ソニア・クリスチノフ

「ルパンの冒険」のヒロインで、ルパンの恋人の中でもかなり特殊な女性。
泥棒だからというのが大きな理由ですが、戯曲から生まれたキャラクターというのがおそらく一番の原因だと思います。彼女はルパンシリーズのヒロインの中でも、際立ってキャラが立っているのですよ。






女の子っぽい女の子だと思いますねえ。お金持ちのお嬢さんを妬ましく思うのも普通だと思うし、公爵に憧れるのもよくわかる。結構思い込みが強くて感情的なのも若い女の子らしい。恋する気持ちなんてそれこそ丸わかり。好き好きビームが出っぱなしで、最初から公爵は彼女の心わかりすぎるくらいわかってる(苦笑)。

公爵がソニアを好きになった理由は、もちろん彼女が綺麗だからなんですが、そういった可愛らしさも大きかったと思いますね。いかにも「女の子」って感じの可愛らしさが。

案外こういうタイプ少ないんですよ、ルパンの本気の恋愛。あの人いつも女の足元にひれ伏しちゃうけど、基本的に凛とした女性が好みなんです。
でもソニアのことは単純に可愛いと思ったんだと思う。で、素直に彼女の人生に同情できたからだとも思う。


ソニアは結構単純で、感情にまかせて公爵に身の上話を聞かせるけど、実は彼女が言う通り、普通のお貴族様は彼女のような人生は理解できないと思います。
生きるために泥棒したと告白し、「どうせ蔑んでいるんでしょう?」と自暴自棄になる彼女に、名門の貴族が「君の苦しみはわかるよ」なんてこと、やっぱりそう簡単には言えないと思います。
あれはパリの底辺の生活がどんなものか知ってるルパンだからこそ口に出来る台詞で、彼の言葉は本当に心の底から出たものなんですよ。

だから公爵の愛と理解はソニアにとっては望外の喜びで、だからこそ最後公爵の部屋で彼につれなくされた時、これ以上ないほど絶望してしまうんですね。
「ああ、やっぱり」って。
公爵ほどの大貴族が自分を理解してくれるはずなんかないんだって。

ちょっとばかしあそこのソニアはウザいんだけど(苦笑)、まあ公爵も公爵で、「ソニアは僕のこと公爵だから好きなんだ。泥棒なんて嫌いなんだ」ってモジモジしちゃって、この辺「この二人、似たもの同士だな」とか「何このお似合いな二人」とか読者は呆れつつ微笑んでしまうわけだけど、自分のために逮捕を受け入れた公爵の心を知った時のソニアの喜びは、なんかすごくわかるなあ。

彼女にとって愛されることと理解されることは一緒なんですね。あんな人生送ってきたらそれも当然でしょうが、だから彼が公爵だろうがルパンだろうが他の誰かだろうが、彼女にとっては何でもよかったんだと思います。彼が自分のために身を犠牲にした事実があれば。

ただ、ルパンの名のインパクトは大きかったことでしょう。泥棒である自分を理解も何も、全く同類の人だったのだから。しかも自分より遥かにスケールのでかい泥棒だったんだから。


ルパンに抱きつく彼女に、ゲルシャールが「けっ、これだよ」ってなるところが笑えるんですが、公爵とソニアの組み合わせ、私はとても好きですねえ。
こういった若くて明るい恋愛もいいですよ。ルパンの恋愛は30代のものが多くて、かなり大人風味が強いし、かといって二十歳の恋愛はご存知の通りアレだし、ソニアとの28歳と22歳らしい恋愛はとても爽やか。

まあ泥棒同士の二人に対して「爽やか」はどうかとも思うけど。



ところで、ソニアと何かと比較される公爵の婚約者のジェルメーヌですが、読み返して感じたんですけど、あんなに侍女にきつくあたる女性を見ていて、ルパンはドルー・スビーズ伯爵夫人と母親を思い出したりしなかったんですかね。
まあジェルメーヌはただの見栄っ張りなだけだけど、でもやっぱり思いやりに欠ける女性ではあって、ああいうタイプ、一番ルパンは嫌いそうなんですよねえ。

嫌いなくせに婚約者やってるのも大変だったろうけど、いつまでフリを続けるつもりだったのか、その辺が今でもちょっと謎です。
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by teri-kan | 2009-06-02 10:27 | アルセーヌ・ルパン | Comments(0)
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