タグ:50年代 ( 18 ) タグの人気記事

「知りすぎていた男」(1956)

ケ、セラーセラあああー♪……と思わず歌いたくなる映画。

ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」が印象的な、そして音楽担当のバーナード・ハーマンも印象的な、ヒッチコックの良質なサスペンスです。
主演は毎度おなじみ、とっても素敵なジェームズ・スチュワート。
舞台はモロッコ、そしてロンドンと、とても国際色にあふれています。

ヒッチコックはサスペンスはもちろんラブな内容も素敵な監督さんですが、本作はラブストーリーは全くなしで、親子愛がメイン。
だからというわけでもないけれど、ヒロインは震えるような美女ではなくて、親しみやすくて歌の上手なドリス・デイです。
だからヒッチコック映画でよくみられる美女が出てくる時の緊張感はあまりない。「知りすぎていた男」はなんていうか、事件の内容は切羽詰ってるんだけど、どこかふわりとしてて品が良い。
その上品さがこの作品の一番の長所なんじゃないかと思います。

何度観てもラストシーンで呆気にとられる、というか、ガクっと力が抜ける。
あの唐突なラストのせいで事件のアレコレが一気に頭から飛んでいってしまうくらい、実はドリス・デイのお友達のインパクトは強い。
でもこのラストは観るたびに味が出てきて好きになる。最初に観た時は文字通りポカーンだったけど。

ロンドンに到着してから解決するまで1日もたってないんですね。観ていたら内容が濃すぎてそんなの忘れてしまうけど、実は映画後半は全てその日の出来事。それをつくづくあのお友達はわからせてくれて、あれは上手いなあと思う。

冒頭のオーケストラの意味も重要で、まさかああくるとは思っていなかった。
いやホント、おもしろい映画です。
老若男女、誰にでもオススメ。
[PR]
by teri-kan | 2010-12-17 11:16 | アメリカ映画 | Comments(0)

「麗しのサブリナ」(1954)

ビリー・ワイルダーのロマンチックコメディ。
主演はオードリー・ヘプバーン。彼女のお相手役はウィリアム・ホールデンとハンフリー・ボガート。

なんとも豪勢な面子ですが、当時25歳のオードリーに対してホールデン36歳、ボギー55歳。
オードリーの相手役は本作に限らず大スターが起用されるので、とんでもない年の差恋愛物語になることが多いのだけど、ホールデンはいいとしてやっぱりボギーはちと無理があるよね。
でも実際映画を観たらそこまで変じゃないんだよなー。やっぱりボギーが上手いんだと思うんだけど、良家の大人の男性って感じで、超年下の女の子との恋愛もそんなに違和感なかったです。

パリから帰ってきたオードリーはとても洗練されて美しかったけれど、個人的には行く前から超絶可愛かったと思います。ただ、パリ帰りの格好の方がお金持ちのお坊っちゃん兄弟の目には止まりやすかったかな。

この映画、観たのはだいぶ昔だけど、とにかく「カワイイなー」「キレイだなー」「オシャレだなー」と思ううちにストーリーが過ぎていったという感じでした。オードリーカタログといった雰囲気で、ボギーもホールデンも、言ってしまえば「オードリーを盛り立てる人達」でしたが、ボギーの誠実さ、ホールデンのお茶目さはやっぱり印象的でした。

ていうか、「麗しのサブリナ」で私が一番よく思い出すのは、ホールデンのお尻なんですよね。
あのお尻に起こったアクシデントをめぐるあれこれはちょっと忘れられませんよ。
むしろあれがあったからこそ「面白かった!」で終われた映画でした、個人的には。
あれがなければホントにオードリーカタログで終わっただけになってたと思います。
[PR]
by teri-kan | 2010-11-26 08:39 | アメリカ映画 | Comments(0)

「慕情」(1955)

イギリス植民地時代の香港を舞台にした、女医とアメリカ人新聞記者との、戦争が引き裂いた悲しい恋愛物語。メロドラマの代表作といってもいい映画。

主演はジェニファー・ジョーンズとウィリアム・ホールデンなんですが、先日「タワーリング・インフェルノ」を観ていてこの映画を思い出しました。二人ともまだ若くて、特にジェニファー・ジョーンズの雰囲気がいいんですよね。

「慕情」はとにかく音楽が全てといっていいくらい、音楽の素晴らしさが胸にきます。
あの丘の光景と完璧にセットになって、この映画を観たことない人でもあの場面と曲を知ってるという人はたくさんいるんじゃないかな。

