タグ:世界史 ( 38 ) タグの人気記事

「新訳 フランス革命の省察」

副題は、「保守主義の父」かく語りき。

エドマンド・バーク著、佐藤健志編訳。
PHP研究所。
1790年出版の原書の要約版です。





More
[PR]
by teri-kan | 2015-08-17 16:06 | | Comments(0)

「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告」

エマニュエル・トッド著、文春新書。
世界情勢を語れるような知識はありませんが、面白かったのでご紹介。





More
[PR]
by teri-kan | 2015-06-10 16:33 | | Comments(0)

表現の自由の説明の疑問

守り人シリーズを楽しんでいる間に、世間ではいろいろなことがありました。
その中で一つ、ずっとモヤモヤしている件について、ちょっと吐き出しておきます。
ものすごく素人っぽい話ですが、シャルリエブドの反論について感じたことです。



例の風刺画の件で、怒ったイスラム教徒に対してシャルリエブド側が、「イスラム教だけでなくキリスト教も風刺している」と答えてたんだけど、これに違和感ありまくりなんですよね。
シャルリエブドのやったことは、例えて言うなら、「俺の親父はろくでなしのバカだ」と言ってたC君が、I君をつかまえて「お前の親父はバカだ」と侮辱したようなものです。
そりゃI君は怒りますよ。
でもそんなI君に対してC君は、「俺はお前の親父だけでなく自分の親父も侮辱している」って正当化したのです。
おいおいちょっと待ってよと、こちらとしては思わずにいられません。

自分の父親に対しては、育ててくれた過程で子供本人にしかわからない鬱屈も出てくるだろうし、親子ならではの言い争いも起こって当然だけど、他人の父親を外側だけ見て侮辱するなんてありえないです。
どれだけ侮辱に値すると思っていても、その父親を尊敬している子供がいるなら、彼らに対する配慮は必要でしょう。
父親と宗教を一緒にするなと言われるかもしれないけど、根っこの部分は似ているし、むしろそういった人間的感情を無視するから諍いが起きるんじゃないですかね。
人間の本性や本能的な感情を無視して机上の空論のような理想を語っているだけでは、対立は深まるばかりではないかと思います。

フランスが権威と権力に対抗して、戦いの末に手に入れた自由を重宝する気持ちはわかるのです。戦った自分達を誇りに思うのもわかる。
でも一日本人として先ほどの親父の例をとってみるなら、「そんなに厳しかったなんて大変だねえ。親父さんを殺さなきゃやってけなかったなんてどんだけ? うちのお父さんはユルくてヨカッター」くらいのものなのです。
I君にしてみれば、「俺は親父と上手くいってんだよ、親父の言うこと聞いてるのが俺には合ってんだよ」ってところでしょうか。
厳しいお父さんに抑えつけられて、自由が欲しいーっ!!って爆発したC君とは、育ってきた環境も家庭状況も何もかも違うのです。
その「何もかも違う人達がこの世にはいる」ってことが、このC君、もといシャルリエブド側の人達はわかってないんじゃないかということが、モヤモヤ感として残るんですよねえ。

日本人にとってもフランスで勝ち取った自由はありがたく、大変お世話になっているものなので、あまり批判めいたことは言いたくないし、むしろ言えない雰囲気すらあるようですが、もうちょっとその傲慢なところをどうにかしてもらえないかなあと、この件では思います。

ていうか、なんでこんなに極端なんだろうと思いますね、キリスト教圏の方々は。
さんざん抑圧されて、とても息苦しかったから、血を流して戦って自由を手に入れた。そうなるや自由を極端に謳歌して、なんでもかんでも自由、ちょっと反論したら自由の侵害!って叫んで、そうしてるうちにフランス式自由に「ちょっとおかしくないかな?」と思う人達が抑圧され息苦しいと感じ始める。
次はそういう人達が自由を批判するための自由を得るために血を流すのか?
どうにかならないものかって感じです。

新聞っていまや権力ですからね。
もうちょっと発信の仕方には配慮をするべきだと思います。
特に一面にデカデカと絵を載せたら見ない自由を行使できない。
あれは一度視界に入ってしまったらお終いですからね。

