること間違いなしの王道ストーリーなのです。

これを移籍第一弾とするの、全くもって、大変、非常に、正しいと思います。
そしてこれを作者がどう料理するのか、ホントーにホントーに楽しみです。
私の感想は「ルパンの冒険」もそうだし、作中に出てくる女主人公について書いた「ソニア・クリスチノフ」もそうなんだけど、ちょっと乙女(笑)な思考に浸りすぎてるんで、もうちょっとだけハードな雰囲気のマンガを楽しめたらいいなとか、今から思っています。

とにかく、雑誌が決まって良かった。
メデタイメデタイ。
私は単行本派なので、読めるようになるには随分先まで待たなければならないのですが、作者には是非元気に頑張ってもらいたいものです。
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by teri-kan | 2012-12-28 10:33 | 漫画 | Comments(0)

「ルパン、最後の恋」を読みました

これは是非学校図書館に収めるべきではないでしょうか。
フランスも是非是非!
それくらいここに出てくるルパンは素晴らしい。
今の世にも通じる、いや、今だからこそ大事だと思われる理念を、このルパンはテレもせず語り、大いに実践しているのです。

そりゃ若い頃のルパンは泥棒上等、詐欺上等、性格に問題大アリの大悪党です。フランスがお子様に読ませたくないというのもよくわかります。
が、だからといってそれまでの彼を否定して「ルパン、最後の恋」だけを薦めてもダメです。
初仕事からの彼の冒険を一つずつ噛み締めてこそ、この心境に到達したルパンに「ふおおおお」と感動するのであって、いやー、ホント、ルパンいいこと言うなあ。国家に対して個人が持つ根本的な不信感、嫌悪感、それとは対極に位置する個人の自由な魂、そこんとこに言及するクライマックス部分のセリフはね、ホントにとってもいいですね。

ていうか、ルパンファンはそういうのが好きな人達なのかもしれないな。だからルパンのファンなのかもしれない。
自分で言うのもなんだけど、ファンもきっとロマンチストなんだよ。
で、世の中ロマンチストは結構な数いるんだ、うん。



というわけで、ここからはそんなお話の内容の感想を。
以下はネタバレ大有りです。

感想はここから
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by teri-kan | 2012-09-20 10:51 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「アバンチュリエ」4巻

嫌がらせをさせたら世界一だよなールパンって。

ということをしみじみ感じた4巻でした。
ホントーに性格悪いよね(笑)この人。

なんだか小説読むより性格の悪さが三割増しになってるような「アバンチュリエ」のルパン。
でも相手がショームズですからね。遠慮はいらないぜ。
真面目で実直なガニマールがやりこめられるのは悲しすぎるけど。

4巻はとうとうホームズ、もといショームズとの全面対決。
金髪婦人をめぐる世間を巻き込んだ大騒動のお話です。

マンガはやっぱり楽しいですね。
「無念」の掛け軸とか、パスタを口から吹き出すルパンとか、いろいろと細かくて面白い。
レストランでエラソーに熱弁ふるってたのにショームズの姿を見た途端小さくなってるのも笑える。
汗ダラダラなのがいいね。
開き直るのは男らしいぞっ。

小説の方ではただの無能っぽい印象のウィルソン君がいい味出してて、レストランでもいい人っぷり全開で、ルパンの別れ際の言葉じゃないけど「こんな相棒がいて羨ましいですよショームズさん」でした。
まあ、ルパンはこの後まんまとウィルソン君を偽伝言でハメちゃうんですけどね。
あれを念頭において「こんな相棒がいて羨ましい」のルパンのセリフをかみしめると、ルパンの人の悪さがしみじみと感じられて、「ママはそんな子に育てた覚えはありません!」って言いたくなるくらいです。
ビクトワールの嘆きが聞こえてきそうだよ。坊ちゃんにも困ったもんだ。