本作はある年代の女性にとってはいつまでも心に残る映画らしくて、うちの母親とか大好きなんですが、以前返還前の香港に旅行に行った時も、ツアーで一緒だった女性がやっぱり「慕情」のファンで、「慕情の丘が見たい、慕情の丘が見たい」って言ってたんですよね。
どうもあの年代の女性にとっては、香港→「慕情」→ロマンチック、といった思考回路になるらしくて、今でこそ中国の香港だけど、ある時期まではエキゾチックでロマンチックなイメージを抱ける街だったのだと思います。

にしても「慕情」とはいい邦題をつけたものです。
原題は「LOVE IS A MANY-SPLENDORED THING」で「愛はとても素晴らしいもの」って感じでいいのかな。
「哀愁」とか「旅情」とか「慕情」とか、昔の恋愛映画は邦題が本当に素敵なんですよね。
こういう心情的な雰囲気を表す言葉は日本人好みなのだと思います。
[PR]
by teri-kan | 2010-11-25 10:55 | アメリカ映画 | Comments(0)

「情婦」(1957)

ビリー・ワイルダーの法廷ミステリー映画。

クリスティの「検察側の証人」(Witness for the Prosecution)が原作で、映画の原題もこれと同じ。
なぜ「情婦」という邦題にしたのか、結構問いただしたいところですが、少なくとも「検察側の証人」では色気不足っぽい感じがするのは確かかもしれません。



ビリー・ワイルダーは傑作が多く、どの作品も評価が高いのですが、その中でも「情婦」は抜群の高評価で、タイトルがイマイチだからと観ていなかった私も、今回BSで放送されたものを初めて鑑賞したのでした。

で、見終わっての感想。
やっぱり「情婦」はないだろー。いや、「情婦」と名づけた気持ちはわかるけど。

とにかく素晴らしい作品だったので、詳しくは続きで。

うっすらとネタバレあり(核心には触れてないです)
[PR]
by teri-kan | 2010-10-12 01:25 | アメリカ映画 | Comments(0)

「めまい」(1958)

高所恐怖症の元刑事が、学生時代の友人に彼の妻の尾行を頼まれるという物語。
その妻は大変謎めいていて、その危うさと美しさに元刑事はいっぺんに惹かれてしまうのだけど、そこには大きな裏事情が……といったお話です。
監督はアルフレッド・ヒッチコック。

初めて観た時は、やはりその謎に心惹かれたものでした。カリフォルニアの歴史に絡めたオカルトとも言えるミステリーは、そりゃあ刺激的で魅力的でした。
でも謎を知った上で観た二度目の時は、もう恋愛映画にしか見えませんでした。こんなにも最初から甘い雰囲気に支配されてたっけ?っていうくらい、とにかく元刑事(ジェームズ・スチュワート)がとことん恋に囚われた男でした。

冒頭の事故のせいで警察を退職してしまった彼だけど、それでも序盤はとても明るい人だったのに、ストーリーが進むにつれどんどん心を病んでいって、最後あんな風に彼女を糾弾してしまって、見ていて気の毒というか、なんかやりきれないものを感じましたね。
もちろん彼女に囚われるのは理解できるのです。で、同じような格好させたりするのも、彼女を見てたらそりゃそうしたくなっても当然だと思うのです。
現恋人に元カノと同じ服を着せるとか同じ髪型をさせるとか、普通だったら「フザケンナ!」ですが、彼女がそれに対して怒れる立場じゃないというのもね、これまたツラいんですよ。

どっちにも不幸な恋だったよなあ。



音楽が甘甘でロマンチック。ヒッチコックでは毎度おなじみバーナード・ハーマン。
映像はかなり変わっていて、いろんなチャレンジしてたんだなーという感想が素直に出てきます。

はるか昔に地上波でこの映画を観た時、キム・ノヴァクが髪を結い上げるのをバックから映していたシーンがありました。確かにあったと思うのだけど、この度BSで観たらそんなシーン全然なくて(近いシーンはありました)、もしかしたら記憶違いなのかもしれません。
「この髪型はこうやってまとめるのか」と初めて知った映画だったので印象に残ってたんだけど、「めまい」でなかったとしたら一体どの映画だ?
金髪は間違いないはずなんだけどなー。
[PR]
by teri-kan | 2010-05-31 09:26 | アメリカ映画 | Comments(0)

「裏窓」(1954)

