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「だめだし日本語論」

橋本治、橋爪大三郎著。
太田出版。

次々と本を出されているお二人の対談本。

「日本語は、そもそも文字を持たなかった日本人が、いい加減に漢字を使うところから始まった―
成り行き任せ、混沌だらけの日本語の謎に挑みながら、日本人の本質にまで迫る。あっけに取られるほど手ごわくて、面白い日本語論」

と、紹介されている本です。




感想
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by teri-kan | 2017-06-23 10:18 | | Comments(0)

「138億年の音楽史」

浦久俊彦著、講談社現代新書。

新書としてはかなりブ厚いのですが、文章は読みやすく、ページはサクサク進みます。
音楽の本ですが、内容は楽曲紹介や作曲家紹介といったものではなく、哲学から見た音楽、神学から見た音楽、感情から、あるいは権力から、そして当然物理学から見た音楽、等々、この世にとって音楽とは何かといったことを様々な分野から解説してる本です。

こういうのを読むたび、数に強い人を羨ましく思うのですが、音そのものは物理の世界に属しているものなので、比率の美しさ等がわかれば音楽の見方どころか世界の見方も違うんだろうなあと、理数系がボロボロな自分が悔しくなります。

そういった数字音痴の人間の感想が以下に。
数には弱いが音楽は好きなのです。





音楽とは何か
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by teri-kan | 2016-08-31 11:57 | | Comments(0)

「日本語通」

山口謠司著、新潮新書。

帯の「藤原不比等がプディパラのプピチョ?」が目をひきますねー。

「はひふへほ」は「ぱぴぷぺぽ」と昔は発音していた、というのは何かで読んだことがあって、でもそれがなぜかと言うのは知らなくて、なのでそれについて書かれてある本なのかなと思って読んでみたら、なんと中身は発音だけじゃなく、タイトル通り「日本語通」な日本語全般のお話でした。
なかなか面白かったです。

普段の会話でも使えそうなウンチクとか、学生時代に読みたかったなあと思える文法の話とか、発音についての解説はちょっと難しいところもあったけど、「ほほー、だからぱぴぷぺぽー」と理解しやすい内容。
古代日本人の話し言葉だった日本語が、どのような歴史をたどって今私達が知ってる日本語になったのか、その時代時代で日本語を成り立たせるために、あるいは守るためにどんな苦労が払われていたのか、そんなことが書かれています。

古代の通訳のお話が面白かったですね。
日本人が中国に渡って学んだり、中国人の先生が日本にやってきたり、当時のスーパーエリートである僧侶の日本語への貢献ってすごいなって思えます。
仏教やお経の影響って膨大というか、中国で出来た漢字のお経だって元はサンスクリット語で書かれたインド産ということで、サンスクリットがなければ日本語も今のような日本語になっていないんですよ。
仏教とお坊さんにありがたや~な気持ちになります。

個人的には古典の文法について、せめて高校生の時にこれを読みたかったなあって感じでした。
わかりやすいんです。覚えるのに苦労してる人にはちょっとオススメしてみたいかも。
あとウンチク部分は超気楽に読めるのでここもオススメ。
やっぱり日本語って面白いですよ。
こういうのこれまで読んだことないって人にこそオススメの本です。




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by teri-kan | 2016-08-26 13:30 | | Comments(0)

「性のタブーのない日本」

橋本治著、集英社新書。

帯のコピーが全てかなあ。
「タブーはないが、モラルはある。」

タブーがないということは、人間の生理的にあまり無理してないということだから、ゲイが弾圧され続けた欧州の悲壮感なんかと比較したら、当然性的に明るく開放的で、そしてモラルがあるということは、開放的とはいえ人間関係を損なうような外れたことはしていなかったということで、「ん?これはとってもいいじゃないか」と、思ってしまいそうになる。

まあ、そんな簡単なものでもないんですけどね。
でも人間の本能や生理に無理ない生き方ができた日本人は、とりあえず幸せだったかなあと。
そんな性的に幸せノーテンキな人達だからこそ、自由な文化活動が行えてきたんだなあと。
そしてそれが現在の、とことんくだらないけどおかしくて幸せにもなれるサブカルチャーを生み出す原動力につながっているのかなあと。