なんでか知らないけど、「アバンチュリエ」のルパンを見ていると、いかにも若者だからかこっちが年くってるからか、どーも母のような気分になっていけません。
なんでですかね。ルパンの感情の上げ下げが激しいからかなあ。
表情が絵でわかるからというのもあるだろうけど、小説を読んでた時は、文体のせいもあってか、若いとはいえカッコいい大人のお兄さんって感じだったのに、「アバンチュリエ」のルパンはね、なんだかいろいろと心配で、気分は「おーいやりすぎるなよー」なのです。
初期作品はルパンも若いし、とりあえず普通の泥棒だからですかねえ。
これが「813」以降だとはっきりとした凶悪な敵が出てくるので、「遠慮せずにやっておしまいなさい」になるんだけど、この頃はねえ……宝くじの先生とかお気の毒すぎますもんねえ。

とにかく、4巻も楽しいルパンでした。「金髪婦人」に関しては原作より完全にこっちの方が好きかも。
5巻も楽しみだー。
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by teri-kan | 2012-09-07 10:24 | 漫画 | Comments(0)

「ルパン、最後の恋」 フランスで出版

5月22日、とうとうフランスで出版されました。

早く日本語訳が出ないものですかねえ……。

とはいえ、どんな内容なのか、ちょっと不安。
この一つ前の作品「ルパン最後の事件」がいろいろと微妙な内容だったので、あまりムリヤリな話じゃなけりゃいいなあというのが正直な気持ちです。

でもルパンが貧しい子供達のために教師をしているというのはなかなか良い設定。
ルパンと子供の大群の組み合わせ、どんな雰囲気なのか興味ありますね。



なんだかんだでNHKがニュースにしてくれるわけだし、アルセーヌルパンはそれなりに話題になる本だということで、これを機会にルパンブームがささやかながらでも起こってくれないものかと、ファンとしてはそちらに期待してしまいます。
新訳の発表とかさ、ないものですかねえ……。
「813」だけでも21世紀風な翻訳で読んでみたいぞ。
もう前々から言ってるけど、今風な言葉遣いの「813」カモン!

孫の3世はいまだに大人気だし、少なくとも日本では(まあ海外でも)アルセーヌルパンへの間口は結構広いと思うんですよね。とっつきやすいとは思うんです。
だから何かのきっかけがあれば多少なりともまた盛り上がるんじゃないかと思うんだけどな。

マンガの「アバンチュリエ」はいいセンいってるし、これはこれで地道に続けていってもらうとして、やっぱり映画かな。映画界に頑張ってもらうしかないかも。
前の「ルパン」はもうあまり考えずに、楽しくてスピード感があってウキウキな新しいルパンの映画を作ってくれれば、きっとルパンの人気は上がるはず。

馬車がカポカポいってる雰囲気のシャーロック・ホームズでさえ、ガイ・リッチーにかかればあれだけスピーディーな笑える映画になるのです。
バイクと飛行機の時代の女たらしの映画が楽しいものにならないはずないってことで、もー頑張ってよ、映画の人、って感じです。

是非頑張って、そして日本に新しい訳のルパン出版を!

なんとかお願いします……。
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by teri-kan | 2012-05-25 11:05 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)

「アバンチュリエ」3巻

ノッてきました。
非常にいい感じです。
これはルパンファン以外にもいけるのではないか。
加速しつつある良い勢いがビシビシと紙面から感じられます。

収録されているのは「ハートの7」の解決部分と「おそかりしハーロック・ショームズ」「赤い絹のショール」の計3編。
どれもそれぞれに面白いのだけど、まずは「ハートの7」。

犯人の顔が秀逸です。
個性的なおっさんの絵がホントに上手いですね。
ギャグ入った悪人顔のおかげで深刻さが軽減されてるのはルパンものに合ってるし、ルパンのシャレのきいた悪辣さと良い対をなしてると思います。
ルパンは夫婦の危機も救ってあげたし、ズルしてでも女性の名誉を大事にしてくれるイイ男ですね。

「おそかりし~」の方は、小説が絵になるとわかりやすくていいなあとしみじみ思ったお話。
おフランス史がふんだんに盛り込まれたストーリーで、「ハートの7」のシャルルマーニュのモザイクもそうだけど、フランスの豊かな歴史と文化がマンガだとよく理解できます。
ショームズにネガを撮られる場面は、ホントーにカシャッカシャッと撮られた絵でおかしかったです(笑)。私が原作を読んで想像していたイメージは、ショームズの脳裏に白黒反転した文字通りのネガが、服やかつらを取っ払った状態で写し撮られてるってものでした。こういう違いは読んでて面白いですね。