高圧的な宗教に苦しみ、人をたくさん殺して自由を手に入れた歴史以外の歴史を持つ民族がいることを、もうちょっと理解してもらいたいものです。
そういう人達をバカにすることもやめてもらって、その上で表現の自由を謳うなら、いくらかは対立が和らぐのではないかと思います。
[PR]
by teri-kan | 2015-02-25 12:01 | その他 | Comments(0)

「肉食の思想 ヨーロッパ精神の再発見」

鯖田豊之著、中公新書。

ちょっとした欧米人への疑問が、これ一冊でかなり解決されるのではないかと思われる名著。
最近の例でいえば、アメリカのエボラ隔離政策への批判ですね。感染拡大を防ぐための隔離が人権侵害に当たるという批判が起こった件。
日本人の感覚からすると「自宅待機くらいしてよ」ってとこですが、それすら許さないといった反発がなぜ起きるのか、そういった彼らの自由への渇望の理由が、これを読めばわかります。





感想です
[PR]
by teri-kan | 2014-11-27 14:48 | | Comments(0)

「ヴァロワ朝 フランス王朝史2」

佐藤賢一著、講談社現代新書。

「カペー朝」に続く、フランス王朝史第二弾。
幸運にめぐまれたフィリップ6世から始まるヴァロワ王家の、戦争に次ぐ戦争の歴史&中央集権国家へと突き進む歴史が、各王ごとに詳しく書かれています。

はっきり言ってとても面白いです。
さすが直木賞作家。
この調子でできることならフランス以外の王朝史も書いてもらいたい。

と思ったのだけど、どの国もフランスほど楽しくなさそうである。
偏見入ってるけど、ドイツは真面目くさそうだし、イギリスは陰険そうだし、スペインは陰湿そう。
なんだかんだでフランス史はドロドロしてるけど明るいんだよね。
ホントーに勝手なイメージなんだけど、なんていうんだろう、多分国土が豊かだからだろうな。
広いし温暖。なんといっても西欧の真ん中。
良い土地にあるんですよね。
その点イングランドは教皇庁から離れた僻地の島国、天気もじめじめ、ドイツは辺境&寒い、スペインは明るいけど、陽がきつい分影が濃過ぎる上に対異教徒最前線。
なんだかんだでフランスは恵まれてるんですよねえ。

そんな恵まれてるっぽいフランス。
そのせいもあってかどうか、とにかく戦争ばかりしています。
全方位で戦争です。それが仕事といわんばかりに。実際仕事なんだけど。
イヤな時代ですね。

そんな中でもジャン2世はのほほんとなごめる。昔話で聞くだけならこういう王様の話がいい。
逆に結構腹立つのがフランソワ1世。
ダ・ヴィンチのパトロンとして有名な王ですが、あんまり好きじゃないなあ。
息子のアンリ2世の可哀想な子供時代とか初めて知ったし、こういういきさつならディアーヌ・ド・ポワティエがあれだけ愛されたのは、美貌だけが理由じゃなかったんだなあと納得できる。
歴史を作るのは個性を持った人間だということ、よくわかりますね。
王の性格がそれぞれとてもイキイキと書かれていて、勉強としても読み物としても楽しい本です。

どのようにしてフランスの中央集権化が進んだのか、その過程が面白いです。
封建領主がいる中でどうやって各地の税金を王に集中させていくのか、その流れはわかりやすかった。
なるほど、こうやって社会は熟成していくんだなと。
バラバラだった各地域がまとまっていき、ナショナリズムも生まれていく雰囲気とか、こうして読んでいると、フランス社会の変遷は必然だったのだなあと思います。
この先絶対王政がやってくるのも、ここまで読めば必然としか思えない。
でも、じゃあフランス革命も歴史の必然だったのかとなると、どうなんだろう。
革命から恐怖政治と、大量の人間が死んでしまった時代が必然だったと考えるのは、ちょっと辛いものがある。
王政の廃止は……必然だったのかなあ。
革命以降政治体制がコロコロ変わることも。
パリコミューンなんてものも出てきますし、フランスの政治の革新さというか右往左往さというか、王政が続いてる国との違いとかを、ちょっと考えてしまいますね。

国民としてはこれはしんどいんじゃないかと思うし。
第三者としてはドラマチックで面白いけど、かなり疲れる歴史をフランスは歩んでいるような気がします。
ヴァロワ朝だけでもげっそり疲れてしまいそうな、そんなゴタゴタドロドロです。
面白いんだけどね。