早々にまとめっぽく書いてしまったけど、いやね、この本すごく面白いんですよ。
なので面白かったところを細かく書きたいんだけど、書くとどうしても下ネタばかりになってしまうというか、そのものズバリの単語をここに書くのはさすがに躊躇われるというか、当ブログの品位が落ちかねないというか(笑)、いやーそれこそが日本である、ありの~ままの~と歌うにふさわしい日本である、と言えば確かにその通りなんだけど、さすがにブログでそのままは書けないわ~、ということで、そういうのとは別に気付いたことをここでは触れておこうと思います。





野暮な長い感想
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by teri-kan | 2016-03-04 23:58 | | Comments(0)

「骨が語る日本人の歴史」

片山一道著、ちくま新書。

縄文人、弥生人を中心に、石器時代から現代までの日本人の骨格の変遷を語る本。
実際に出土されてる骨についての研究なので、とにかく科学的。
スッキリとした読後感です。

とにかく、ほとんど知らなかったことばかりで、目を開かされるような心地でした。
日本の土壌は骨の保持に適してないこと、その中で縄文時代の人骨がそれなりに残っている理由、弥生時代の人骨が限られた場所からしかまとまって出土していない事実、そのせいで一般的に弥生顔と言われている顔が大きく誤解されていること、等々、初めて知ることばかりでした。

縄文人の風貌は、いやー、これぞ日本人のベースと言われても、特徴的過ぎてなんとも言えません。
抜歯の風習には驚きましたが、確かに縄文人の顔面をこの本に書かれている通りに想像したら、とんでもなく異形に思えます。
他に驚いたのは弥生時代の人骨の発掘量の少なさ。
限られた特殊な地域から出土した骨だけを見て「弥生顔」と呼ぶのは間違いだと、日本全国で見たらむしろ縄文人っぽい方が多く出てるとか、面白かったですね。
日本人の極端な身長の低さ、階層による顔つきや骨格の違い等、「へえええ~」な事実がてんこ盛りで、これは日本人皆が持つべき知識なのではなかろうかと、読みながら思いましたです。

で、著者もどちらかというと、その知識をどう日本人へ教えるのかということを訴えたかったようで、実はこの本は大きく二つに分けて書かれてあるのですが、純粋な骨の変遷については前半のⅠ、後半のⅡではその骨の事実を基に日本の歴史教育や歴史観に意見するという内容になっています。

これが興味深かったですね。
古代と中世の区切り方とか、関東史観、司馬史観への批判とか。
それと、教科書の縄文時代の記述量が少なすぎるということ。
縄文時代に日本人の日本人たる所以が出来上がったというのに、肝心の縄文時代についてまともに教えられてないから、日本人は自分達のことがわからないのだって話。
だからいつまでも日本人の自分達探しが行われるのだと。
自然を愛でる性質、海大好きの性質、現在日本人らしいと言われているもののベースは縄文時代にあるのだから、もっと授業でそれを学ぶべきだという主張。

いやもうそれは大賛成。
いつまでたっても「日本人とは何なのか」的なテーマでウロウロしてるのもなんだし、硬直化した歴史観から一歩踏み出せたらいいなと私も思います。

その歴史の見方を変えてくれるのに人骨という事実はとても有益そう。
この本の話を学校の授業で聞いたら、きっと面白いだろうなあ。
テレビでいいので骨の特集やってくれたらいいんじゃないかと、ちょっと思いました。
本書の文章を読む限り雄弁そうな先生とお見受けするので、こんな感じで解説してくれたら、きっと皆楽しく聞けるんじゃないかなあ。




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by teri-kan | 2015-11-27 09:17 | | Comments(0)

「日本人にとって聖なるものとは何か」

副題は「神と自然の古代学」
上野誠著、中公新書。

多神教についての解説が面白かったです。
多神教とは次々に神が生み出される宗教で、神の優劣をめぐる争いによって神は上位に立ったり消え去ったりするっていうの。
次々生み出されるっていうのは、確かにそうですよね。

たま大明神の話とか
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by teri-kan | 2015-10-23 11:25 | | Comments(0)

「山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰」

吉野裕子著、講談社学術文庫。

山の神としての神格には二つあるのだそうです。
まずは蛇。
三輪山の神が蛇だったという伝説は有名ですね。
そして猪。
映画「もののけ姫」にもたくさん出てきますが、猪も山の神の象徴です。