名場面であるネリーとのバッタリ再会シーンも、想像していたよりもルパンがカッコ悪くて良かったです。
ていうか、あそこまでカッコ悪かったっけ? あれじゃ唐草模様じゃないだけで日本のドロボウと大差ないんだけど。
なんなんだろう、あの斜め結びスタイル。ダサすぎるにもほどがある。
宝石を盗んだからというよりも、あの格好だけでダメだ(笑)。ネリー気の毒すぎ。

原作を読んだ時は、いたたまれない恥ずかしさは当然としても、もうちょっとスマートな姿だと思ったんですよねえ。
スマートであるべきだという願望が生み出したイメージだったのは認めますが、にしても絵になったら全然容赦なくて、ここは見事に幻想を打ち壊してくれた場面でした。

「赤い絹のショール」も原作が大変面白いのですが、マンガでは謎解き部分もさることながら、ルパンとガニマールの因縁がすごかったです。
因縁というか、ルパンの性格の悪さというか、ルパンがあまりにヒドすぎて、読んでてガニマールが気の毒で気の毒でしょうがなかったです。

ルパンはさ、あの愛嬌と女性へのやさしさで目が眩んでしまいがちになるけど、性格すごく悪いんだよね。本当にかなり悪いんだ。
それなのに魅力的だから困るんだけど、悪いヤツほど頭がいいってのを見事に地でいってる人ですよね。
何でも出来ちゃうし、先のこともやすやす読めてしまうし、だから平気で他人をバカにするし、これの成れの果てが「813」の、人をただの駒としか見ないあのブラックルパンで……。

あー、恐い恐い。

本当に、3巻のルパンはそれまでと比べて随分悪人ぶりに磨きがかかりました。
絵も洗練されて、顔はよりシャープに、男っぷりも上がってます。
だけどとんでもないヒトデナシ。
「おそかりし~」のお人よしお坊ちゃんがしみじみなごめるくらい、3巻のルパンはヒトデナシでした。

フランス人が学校図書館にルパンシリーズを置かないことも納得です。
今までも納得してたけど、更に納得できました。



ホント、悪人だよなあ………………好きだけど。
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by teri-kan | 2012-04-27 16:32 | 漫画 | Comments(0)

「アバンチュリエ」2巻

うむ。面白い。
1巻に続き期待を裏切らぬ出来ですが、惜しむらくは「ハートの7」が非常にいいところで終わってしまってるところ。
仕方がないけど3巻まで待つのが辛いわー。

今回は「王妃の首飾り」「謎の旅行者」「ハートの7」の三作。
どれも原作のイメージ通り。
もちろん漫画用に膨らませてあるけど、大抵のルパンファンに受け入れられるであろう程度のものだし、いいストーリーになっていると思います。

「王妃の首飾り」におけるルパンの母親とドルー・スピーズ伯爵夫人との確執は、読者にわかりやすいように少々大袈裟に描かれていますね。私も学生時代に原因があるのだろうなと思っていましたが(「王妃の首飾り」その2)、夫人の妬み根性を全面に押し出した分、「アバンチュリエ」では夫人の哀れっぷりに磨きがかかっていました。

あと、これは1巻でも思ったことだけど、子ラウールの顔が純真そうだったのがちょっと私の抱いてたイメージと違ったかな。「愛嬌はあるけど、こましゃくれた子供」だったのでね、私の中のラウール像は。
でも「警察コワイヨー」のフリなんて屁のカッパだったろうし、案外ママンのスカートに隠れてるような子供だったかもしれないなあと思うんで、純真な顔でも一応納得なんですが、目はもうちょっと大人達を睨んでくれてた方がよかったような気もします。(追記:見直したらちょっとだけ睨んでたとこありました。)
その分窓から入ってくる顔が怖すぎで、ホラー(?)と純真の使い分けは抜群だったですが。

「謎の旅行者」は良かったですね。
これは原作も面白いけど、漫画の方がもしかしたらもっと楽しめるかもしれない。
もともとルパン物エッセンスがふんだんに盛り込まれている作品で、変装がネタになってたり(別人をルパンと思わせるとこがひねりが効いてる)、汽車と車の追走劇だったり、警察官を手先のように使ったり、ルパン自身は結構焦ってるけど、明るくて痛快で疾走感があって、読んでて非常に気分がいい。