[PR]
by teri-kan | 2014-11-06 11:13 | | Comments(0)

スコットランド独立運動

スコットランドというものに初めて触れたのは、多分アニメの「キャンディキャンディ」でした。
バグパイプにキルト、丘の上の王子様。
スコットランド文化だと知ったのは随分後のことだけど、出会いがそれだったので、以降スコットランドにはずっといい印象を持ってましたね。

「ツーリングExp」のディーンの出自がスコットランド貴族だったとか、ジェームズ・ボンドもスコットランド出身だったとか、優秀な人材の輩出国みたいなイメージも強くて、そういうのもあってなんとなく「いいところ」という印象がありました。

だからイングランドに主導権取られて同じ国やってるっていうのは、好きでやってるならいいけど、ショーン・コネリーとか昔からものすごく熱心に独立に向けて活動してたし、それならば独立させてあげればいいのにって、心情的にはそっちの方に傾いていました。

でも今回独立が決定してたら、今頃大変なことになってましたよねえ。




続き
[PR]
by teri-kan | 2014-09-26 11:53 | その他 | Comments(0)

「聖書考古学 遺跡が語る史実」

長谷川修一著、中公新書。

「聖書に書いてあることってどこまでが事実なんだろう」という単純な興味から手にとった本です。
で、案外確定されてないことが多いんですね。エジプトやアッシリアなど周辺国がしっかりしていてそっちの記録が残っていればいいのですが、記録が乏しい時期もあったりして、特に時代が古ければ古いほど、当たり前だけど不確か極まりなかったりする。
政情の不安定さからあの地域は発掘調査もままならないし。

まあ、どう考えても最初の方は作り話としか思えないですけどね。
ただ書かれた時期の社会を反映させて先祖の物語を書いたという、その背景に説明がつけば、それは意味があります。それも立派な民族の歴史だし。
そういった説明は本書はとても丁寧で、そこら辺初心者にはありがたかったです。

古代のユダヤについて個人的に最も知りたいのは、ていうか誰でもそうだと思うんだけど、出エジプトなんですよね。
これがどこまで本当なのか、さすがに映画みたいに海が割れたと主張してる人はいないだろうけど、少なくとも大量のユダヤ人が一斉にエジプトを出た記録がエジプト側にあれば、あそこまで話を膨らませる基となった歴史的事実として納得できます。
でも、その辺まだはっきりしてないんですねえ。
本当に民族の記憶に強烈に残るような大がかりな脱出があったのか、たいしたことない事を大袈裟に脚色したのか、確実なことはまだ全然わかってないみたい。

昔読んだ本に書いてあったのですが、ユダヤだけでなくどの民族も民族固有の神を信じていて、その点ではユダヤが特別だったわけでは全然ないのに、なぜユダヤだけが強固な信仰心を持ち続けられたのか。
それは神の存在を信じるに足る普通では成し遂げられない何かが実際に彼らの身に起こったからで、出エジプトがそれにあたるのではないか。

この説明には当時大いに納得して、出エジプトは当時の人々が「奇跡だ」と思えるような形で実際に起きたのだとずっと思ってたんだけど、でも思い込みが先にくる思考の道筋はかなりよろしくないようで、本書はフラットに事実を見て判断することをこつこつと説明してくれます。

入門書って感じなんですよね。
古代のイスラエル云々に留まらず、考古学そのものに対する見方を教えてくれる本って感じ。他の歴史本を読む時の心構えにもなるし、発掘された事物を思い込みから判断することの危うさ、そうならないように自戒することの難しさを真摯に書いてくれています。

そういう意味で歴史を研究したいと思ってる人にはとてもオススメな本。高校生や大学生が読んだらいいかも。
個人的には読んだ後はユダヤの歴史は案外どうでもよくて、歴史の学び方の方に視点がいったくらいだし。

