「僕等がいた」その1

小畑友紀の、現在も雑誌連載中の長編少女マンガ。
一組のカップルの、高校時代から大人になった現在までの紆余曲折を、丁寧な心理描写で描いている人気作品です。

人気の理由は様々にあると思うのですが、多分一番の理由は、この作品に描かれている「高校生」「高校生の感受性」「高校生の苦悩」「高校生の無垢な一生懸命さ」といったものが、リアルでありながら非常にキレイに描かれているからなんだろうと思います。
自分のリアルに置き換えられながら憧れも抱ける世界。
それは大人になった自分が自分の高校時代を振り返って、懐かしさと同時に憧れのようなものを抱く感覚とも近いかもしれません。

「僕等がいた」というタイトルは過去形だけど、個人的には断定の意味の方が大きいのではないかと思いますね。
「!」をつけると台無しだけど、気分的には「!」をつける五歩手前くらいの強さ。
「僕等がいた」という言葉にはそういった揺るぎなさが感じられて、それは「僕等がいた光景」を、写真なり一枚の絵なりにパーフェクトに収められるくらいの、確かに存在した高校生時代の美しさなのですよ。
なんていいますかねえ、放課後の教室で好きな男の子と二人きりでいた光景と、会社で好きな男と二人で残業してる光景と、どちらを美しい写真のようにして思い返すかといったら断然前者だという、そういう感覚ですかね。そのくらいのものが高校時代の記憶にはある。
それは失われてしまったものだから、あの無垢だった自分は永遠に帰ってこないものだからではあるのだけど、今はもうないけど確かに現実に輝いていたあの時期を「僕等がいた」というタイトルは見事に表していて、これは上手いですよね。

この作品は2002年に連載が開始されて今年で8年。当時中高生だった読者は現在では作中人物と同じく大学生・社会人になっていて、自分の成長と共にこのマンガを楽しんだ人達は、等身大の大人の登場人物もリアルで読めて、それはとても良いことだなあと思います。
でも本作の素晴らしさは、あの「まさしく僕等がいた高校時代の描写」にあって、個人的にはあれを最後まで大事にしてもらいたいなと思います。
現在の主人公二人の苦しさはとてもよくわかるけど、あまりこれを引き伸ばしてほしくないというか、こういう物語でバッドエンドなんてあってはならないことだから、ここからはどうか綺麗に物語をまとめていく方向に向かっていってほしい。
出来れば早く収束して、本当に高校時代をキレイな思い出にしてもらいたい。
今につながる思い出になってもらいたいな。

実はそういった希望を抱いてこの先を楽しみにしているんですが、どうなりますかねえ。
なんとかあの二人には幸せになってもらいたいなあ。



にしても、こういうマンガを読むといつも思うんだけど、なんで主人公の彼氏の親友は主人公のことがいつも好きで、そんでもってなんでとってもとっても皆いい性格してるんだろう。
竹内君、いいヤツなんですよ本当に。彼の幸せなくしてこの話を終わらせてはいくまい!と思うくらいいいヤツなんです。

でも彼のことまで事細かに描いてたら、いつまでもこの話終わらないよなあ。
(ちなみに現時点で14巻まで出ています。)



(まだ思うことがあるので続く)
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by teri-kan | 2010-09-17 10:39 | 漫画 | Comments(0)
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