足を怪我して自宅アパート療養中のカメラマンが、あまりの暇さによそんちの窓を眺めているうち、とある住人の不審な行動に目をとめる……というお話。

監督はヒッチコック。怪我のせいで車椅子に座りっぱなしのカメラマンにジェームズ・スチュワート。その恋人役にグレース・ケリー。

この映画はなんといってもグレース・ケリーの美しさ。
登場シーンから、もうありえないくらい綺麗で、同じ人間とは思えないほどなのです。顔だけじゃなくてスタイルもたたずまいも完璧で、もうパーフェクトな美しさなのです。
画面からほとばしる彼女の美しさに、どれだけヒッチコックが彼女に惚れ込んでいたかがわかります。そもそもこの作品ではモデルの役柄なんで、美しさが際立つ演出がなされていて当然なんですが、それにしてもホレボレするほどの美貌です。彼女だけでこの映画は観る価値あると言っていいくらいに。

ジェームズ・スチュワートはものすごく安心感のある人。
風貌がやっぱりいいんですね。見るからに信頼できそうな顔してる。

でも覗き見行為は基本的に誉められたものではありません。映画では職業柄仕方ないと納得できるけど、普通のなんでもない人があんな風にして人の家覗いてたらやっぱり嫌だなあ。
お手柄だったけど、ハッピーエンドだったけど、最後のあの姿は、さすがにちょっとバチが当たっちゃったのかもしれないと思います。

上手いオチですね。ああいうセンスは大好きです。
[PR]
by teri-kan | 2009-03-21 01:18 | アメリカ映画 | Comments(0)

「王様と私」(1956)

舞台は19世紀のシャム(タイ)王室。王子の教育係の英国女性とシャム王との心の交流を描いたミュージカル。

とにかく印象に残っているのは王の台詞「エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ」。
ふわふわドレスとステップが素敵なダンスのシーン。
古い時代と新しい時代の交代を瞬間で見事に表したラストシーン。

ユル・ブリンナーは頑固そうな、それでいて案外ものわかりよさそうな、厳しそうな、やさしそうな、なんとも魅力的な男らしい王様でした。エキゾチックという一言では片付けられないほどの風貌は圧倒的。
デボラ・カーはいかにも英国出身の家庭教師って感じの上品な婦人でしたね。


難点はあまりにも西洋目線で作られていること。50年代の作品なので仕方ないのですが、現代人の目から見れば違和感があります。タイ王室ってこんなんじゃないだろと。
リメイク版「アンナと王様」は当時の社会情勢も描かれていると聞いたので、それならば観にいってみようかと思ったのですが、どうも気がのらなくて未だに観てないままです。
「アンナと王様」は「王様と私」の欠点を克服しているのでしょうか。

リメイクものはどうしてもオリジナルの印象から逃れられないので、いまいち観るのに気が進まないというのが正直なところです。サブリナならオードリー・ヘプバーンだし、ダイヤルMならグレース・ケリー、ファンファンは絶対ジェラール・フィリップ。比べちゃいけないのだけど、どうしてもオリジナルのイメージが勝ってしまうんですよね。
デボラ・カーの包容力がジョディ・フォスターにあるのか、それとも全然違うアンナ像でいってるのかとか、興味がないことはないんですけどね。
[PR]
by teri-kan | 2009-03-16 13:21 | アメリカ映画 | Comments(0)

「波止場」(1954)

エリア・カザン監督の傑作。主演はマーロン・ブランド。
大変重い作品です。

舞台はタイトル通り波止場。そこを暴力で支配する悪辣なボスと、荷物の積み下ろしに従事する労働者達との闘いを容赦なく厳しく描いています。

マーロン・ブランドの勇気に感動。ラストがとにかく物凄い。音楽の効果もあいまって(バーンスタインです)震えるような圧倒的なエンディングを迎えます。


マーロン・ブランドは「ゴッド・ファーザー」とかの、肉とも皮膚ともいえないものが垂れ下がってるおじさんってイメージでしたが、「波止場」を観た時は非常に微妙な気持ちになったものでした。
マーロン・ブランドは、若くてもマーロン・ブランドの顔をしているのですよ。

あれには驚きました。大変特徴的な顔です。と同時にとてつもない存在感です。
この作品のブランドは本当に素晴らしい。

若き日のエヴァ・マリー・セイントも出演しています。暗い画面の男臭い映画の中で、涼しげな美貌の彼女はまるで一服の清涼剤のようです。


エリア・カザンは名作をたくさん世に送り出した巨匠ですが、赤狩り時代の一件で多くの批判にさらされた人物でもあります。アカデミー賞の名誉賞受賞時の雰囲気は異様で、TVを観ながらなんとも言えない気分になったものでした。