特にいいのはルパンと同じ汽車に同乗したおばさん。社会的地位のある夫を持つおばさんのあの時のあの心理は、ものすごーくよくわかります。
私でもあの場にいたら絶対ああ言うと思いますよ。「主人のお友達のこの方(ルパンのこと)の言うとおりに!」って。
あんな非常事態下で言いくるめられない自信はないし、なんていいますか、やっぱりルパンは頭の回る人なんですよねえ。
その割には簡単に寝てるところをぐるぐる巻きにされてしまうんですが、あの辺のウッカリ加減もいかにもルパンで、そういうところも合わせて面白い人だなと思います。

誰でもルパンと汽車で同部屋になってしまう可能性がある。ルパンはどこにでも出没して、もしかしたら今隣にいる人がそうかもしれない。
……なんて可能性が感じられるようなお話ですが、豪華客船じゃなくて汽車ってところがいいんですよね、これ。おばさんは災難だったけど、おばさんの不運が人事ではないと思えるところがこの話のすごくいいところ。

「アバンチュリエ」、おばさんの描き方はGOODでした。
いやホント、気の毒なおばさんだったなあ。
事件の真相を知ってもルパンを憎むに憎めないところがまた気の毒だなあ。
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by teri-kan | 2011-12-08 14:52 | 漫画 | Comments(0)

ルパン三世(TV第2シリーズ)

現在スカパーでは「ルパン三世」のアニメ化40周年企画として3つのTVシリーズと21のTVスペシャル作品を絶賛放映中。
全部を観るのは無理ながらも好きだったTVシリーズくらいは観てみようかと、このたびアニマックスを視聴契約しました。先週から始まって、いまのとこ3話鑑賞済み。全部で155話あるということだから、当分「ルパン三世」で楽しめます。

観ているとつくづく時代を感じます。
1話目は豪華客船が舞台の、どの年代にも通用するオーソドックスなルパン三世モノですが、2話と3話はすごい。特に第3話は冷戦下のベルリンの壁が鍵となる「ヒトラーの遺産」をめぐるストーリーで、いやもうね、「壁」をああいう風にギャグな話に取り込んでしまっていいんだろーかと、今更ながら余計な心配をしてしまう。
あんなんで壁を越えられるなら誰も苦労してないよと、さすがに言いたくなりますよね(苦笑)。「ルパン三世」はヨーロッパでも放映されたけど、ああいう「壁」の使われ方って許されたのでしょうか。

それでいうなら第2話の「コルコバードのキリスト像」を利用するストーリーもすごくて、あのキリスト像に車をぶつけたりヘリで吊るしてどっかへ持ってったりとか、ああいう扱いしちゃって怒られたりとかなかったんですかねえ。
今のご時世のせいかもしれないけど、「侮辱だ」とか「冒涜だ」とか言われやしないかと、観ていてハラハラしました。

でもあの時代にマラカナンスタジアムでの試合とサッカーくじの売り上げをネタにしていたというのはすごい。
今ならサッカーくじも皆よく知ってるけど、このアニメは1977年ですからねえ。当時どういうものか知ってて観ていた人って少ないんじゃないかなあ。
3話のナチスネタにしても、まるっきり荒唐無稽ってわけでもないし、今観ても上手く作ってるなと感心できる作品なんですよね。

まあ、それにしても面白いです。子供が観てもたいして意味わからなかったはずなのに、夕方の再放送を毎日楽しみにしていたのを思い出します。
ルパンはスケベだし不二子の全裸シャワーシーンもフツーに出てくるし、あまり子供が観るようなものではないと思うんだけど、でも不二子のヌードってあまりいやらしくないんですよね。むしろスタイルよくてうらやましいと、子供の時も憧れて観ていたような気がします。

不二子もそうだけど、ルパン達の自由さそのものが憧れでしたよね。
今から思えばアニメ自体が自由な気がするし、ベルリンの壁をグライダー(笑)で越えちゃう軽さがたまらなく好きですね。
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by teri-kan | 2011-08-22 11:57 | アニメ | Comments(0)