で、最も知りたい「ユダヤ人がどんな苦しい時でも自分達の神を捨てなかった理由」については、結局よくわからないままでした。
いや、本書でも説明はされてるんですけどね。選民意識があるからだって。
でもその選民意識がどこからくるのか、それがわからない。その理由になりえると思っていた出エジプトはなんだかはっきりしないものだったし。
ただ、それが実際にあったにしろそうでなかったにしろ、どれだけそれに意味を持たせられるかという、物語の創作性が大きくものを言っているのだとしたら、妄想をどれだけ膨らませられるか、それをどれだけ盲信できるか、結局そこに行き着くのかなあという気がしてくる。
ようするに思い込みの激しい民族ってことだけど。

でもそうなると、なぜ他の民族と比べてユダヤだけ際立って思い込みが激しいのかってことになって、となるとやはり奇跡的な何かがユダヤ民族にだけ起こったのだろうか、でもそれは一体何?という、最初のところに戻ってしまう。
選民意識は一度生まれてしまえば後は増幅するだけだと思うので(ユダヤ教から発生したキリスト教もその点では同じようなものでしょう)、その生まれたきっかけ、それが知りたいなあと思います。
歴史的事実がもっと明らかになればと思うけど、まだまだ長い道のりっぽいですね。




[PR]
by teri-kan | 2013-05-23 12:12 | | Comments(8)

「ロスト・シンボル」

「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」に続くラングドンシリーズの第三弾。
作者はダン・ブラウン。角川文庫。

映画化がもう決まっているそうですが、結構視覚的にグロそうです。
そういうのに弱い人は本を先に読んでから観にいった方がよいかも。
まあグロいといってもスプラッタとかじゃないですが。
でも本で描かれてるような刺青はあまり目にしたくないなあ。

フリーメイソンにやたら詳しくなれます。
そういうのに興味がない人にはつまらない作品かもしれません。
最終的には人間と神との関わりとか、かなり哲学的な会話も出てきます。
オチはまあ……こういうことかあって感じです。

本作はある意味宝探しのお話ですが、アメリカってやっぱり歴史の浅い国なんですよね。
浅い国というか人工的な国。
探し求める宝は人間の許容量を超えるもののはずなのですが、そこに辿り着くまでの過程がやっぱり人の作ったものって感じ。
人というか、現代人に近い近代人。
遠く離れた古代人じゃないんだよなー。

まあアメリカが舞台だからそうなんだろうけど、古代の古代、はるか古代の人類の知恵がなぜ超新しい国のアメリカにあるのかなとは、結構しょっちゅう思うことではある。
アメリカ人、古いものに憧れとかやっぱりあるのかね。
旧世界のお宝を新世界に持ってきたとか、どれだけ本当の話なんだろう。



いろいろな科学技術が出てきて、どれがホントなのやらフィクションなのやら、ホントにそうならスゴイけど、にしても「ええー、そんなのアリ?」みたいなのも出てきて、自分の無知をひしひしと感じました。
書かれてあること全て真に受けても大丈夫なんでしょうか。
それとも最先端科学に素直に感嘆していればいいのでしょうか。

「思考には質量がある」と言われて真っ先に思いついたのが、「ドラゴンボール」の「オラにみんなの元気をわけてくれ」は可能なんだな、というレベルなものでねえ。
元気玉の元気って精神力みたいな感じでしたよね? 念じた気というか。
地球上のみんなの気を集めて膨大な質量の元気玉を作るっていうの、だから可能なんですよね? まあ集める方法が問題ですが、思考に重さが存在するなら出来ないわけではないような。

なんか、そんなことがやたらと気になりましたね。



ワシントンDCを訪ねたことのある人には楽しめる話ではないかと思います。
そうでない人間には写真や地図の助けなしにはちょっと難しいかも。
映画はその辺の問題がクリアになるので映画向きではあると思います。
これまでの2作品はバチカンとルーブルが舞台でイメージしやすかったけど、ワシントンDCは観光地としてそこまで有名なわけではないし、ニュース映像くらいなものですからね、雰囲気を想像する材料が。

日本人にはちょっと遠いお話だったかな。
日系の人は出てくるんだけどね。




[PR]
by teri-kan | 2013-01-15 13:33 | | Comments(0)

「銃・病原菌・鉄(下)」

「銃・病原菌・鉄(上)」の続きなんですが、なんていうか、妙に長かったというか、上巻と比べると文字数以上に長かったような……。
感想もちょっと、なんと言えばいいのか、なかなか難しい。

