ペレのお言葉

「スターが消えた」
だそうです。

ペレのコメントの内容はとりあえず置いておくとして、確かに今大会から活躍したスターを選ぶのは難しい。
というわけでもう少しワールドカップの感想。ワールドカップとスターについて。



大会MVPに選ばれたのが4位ウルグアイのフォルランというのが象徴的であります。
フォルランの活躍に典型的なスターの香りを見た人は多分多いのではないかな。歴代受賞者に比べると際立って小国の選手だけど、それゆえ彼がチームを引っ張る姿は印象的でした。

振り返ってみるとこれまでのW杯は華やかなスター選手の悲喜こもごもに彩られた大会でありました。
近いところでは前回大会のジダン。代表引退したもののフランスの惨状を見るに見かねて復帰し、素晴らしい働きでチームを決勝まで導いて、最後の最後でW杯史に残る大事件を起こしてピッチを去った。
あの寂しい後ろ姿は強烈に印象に残っていますね。

後ろ姿といえば94年アメリカ大会のバッジョ。酷暑のアメリカで満身創痍のアズーリを何度も救い、決勝戦の最後の最後でPKを外した。
限界だった足で蹴り上げたボールが遥かバーを越えていくシーンはW杯史に残る名場面。
90年代のイタリアはPKに泣き続けましたが、確かにPK戦は悲劇的な色を濃くします。

PKに弱いといえばオランダで、特にベルカンプがいた頃の強く美しかったオランダは98年W杯、00年ユーロと立て続けにPKに泣かされました。過去のW杯での二度の決勝戦負けとか、美しいけれど勝てないオランダというのは、実はとても物語性があるのですよね。

他にもPKの弱い国にイングランドがあるけれど、ここにもやはりW杯史に残るスターがいて、強かった昔は当然、現在だってベッカムがいる。ベッカムは悲劇のスターというよりバカやらかしたスターって感じだけど、98年の失態は02年に取り返しましたからね。結局それがW杯史に残るベッカムストーリーになった。

スターのW杯ストーリーでいうならロナウドなんて完全にそう。マラドーナもですね。彼らはサッカー人生そのものがとんでもない物語で、歓喜あり悲劇あり、そりゃもうすごいです。
バロンドールを3度も受賞したクライフ(蘭)、プラティニ(仏)、ファン・バステン(蘭)がW杯で優勝できなかったこともそうだし、ファン・バステンはサッカー選手として最も辛い怪我での引退でした。ロナウドの膝もそうだけど、悲劇というなら名選手としてこれ以上の悲劇もないかもしれません。

このようにサッカー強豪国というのは、その代表自体に多くの人を惹きつける物語があり、悲劇に彩られたスターがあり、だからこそいつまでも人の記憶に残るのですが、はい、ここまできたら何が言いたいかわかると思うのだけど、強豪国と言われながらスペインにはそういった悲劇が全然ないのです。私のような素人サッカーファンの心をかきたてるようなストーリーが全くといっていいほどないのですよ。






確かにスペインはこれまでずっと脇役でした。主役はおろか名脇役にもなれない脇役。
理由ははっきりしていて、「決勝で負けた事がないから」ってことになるんですが、言い換えればファイナルにたどりつけるだけの力がなかった、ということになります。

しかしファイナル進出しなくても話題になるチームはたくさんあります。今回のウルグアイはいい例でしょう。ここは強力ツートップが売りですが、フォルランもスアレスも、プレーといい個性といい容貌といい、何かと話題になる二人でした。
でもスペインはやってるサッカーとは裏腹に代表はこれまでホントに地味で、その地味の原因は何かなあと考えたら、やっぱりねえ、これでしょう。
選手が謙虚でいい人だから。
これに尽きるんじゃないかなあ。(あえて地味とは言わない。)

スペインの選手って絶対いい人が多いでしょ。なんとなくの印象だけど、結構皆常識人というか、普通にいい人って感じがする。
これが例えばドイツなら気性の荒い人が多いイメージがあって、ちょっと古いけどカーンとかマテウスとか、強烈な個性の持ち主がゴロゴロいる。
でもそういうのも含めて「スター」だったりしませんか?
あと、スペイン選手が目立たない理由には海外にあまり移籍しないというのもあるでしょうね。移籍金の大きさはスターを測る物差しの側面もあるし。

まあ単純に突出した名プレーヤーがいなかったってだけかもしれません。スペイン人のバロンドール受賞者は思いっきり過去にさかのぼらないといないというのもあるし。
でも今年はそれが覆りそうな予感がありありです。バロンドールはW杯優勝国から出るのが通例だし、となると一体優勝メンバーから誰が選ばれるのか。イニエスタ、ビジャ、カシージャス……有力なのはこの3人ですかね。

私ならカシージャスを推しますが、しかし4年前にブッフォンが選ばれなくてGKのカシージャスというのは、ちょっと釈然としないものがあります。でも、だとするとイニエスタかビジャですが、正直決め手に欠ける。
やっぱりカシージャスですかねえ……。
まあ彼が選ばれればスペインは守備の力で優勝したということの証明になり、それは個人的には納得できるものになります。

ペレが言う「スターがいない」は守備的なチームが多くてスターがつぶされたという意味のようですが、パスワークで崩すチームには突出したスターはいなくてもなんとかなるってことなのかもしれません。これはイニエスタがすごくないという意味ではなくて、スペインというチームから一人を選び出すのは難しいという意味なので誤解してほしくないのだけど、でもイニエスタが別のチームに行ったらどうなるのか、それは興味のあるところです。スペイン代表もバルサも、そういった意味ではあまりに特殊なのでね。

ただ、スペインに悲劇性がないのは変わりないんですよね。
こう言っちゃなんだけど、ホント物語のない代表だなあ。今回のスペイン国内の結束は素晴らしいし、ハルケのシャツは泣けたけど、サッカーならでの物語がもっと欲しいなあ。ピッチ上での、試合自体でのドラマが欲しい。
まあ勝手に言ってろって話でしょうが、もう少し目立つ選手が出てきてもいいんじゃないかと思うスペイン代表の話でした。

バロンドール、今から楽しみです。

(注:02年の一件はピッチの外に問題があったと考えて除外してます)
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by teri-kan | 2010-07-15 10:24 | 2010ワールドカップ | Comments(0)
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