ヤマトタケルの物語では、古事記と日本書紀で山の神が違ってて、古事記では蛇、日本書紀では白猪となっています。
この二つにはどういう違いがあるのか、何を根拠としてそれらが山の神とされているのか、それをこの本は詳しく解説してくれるのですが、正直言って猪の方は難しかったなー。
陰陽五行説が基盤になってるとのことで、その論理を一般人が理解するのは並大抵のことでは無理です。
学問上の理をベースとして、理屈で猪を山の神の象徴としてるわけなんですが、これは読んでても「覚えられんーっ!」て感じでした。
私の頭ではついていけなかったです。

一方、蛇の解説はわかりやすい。
ホントーにわかりやすい。
それでもっていちいち「なるほどー」「そうだったのかー」と感心させられる。

例えばヤマタノオロチ。
確かに記紀の描写では背中に木が生えていて、それってどういう蛇よって感じだったんだけど、この本の通り、そのままその通りの山をイメージすれば描写は全く正しく、むしろそれしかないということになります。
山の稜線のうねうね……確かに蛇っちゃあ蛇だよね。

その辺の「古代人のイメージの源泉は全て蛇」というのは、やたらめったら面白かったですね。
人間が蛇の脱皮に大いなる力を感じ、そのイメージの再現に腐心したであろうことも想像できます。
蛇を意味するヤマカガシと田んぼを守るカカシ(案山子)はカカで通じているとか(カカは蛇の呼び方)、どちらも足がないとか、楽しかったですよ。
ヤマタノオロチに娘を奪われてきたアシナヅチとテナヅチ夫婦も、それぞれ足がない、手がないの意味で、二人とも蛇からきているとか、へええええって感じ。
彼らの娘のクシナダヒメは稲田の神様ですが、蛇だったとも言われてますし、蛇の親子なら辻褄はバッチリ合う。
とにかくいろいろと面白かったですね。

この説が正しいのかどうかはわからないけど、蛇が古代の人々に敬意も恐れも抱かれていたのは確かなので、こういう考え方は十分アリなんだろうなあと思えます。
とても楽しく読むことができました。
今なお蛇の痕跡の残る日本の文化ということで、蛇からのアプローチはいいですね。
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by teri-kan | 2015-10-16 11:40 | | Comments(0)

「愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記」

ふわ こういちろう著、戸矢学監修。
講談社。

これは素晴らしいです!
古事記を楽に詳しく知りたいという方にはうってつけ。
何より可愛い。とっつきやすい。
それでいて妙に細かい(笑)。
現代につながる風習とか伝統とか、そういったものの起源が古事記にはたくさんあるのですが、それが私達の生活にどう関わっているのか、超わかりやすく説明してくれてる。
例えば三種の神器が誰によって作られ、何に使われ、どういうふうにして運ばれてきたかとか、ホントわかりやすくて親しみやすい。
どんなマイナーな神様でも祀られてる神社が実在しているとなれば、親近感もわいてくるというもの。
デカい神なら言わずもがな。
その辺のかゆい所に手が届く的な解説が見事で、しかも神の絵姿がマイナー神まで細かく描き分けられていて、いやー、これはね、ホント素晴らしいですよ。

描かれている世界観がいいのです。
何もないところから始まったというところからいい。
イマジネーションの見せどころだと思うのですが、これがキャラクターの可愛さと相まって、いい感じで表現されているのです。
タカミムスビが良いですねえ。
あのデカさ、あの顔、ドーンと存在して見守ってるという長らく抱いていたイメージが、超可愛らしく絵になっています。
国譲りの段でそれなりの大きさのはずの矢を指の腹に乗っけて「ふっ」と吹いて射返すところとか良いですねえ。
変な言い方だけど、神様だらけの古事記の中で本当の神様のように神様らしかった。

天孫降臨も良かったです。
私は「五月女ケイ子のレッツ!!古事記」の天孫降臨シーンが大好きなのですが、この本の「御一行様~」といった感じの行列も良い。
むしろどんな神様が付き従ったのか勉強になるのは断然こっちで、ニニギはもちろん神々のキャラがそれぞれに立っていて、ホント覚えやすいんですよ。今までうろ覚えだったのでこれはとてもありがたかった(笑)。