カザンの行為にも、名誉賞授与への是非も、どちらも私には何も言えません。
ただ、途中どんなことがあろうと最後に残るのは作品だけなのだなと、カザンのことを何も知らずに彼の作品に感動していた自分を振り返って、改めて思うのみですね。


「波止場」は素晴らしいです。
古い映画ですが、今でも観る価値あると思います。
[PR]
by teri-kan | 2009-02-26 10:26 | アメリカ映画 | Comments(0)

「北北西に進路をとれ」(1959)

TVで何度も放映しているので知らない人はないというくらいに有名な映画。
音楽が印象的。バーナード・ハーマンは「サイコ」でもそうだけど、切迫感のある曲がいいですね。

ヒッチコックの素晴らしさは言うに及ばず、ケーリー・グラントがとにかく素敵。スパイに間違えられて、殺人犯にもされてしまって、ものすごい絶対絶命で本人も焦ってるんだけど、なぜか妙に余裕があってユーモアたっぷり。彼から醸し出されるその緊迫感と余裕とのバランスは絶妙で、セクシーでありながら可愛いという、この上ない魅力的なキャラクターになっています。

そんなキャラに一役買っているのが彼のお母さんで、息子への対応がおかしいのですよ。ホントにいい味出してます、彼のママ。


オフィス街の雑踏、海辺の邸宅、国連のビル、急行の寝台車、だだっぴろいトウモロコシ畑に高級ホテルのオークション会場、ラシュモア山……いかにもアメリカな楽しめる場面が次々出てきます。危機に次ぐ危機の連続で、最後まで息がつけません。

ラシュモア山でのクライマックスは、まあよくあんなの考えたねというくらいの奇抜さ。最高に面白かったけどクレームとか来なかったのかな。偉大な大統領の顔を(映画の中とはいえ)踏んじゃってるのに。

ラストシーンは「ぶっ!」と吹き出す終わり方です。「知りすぎた男」等のラストシーンにも似た、なんじゃそりゃなエンディング。
大団円で終わるヒッチコックの作品は、変にあっさりしたラストシーンが多いですね。スッキリしていていいですけど。


この映画のエヴァ・マリー・セイントが大好きで、なんて透明感のある美人なんだと憧れたもんです。
今年のアカデミー賞授賞式で非常に元気そうな姿が見られましたが、かなりなお歳なのに背筋がピンとしててとても素敵でした。
「波止場」で助演女優賞を受賞してから55年ですよ。長いキャリアですねえ。
[PR]
by teri-kan | 2009-02-25 09:38 | アメリカ映画 | Comments(0)

「戦場にかける橋」(1957)

大傑作。

タイ・クワイ河の橋建設に携わる日本軍と彼らに使役される英軍捕虜の関係を描いた物語。早川雪洲とアレック・ギネスが素晴らしい。

いわゆる「戦場でドンパチ殺し合い」をする映画ではなく、肉親や友人を亡くして泣き叫ぶという映画でもないけれど、これほど戦争の恐ろしさを描いている作品もないと思う。敵も味方も、勝つも負けるも関係ない、「戦争をしている」という状況そのものが悪なのだと、これを観たら芯から思い知らされる。

戦争がいけないと言われる理由はいろいろあるが、人をまともでないものにしてしまうというのは、その最大の理由の一つだろう。一度その道に踏み込んでしまったが最後、どんなに理性的に考えようとしても、自分は理性的であると信じていても、それは決してそうではない。どんな人格者でも狂った世界にいれば思考も判断も狂う。よしんばそれがいくら正しかろうと、狂った世界の中での意味に置き換えられる。

その戦時下の狂気の有様を描いているのが本作で、その描き方がまあなんとも……じわじわきて身に沁みる。煽るような描き方をしていない分、本当に恐ろしく、そしてとんでもなく虚しくなる。


戦争の只中において人間はあまりにも無力だ。民間人、一兵卒はもちろん、人の上に立つ者も。
だからこそ戦争を起こしてはいけない。人が人として出来ることはその手前までだから。

戦争をすること自体がすでに人類として負けなのだと肝に銘じて、どんな場合でもそれだけは回避するよう努力してほしいものです。
映画を観終わって心底そう思いましたし、現在の各国指導者にも忘れないでいてほしいことですね。
[PR]
by teri-kan | 2009-02-22 02:37 | アメリカ映画 | Comments(0)