まあ結論は結論でいいとして、そこに至るまでの過程が長い道のりでした。
無駄に、という言い方は適切じゃないけど、しかし無駄と言って言い過ぎではないだろうというくらい、無駄にニューギニアの歴史に詳しくなった感がありますね。
本書におけるニューギニアの意義については理解してるつもりでありますが、しかし、もうちょっと簡潔にしてくれたら読みやすかったのになあ。
途中、向かってる先を見失いそうになりましたよ。

とにかくニューギニアが、人種から習慣から何から何まで塗り替えられる征服を免れた稀有な地域と言われれば、なるほど、あの民族の特殊性はだからなのかと納得できます。
逆に言えば、他の地域は全て民族のオリジナリティがなくなってるか薄まってるかしてるってことで、地球の歴史、っていうか人類の歴史は、均質化・同質化の歴史なんですね。
今更な感想なのかもしれませんが。

ニューギニアやアフリカの歴史は全く知らなかったので興味深く読んだのですが、日本についての記述には首を捻りたくなるところもあって、自国民の認識と外から見る目ではいろいろと違うものなのかなと思いました。
日本が江戸時代に銃を放棄したのはとりあえず正しいとして(完全に放棄したわけじゃないけど)、放棄した理由が刀の方が武士の象徴だからというだけではちょっと説明不足なような気が。
とはいえ、周囲に脅威となる国がなかったから銃の放棄という武装解除ができたのだというのはわかります。技術の放棄は自分達だけの都合では成しえないこと、現在の原発是非論が外国の存在抜きにして語れないのを見ても明らかだし。

結局のところ人間社会は他者との関係性によって発達するし滅びもするし、人が存在する限りその軋みは存在し続けるってことなんですかねえ。
でもって軋みがある限り核なんかも存在するということで、人間社会は膨張の果てに自爆するしかないんじゃないかと、読んでてイヤな気分にもなりました。

中国ではなく欧州が世界の覇権を握った理由には納得。
多様性がある方が発展するのは確かだし。
ただ、より発展した国が遅れた地域を征服するのは歴史の必然だとしても、アフリカやアメリカの先住民に対する大々的な殺戮、奴隷化、アジアの植民地化は、何をどう言い訳しても犯罪と言っていいと思います。
欧州が力強く発展したのは結構なことなんだけど、人種的に劣っていたから征服されたわけじゃないと言うのもいいんだけど、やりきれなさが残りますね。

みんな仲良く、とは絶対にならないんですよねえ。
これから先も膨張と発展の先の自爆を免れたとしても、大きな犠牲は避けられないんじゃないかって気がしてしょうがないし、歴史を知るのは楽しいけど、知って未来が不安になるのもなんか悲しいものが。

というのが読み終わっての大体の感想でしょうか。



にしても歴史を綴るって難しいですね。
あらゆる分野の科学的数値や定説・新説をもとに昔の社会を頭の中で築いていくというのは、よほどの知識と知性がないと出来ないことだなあと感じました。
その頭の中の社会も、築き方は学者一人一人によって違うし、かといってあれもこれも読むほどこっちも余裕があるわけじゃないし、いろいろ読んだってより事実に近いのはどれなのか自分じゃ判断できないし、知りたいのは知りたいけど、限界がある頭の持ち主には悩ましいものがあります。
ホントにね、タイムマシンでササッと過去を確かめに行けたらこれ以上のことはないんですけどね。

仮に過去に行くとしたら、1000年前とか1500年前とかがいいな。
新大陸発見以前は地球がバラエティに富んでて楽しそうだ。
日本では漢字が入ってき始めた頃、日本語の話し言葉に文字を当て始めた頃が見たいし、世界中を回ってそういうのを見ることができたら楽しそうだな。

うん、いろいろあるけど、歴史を知るのは楽しいのだということを、たくさん感じさせてくれる本ではありましたね。




[PR]
by teri-kan | 2012-07-04 11:23 | | Comments(0)

「銃・病原菌・鉄(上)」

著者はジャレド・ダイアモンド。訳者は倉骨彰。
草思社文庫。

文庫本が発売されて早々に買ったはいいものの、なかなか読めずにここまできました。
下巻読了まで待ってたら上巻を忘れてしまいそうなので、とりあえず(上)のみの感想を。