全体的に最もキャラが良かったのはスサノオかな。
超イキイキしてました。体力の有り余った無邪気でおバカな髭の生えた少年?
スサノオを可愛らしく描いたらこんなになるのかと微笑ましくなってしまう。
で、やっぱりボーッとした感じで描かれるのがオオクニヌシ。
あの容貌はなんなんですかね(笑)。何度も騙されるからああいった顔にならざるをえないのか。
そして可愛い絵柄の中でも更に可愛らしく描かれているアマテラス。
オオクニヌシの作った国をじーっと窺う顔が素晴らしい。
ずっと可愛いかったのにあそこだけ真っ黒。
文字通り真っ黒(笑)。
絵柄の世界観も顔の可愛らしさも損なわず、それでいてあの表現は良かったですね。



監修が戸矢学氏ということで、なるほどという出来であります。
戸矢氏はご自身の著書でも、日本の神話と現代をつなげたいという意図があるようにお見受けするのですが、このマンガもそういった方向で作られていると思いますね。
というか、日本の神話と日本の現代は実際につながっているのですが、それを意識していない人が大半で、是非ともそういう人達にそれを気づいてもらいたいという感じ。
全国的にマイナーな神社まで神様ごとに紹介してるのはそのためでしょう。
神社こそが古代と現代をつなぐ装置だし。
その「現代までつながっている感」が読者になんとなくでも伝われば、マンガの中の神様もまた更にイキイキとして見えてくるし、神様の質感や存在感を大きく感じることができれば、また神社にも歴史にも興味が向く。
このマンガはその辺の作用が実に良いように出来ていると思います。

可愛い絵柄で楽しくストーリーがわかって、解説が勉強になって、なおかつ現在の自分達と繋がっている感も味わえる。
古代の物語をマンガにする際の一つの良い例として評価してもいいのではないでしょうか。
何重にも楽しめる大変良い作品だと思います。
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by teri-kan | 2015-08-19 14:49 | 漫画 | Comments(2)

「私の日本地図6 瀬戸内海Ⅱ 芸予の海」

宮本常一著。未来社。
宮本常一著作集別集より。

だいぶ前に感想を書いた「古代史の謎は「海路」で解ける」を読んで思い出した本です。
古代以降の芸予(広島と愛媛)の瀬戸内海沿岸に生きた人々について書かれており、21世紀の今ではほとんど失われつつある昭和中期の風景や漁師文化など、貴重な記述満載の一冊となっています。

地元のことだからと本屋でパラパラ立ち読みをしていたら、それだけでは済まなくなって結局購入したのだけど、このシリーズはこんなのが15巻あるそうです。
おそらくどれも面白いのだろうけど、結構いいお値段なので買うとなるとフトコロ的には厳しい。
でも興味のある土地は他にもあるので、何かの機会に読めたらと思います。
特に海関係の巻は気になりますね。
瀬戸内海だけでも他にまだあるし。

この本は芸予といっても呉辺りから福山付近まで。広島湾は入っていません。
だからちょっと地味かもしれないけど、だからこそ初めて知る沿岸の漁師の歴史には興味をそそられました。
小早川氏が漁師の生活にそこまで大きく関わっていたのかと、言われてみれば「なるほどー」の世界。
小早川は中世から特に戦国時代にかけて、瀬戸内海で力を振るった武家ですが、確かに地元の漁師の協力なしには海上を押さえるのって無理ですよね。
でも協力した漁師も抵抗した漁師もいたということで、その影響が現在まで続いていたというのは、結構ズッシリくるものがありました。
やっぱり長いモノにはまかれろ?
権力者の言う事聞いてた方が便宜ははかってもらえるのは確かですよね。

漁師は漁師のネットワークがあるというか、船という交通手段を持ってるのは大きいというか、積極的に外に出ていこうという気概はお百姓さんよりはあるのかも。
昔はそれこそ船が重要な移動手段・運搬手段でしたが、そういった足を持ってる方々の生活や歴史は随分と面白いものだったんだなあという印象です。
うちの御先祖は瀬戸内海沿岸に住んでいたとはいえ、漁師とは無縁でしたから、地元とはいえ初めて知ることばかりで、それでいて知っている場所満載で、とてもおもしろく読ませてもらいました。

名もない民衆の普通の生活と歴史が著されています。
興味のある方はそれぞれの地元のものをとりあえずご覧になってみてはいかがかと。
写真もたくさんありますし、とってもオススメです。




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by teri-kan | 2015-06-23 15:42 | | Comments(0)

