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雨天中止となったJリーグ首位決戦

後半29分(この時点で1-3)で中止となった鹿島対川崎の試合が物議を呼んでいます。
どのように再試合を行うのが一番マシか、あちこちで意見が出ていますが、ざっと見た限り4つ又は5つの案が出ているといった感じでしょうか。

1 先日の試合は完全に無効とし、再試合を0-0から90分間行う。
2 後半29分から、スコアも1-3から始める。
3 後半29分までで試合が完全に成立したとみなし、1-3で川崎の勝利とする。
4 前半45分間のみ成立とみなし、後半の45分を戦い直す。
5 試合続行を不可能にした会場側に責任があるとし、鹿島の敗戦とする。
  (この場合規定により0-3で川崎の勝利。)

これまでのJリーグの前例では1になるのがほぼ確実だそうですが、これを許さない声が世間では圧倒的です。理由は簡単で、1ではあまりに川崎が可哀想、そして日程等であまりに川崎が不利だからです。
ではJリーグ以外ではどうなのか。
何か参考になるような事例はないのか、というわけで、これまたあちこちで議論されていますが、私もちょっと記憶を掘り起こして考えてみました。





2の「後半29分から行う」に近い例はリーガであります。確か残り時間はわずかだったけど、日を変えてその時点から再試合を行った事がありました。(私が知っているのはその一例だけ。)
ただあれは試合中止になった理由がスタジアムの問題か何かで(多分停電)、試合続行が可能かどうかといった判断の是非以前に完全に物理的に不可能だったはず。そのためすんなり残り時間だけの再試合を行うとの裁定がなされ、両チームともそれをすんなり受け入れたんじゃなかったかな。

5の「主催者側の責任とする」例としては、CLのミラノダービーが挙げられますね。インテリスタが爆竹や発炎筒をピッチに投げ込んで試合続行を不可能にしたゲームです。(この試合は規定により0-3の記録になっているはず。)
ただあのインテルと今回の鹿島を一緒にしてはいけません。今回鹿島はチームもファンも問題は起こしてなく、かといって続行不可能にしたスタジアムの水はけの悪さに責任を求めて敗戦とするのもおかしい。むしろ芝(スタジアム)に責任を求めるなら、前述したリーガの方が例としては近い。
実際2を推す声が一番多く感じるし、これが双方に遺恨を残さずに済む一番の案のようには思えます。

3の「後半29分までで試合成立、川崎の勝利にする」のは、ルール上問題が大ありで、鹿島側も納得しないでしょう。
同様に4の「後半開始からのやり直し」も川崎側が納得しないでしょう。
もちろん川崎としては1が最も受け入れがたい裁定ではあるのは言うまでもありませんが。


理事会にはあらゆる面を考慮して柔軟に対応してもらいたいものですが、にしても今回の出来事の最大の問題は、試合を中止した主審の判断です。

豪雨で試合中断、審判がピッチ上でボールの跳ね具合を確かめる、という光景で思い出すのが、セリエAのユベントスの試合なんですが、確か最終節で優勝がかかっていた大一番で、あまりの雨の酷さに試合を行うか中止にするか、かなり揉めた試合というのが10年くらい前にありました。
あの時は確かユベントスとペルージャ(だったと思う)の双方の意見が正反対で、ユベントスは優勝のかかる試合をこんなピッチでしたくないから「これじゃ出来ない」と主張し、ペルージャは明日からバカンスだというのに再試合なんかトンデモナイから「これくらいのピッチなら大丈夫、出来る」と主張する。
双方の主張がぶつかりあう中、結局水たまりの中で試合を行ったわけですが、この試合と今回の鹿島対川崎の試合を比較して私が一番気になるのは、一体主審はピッチの状態を一番よくわかっている当の選手達に、少しでも意見を聞いたのだろうかということです。
セリエのあの試合は、審判と選手達が何やら話し合っていたような記憶があるのですね。

一応私は今回の試合をTVで観ていて、その割にはその時のピッチ上でのやりとりの記憶が曖昧で申し訳ないのですが、中断する前に双方のキャプテンを呼んで、主審としては無理だと思うが実際プレーしている君達はどうだ、くらいの事を聞いたのかどうか、その辺が気になって仕方ありません。
というのも、それをした上でなら、その後中止になったとしても選手達はある程度納得できたと思うからです。聞けば川崎の選手どころか鹿島の選手さえあのピッチ状態でも「出来る」と言っていたそうで、選手達が出来ると言っているのに早々に中断を決断するのは、やっぱりちょっとどうなのよと思ってしまうのですね。
プレー出来ると思ってるのに主審に勝手にやめさせられたという意識が選手側にあるなら、これは禍根を残して当然でしょう。最終判断を主審がするのは当然としても、少なくとも両方のキャプテンと話し合うくらいはした方がよかったんじゃないでしょうか。

この問題はここ数年かまびすしいJリーグの審判問題とも繋がるのだけど、とにかく主審と選手の間にある不信感の大きさは見ているこちら側にも伝わるくらいで、双方協力しあって試合をスムーズに進めようという意識がないところが、もう残念極まりないのですね。
誤審があるのは万国共通だし、選手もそれは納得しているはずだけど、Jの場合は審判と選手、あるいはファンの間の溝が深すぎて、何か問題が起こった時の審判バッシングもとてつもなく凄まじくなってしまう。
サッカーは野球と違って「俺がルールブックだ」とばかりに強権振りかざすだけではジャッジ出来ないし、審判だからといって彼らを高みに置いて良いことも何もない。日本では審判を過剰に守ってTV番組でも誤審についての検証をやらないようにしてるけど、審判についてあれこれ言うことすら許さないというのはやっぱり良くないですよ。あれこれ言う自由があれば「審判も人間だから」といった目で皆が余裕をもってジャッジを受け入れられるのに、とにかく今は不信感だけが先に来て、何か起きたらほとんど憎悪にまでなってしまう。

サッカーの試合はほとんど生き物で、それを成り立たせているのは選手であり審判なわけですが、彼らの信頼関係なくしてやっぱりいい試合はできないと思うんですよね。今回の件も、彼らがもっと話し合っていればこんな大問題にはならなかったんじゃないかなあ。
中断したこと自体が間違いだという意見がほとんどの現状で、問題の根はその辺にあるんじゃないでしょうか。

案の定今回も審判が批判されていますが、理事会はそこのところも含めて、当事者からサッカーファンに至るまで、多くの人を納得させる説明をすべきでしょう。でないと不信感がますます大きくなって、誰にとっても良いことはありません。

理事会の判断には注目ですね。
杓子定規の回答を出すのか、原則は原則として臨機応変に対応するのか、楽しみに待っていたいと思います。
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by teri-kan | 2009-09-14 12:48 | スポーツ(サッカー) | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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