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最後の希望の星

アフリカ最後の希望の星だったガーナは、ベスト4を目前にしてPKに夢断たれました。

「ギャン、PK戦で決めるなら何故120分のあの時に決めてくれなかったのだ……」
思っても仕方ないそんなことを思ってしまった人、きっとたくさんいたと思います。
でも彼には何も言えないですよね。むしろPKキッカー一番手として出てきた彼のハートの強さの方が強く印象に残ってる。
あれは感動したなー。

アフリカ勢悲願のベスト4を阻んだウルグアイ、というかスアレスは、彼の終了間際のプレーが随分批判されています。
まあ批判されるのはわかる。わかるけど、ガーナがPKを決めればすむことだったし、あの時は世界中の皆がPK成功と同時に試合終了のホイッスルが鳴ることを考えたはずで、そう考えた時点でもうスアレスを責める資格は無いように思う。確かに難しい場面だったけど、やっぱりギャンはあのPKをなんとしてでも決めなきゃいけなかったんですよ。

スアレスがとんでもない事をやらかしたのは変わりないです。どれだけ故意だったのかわからないし、もしかしたら無意識の部分が大きかったかもしれない。でも「いざとなったら体のどこででも止めてやる!」という気持ちでいたのは確かだと思うし、あの行為はその思いの強さの表れみたいなものなんでしょう。
その思いは否定できないし、私はスアレスの行為をやっぱり批判することはできないんですよ。

ああいう場面、しょっちゅう起こるわけじゃないけど、結構サッカーの試合では珍しい場面でも何でもなくて、ハンドでボールをはじき出して退場になった選手は、大概ファンから叩かれるものなんですよね。チームに迷惑をかけたってことで。
今回もギャンがPKを決めていたらスアレスはきっと戦犯扱いされたはずなんですよ、ハンドを犯さなかったら負けていたとわかっていても。
ただ、普通はPKが決まってガーナ勝利・スアレスは醜態晒したアホ、になるところが、今回はああいう結末になったというだけの話で、サッカーの神様はそういう采配をしたんだなと、120分という究極の時間に起こったドラマに呆気にとられるだけです。

観ていて一番強く思ったのは、そういった「人の意思とは違うところで働く見えざる意思の存在」みたいなもので、しかもその存在を痛感するのは人の意思がとてつもなく大きくうずまいている試合の時だったりするんだなということ。
例えば今回のような試合。初のベスト4を目指すガーナ、アフリカ勢初のベスト4を望む観客・TVの前の何億もの人、古豪復活を熱望するウルグアイ国民……ピッチ上の選手だけじゃなくて、そういった何億人もの意思や思いや念の強い試合の時、こんな思いもよらない事が本当に起こったりする。
それがなんか凄いというか、W杯ならではですね。

サッカーって人の意志だけじゃどうにもならないところがあるのがやっぱり面白いんです。十字をきってピッチに入る選手はたくさんいるけど、そういう選手ってただクリスチャンってだけじゃなくて、「見えざる意思」をピッチ上でしょっちゅう感じてるからなんだと思う。
面白いけど、でもやっぱり恐ろしいかな。

同じ恐ろしいサッカーでも、オランダ対ブラジルは選手の意思の力でどちらにも転んだ試合だったんですけどね。
ウルグアイ監督のタバレスが「何かに背中を押されているよう」とコメントしてたけど、本当に何かわけわからない力の存在って、ある試合の時はあるんですよね。
単にそれがウルグアイに微笑んだ、ただそれだけの試合だったような気がします。
ガーナには本当に残念だったですけどね。



これでアフリカ最後の星ガーナは消え、なんとウルグアイはいつのまにか南米最後の星になっているという、思いもよらなかった状況になりました。
パラグアイはとてもいい戦いをして、先制してたら全く違う終わり方になっていたと思うのに、このパラグアイ対スペインもPKのあやが試合を決めましたね。
なんか準々決勝の4試合はどれもとんでもなかったなあ。

なんだかんだでヨーロッパは強いね、で終わりそうな気配がして、妙に寂しさを感じるベスト4です。
やっぱりブラジルとアルゼンチンが拙かったな……。
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by teri-kan | 2010-07-05 10:57 | 2010ワールドカップ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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