「古代史の謎は「海路」で解ける」

長野正孝著、PHP新書。

「日本史の謎は「地形」で解ける」の著者、竹村公太郎氏も推薦!と書かれてあったので、読んでみました。
検証すべき点や「断言しすぎでしょ」と突っ込みたくなる箇所等ありましたが、港湾・運河のスペシャリストとしての視点は面白く、こういった視点無しの歴史研究はもはや片手落ちと言うべきなのではないかと感じました。
日本は古代より海人族によって発展してきた国だというのは疑いようのない事実なわけで、それならば造船技術と航海技術、海路の開発と港の造成、そういった面からの歴史の掘り起しは必須でしょう。
というか、むしろなぜ今まで大々的にそのような視点で語られることがなかったのか。
机の上で文字だけ読んで、魏志倭人伝の倭国までの日程をアレコレ考えるっていうの、よく考えたらおかしな話でしたよねえ。

で、肝心のこの本の中身の感想ですが、内容が多岐に渡りすぎていて、いちいち細かく書けないというのが正直なところです。
ただ、出雲王国の衰退については、結構マジで恐ろしいと思ってしまいました。
国譲りの神話がどこまで本当なのか、譲った地域がどこなのかという問題はさておき、出雲の繁栄が衰えてしまった理由については、本書の説はなるほどと納得できるものでした。
そして、経済が衰えることの恐ろしさも痛感しました。
経済の衰退は国の衰退なんだなと、今更ながらに感じられて、今現在でも政治に求められてるのは第一に経済政策と景気の回復だったりしますが、やっぱりそれが基本なんだよなと思ってしまいましたね。

この本の説得力はそういったところにあると言うか、言い方が正しいのかどうかわかりませんが、日本って現在はもちろんのこと、古代からバリバリの土木建築国家なんですね。
インフラ整えるのに命かけてる国というか、日本って普通に雨が降ればそれだけで川の道筋や海岸線が変わってしまう国で、今は砂防ダムがあらゆる川の上流に作られているから黙っているうちに地形が変わるってことはなくなったけど、昔は刻一刻と変わり続けていたから絶え間なくインフラ整備に精を出し続けるしかなかったんですね。
でないと物流が即アウト、経済的に立ちいかなくなってしまうのです。
インフラ整備と日本人が生きていくことはセットで、それは自然の驚異に命がさらされる以上に、経済的に死んでしまうからというのが大きくて、今も日本は景気対策と言えば箱もの作ったり高速作ったり、「そんなに急いでどこにいく」と揶揄されながらリニア開発したりもしてるのだけど、それって二千年だか三千年だかの歴史の積み重ねによる必然であって、そういうところの納得感がですね、この本にはあるのです。

出雲や丹波といった古代の王国の王をその当時の有力産業の会社の代表者のようなたとえ方をしてたのなんて、日本の最盛期に日本株式会社と言われてたのと同じですしね。
日本って古代からそうだったんだと考えたらいろいろつながるし、古代と現代もつながります。
日本という国がどういう国なのか、更に理解が深まります。

正直言って、どの天皇が誰それといった件については、この本をそのまま鵜呑みにはできないのだけど、天つ神が天皇の一族で国つ神が庶民という分け方など、賛成したくなることの多い内容でした。
例えば住吉の神の正体とか、そう言われればなるほどーです。
全国各地の記紀に載っていない神の正体については、本書の説は結構有力なのではないでしょうか。

瀬戸内海航路を開いたそのやり方がおそらく本書のメインになろうかと思いますが、これに絡めた神武東征についての研究が重ねられることを期待したいですね。
この本だけでも納得させられちゃいますが、おそらくプロの歴史学者はいろいろと受け入れられないだろうなあと思うんで、そういう方達による更なる深い研究によって新たな発見があればいいなと思います。
瀬戸内海は身近な海なので、是非是非。
もっと知りたいことたくさんあるので。



それにしても、川を道として考えれば、水の道を水道と呼ぶのがものすごくしっくりきます。
始めて尾道水道とか豊後水道などといった名称を聞いた時は、ものすごく違和感を覚えたものですが(それまで水道と言われたら蛇口から出てくる水の通り道のことしか頭になかった)、この本を読んだらそういう名付け方があまりにもピッタリきすぎて、水道管の水道の方が新しい意味だと実感しました。
ホントに道なんですよ、道。
水の道。船の通る道。
海洋民族ってこういうことかあと、いろいろな面で納得させられる本でした。
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by teri-kan | 2015-05-07 09:03 | | Comments(0)