本書のテーマは、なんで現在の世界はこのような世界になっているのか、です。
なぜヨーロッパが他の地域を支配することができたのか、その逆はありえなかったのか。南北アメリカ大陸の先住民が旧世界に征服されたのは、人種的にヨーロッパ人より何かが劣っていたからなのか。
……いや、そうではない、それは地形的条件、気象的条件などの自然環境がもたらしたものなのだ、というのが著者の言いたいことで、様々な分野の研究からそれを解析していくといった内容になっています。

たくさんの人間を食わせる社会を作れる環境にあったかなかったか、の違いなんですね、戦争に勝って支配者になるか隷属する側になるか、を決める条件は。
だから何千年も前から畑を作れる環境にあった方が強くなる。農業に向いてる野生植物が多く自生していた地域の方が、家畜化できる野生動物が多くいた地域の方が、そうでない地域より技術が進む。

乾期がある場所でないと農業が生まれにくいというのには「へえー」でした。
一年草でないとダメだというのも、理由を知れば「へえー」。
植物の説明のところは知らないことだらけで面白かったです。いやもうなんか、こういうことって人間として最低限勉強してないといけないことじゃないかって感じです。
現代人って漫然とスーパーで食材買って適当に料理して食事してるけど、食物は人間を社会で生きる一員として成り立たせる根本だということ、もっと肝に銘じておかないといけないんじゃないかと感じさせられましたね。

病原菌の話はすさまじかったです。
ていうか、アメリカ大陸の先住民がヨーロッパ人にやられてしまったのって病気を持ち込まれたからだったんですね。今まで武力のことしか考えてなかったです。
でも病気の方がたくさん人を殺したというはかえって悲惨な気がします。
これじゃヨーロッパ人は完全に悪魔の使いじゃないか。

実は常々疑問には思っていたんですよね。いくら武力で制圧されたといっても、あまりにあっけなく支配されすぎじゃないかって。
でも持ち込まれた病気に対する抗体が全然なかったからと言われればなるほどなあって感じで、例えば村の人間が謎の病気でバタバタと死んで生き残りが自分を含めてほんのちょっとだったりしたら、そして周囲はいつのまにかヨーロッパ人だらけになっていたとしたら、想像するだけで恐ろしすぎなのですが、もう何もかも言いなりになってしまっても仕方ないような気がします。
わけわからないうちに根底から破壊されたって感じでしょうし、気の毒極まりないですね。



欧米の白人さんって、いまだにヨーロッパ以外の地域がヨーロッパのように進化しなかったのは、その地域の住人が白人よりも劣っていたからだ、とか思ってるわけ? もしくはそういう人がまだ多くいるとか。
実はそういう人がいることを前提とした言い回しをしてる箇所が結構あって、読んでてそれが目についたんですよね。もっと事実を淡々と記述してくれるだけでいいのにって感じでした。
まあ本書の意義がまさしく「人種の優劣ではなく自然環境の違いがその差を生み出したのだ」ですから、そこのところをしつこく言うのは正しいのでしょうが、しかししつこく言わなければいけない現状が歴然としてあるということも感じさせられて、なんだかなーって気分になりました。

でも全体的には大変楽しく読めた本でした。
普通の馬は投げ縄で捕まえられるけど、シマウマは絶対に輪が首にひっかからないとか、日常レベル(?)の小ネタが、実は世界の勢力図の行方まで関わっているという、そういう一つ一つの話は面白かったですね。
確かになんで馬は家畜化されてるのにシマウマはされてないのかとか、疑問に思ってもよさそうなもんですよね。シマウマがアフリカの人達に飼い慣らされて乗りこなせるようになってたら、白人のアフリカ侵略だってそうは簡単にいかなかっただろうに……。
まあ、アフリカ先住民がシマウマ乗ってる姿を想像するのも変な感じですが。
シマウマに乗ってね、サバンナの遠くまで駈けてって、狩りも馬上から行うんですよ、手作り弓矢とか吹き矢とかで。
……んー、やっぱりピンとこないかな。



とまあ、そんな上巻でした。
下巻は文字の誕生から始まっていますが、これまた長くかかりそうです。




[PR]
by teri-kan | 2012-05-23 14:54 | | Comments(0)