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「クリスタル・ドラゴン」その1

作者はあしべゆうほ。

この人の作品は「悪魔の花嫁」がおそらく最も有名なんだろうけど、個人的には「クリスタル・ドラゴン」の方が断然好きで、「必ず完結してもらいたい」と長年にわたって切に願っている少女漫画です。
主人公アリアンのまことの名と、仇敵バラーの行く末をはっきりさせないままウヤムヤになるなど許せない!と思うくらい結末が気になっている作品。

非常に膨大、壮大、複雑な物語で、全体像を掴むには何度か読み返す事が必要だけど、読み返しても完璧に理解するのは大変。特に後半は時間と空間、夢と現(うつつ)をあちこち行ったり来たりして、自分の頭の悪さのせいもあるけれど、なかなか整理がつかないのです。
それを整理したくて、だから「どうかスッキリ完結させてくれ~」と思うのですが、作者は今「悪魔の花嫁」を描いてるんだよね、なぜか。
こちらとしては早いとこ「クリスタル・ドラゴン」にかかってほしいのに。

本作の主人公はケルト人の女の子で、彼女の一族が他の一族の急襲・殺戮によって全滅の憂き目を見るところから物語は始まります。その仇の男を倒すための戦いに挑むというのが、本作の最大のテーマであるのですが、でもその男を殺せば済むのかとなると話はそう簡単ではなくて、親の仇、一族の仇といった問題が非常に小さく感じられるほど、この出来事には広い深い背景があるのです。読んでるこっちも途中からはその仇の男の行く末の方が心配になってしまうほど彼は大変な運命を背負ってしまって、これからどうなってしまうのか、気になって気になって仕方がなくなるのです。

ああ、頼むから作者、早く続きを書いてくれー。

ちなみに時代はローマ帝国がブリテン島の支配を強めていた頃、作中の出来事から推察するに紀元60年前後だと思われます。
舞台はエリン(アイルランド)からブリテン島、(多分)デンマーク、アイスランド、フランス、アルプス、ローマと、とっても広範囲。しかも人外の世界まで訪れるのだから主人公の旅した距離ときたらとんでもないです。
アイルランド神話、北欧神話がベースにあって、もちろんローマの神様も出てきて、その神様たち、というか彼らの名残の精霊たちと人間との距離の近さがとても面白い。
魔法使いもバリバリ現役です。

神と妖精と魔法が共存する時代というものの描き方が大変素晴らしく、これが画力があるということなんでしょう、世界観が見事に表現されていて、あらゆるものが美しい。闇の魔力、異形のものさえ美しく見えるのです。
あしべゆうほって本当にすごいと思うんだけど、それもこれも完結してくれないとどうにもならない話なんで、是非お元気でいらっしゃるうちに結末を見せてもらいたいものだと思います。
ホント、この作品だけはそれを願います。



もしうまく疑問点とか気になる点とかをまとめられたら、そのうち「その2」を書きたいと思います。
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by teri-kan | 2009-11-09 11:49 | 漫画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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