バラード第2番 ヘ長調 作品38

ショパンが作曲した4曲のバラードのうちの一つ。
シューマンに献呈されるも彼はあまりこの曲を評価しなかったらしく、そのシューマンの評価通り、現在も4曲の中で最も人気のない曲となっている作品。……残念です。

第一主題と第二主題が1→2→1→2と繰り返され、そしてコーダに流れ込むという、大変シンプルな構成なのですが、のどかな第一主題と嵐のような第二主題の際立たせ方が印象的で、ドラマチックな、ある意味バラードらしいバラードといえる曲ではないかと思います。
が、本当にこの曲は絶賛されるばかりの他の3曲と比べて圧倒的に不人気で、その最大の理由はいろいろな方の感想を読んでいると、どうやら第一主題の単調さにあるらしい。
一言で言って、まあ、おもしろさに欠けるんだそうです。一人や二人じゃない方々がそう言うのだから、多分それは正しくて、きっとバラード2番の第一主題は本当につまらないものなんでしょう。
いやもうね、この第一主題こそ好きな私は一体どうすればいいのかと……(苦笑)。
第二主題の激しさは、まあショパンならフツーっていうか(オイ)、いかにもドラマチックで盛り上がるぅー!って感じだけど、第一主題の穏やかさ、静けさの情景的なことといったら素晴らしいですよ。







誰がどう聴いたってあれは波一つ立っていない静かな湖面。昼下りのお天気は晴れすぎず曇りすぎず、穏やかな光は水面にやさしくふりそそいで、湖は安穏と静寂の中に佇んでいる。
それが急転直下の嵐に吹き荒らされ、周囲の木々も湖面に立つ波もきしみあってぶつかりあって、曇天の下荒れ狂う。しかしほどなくして黒い雲は流れ去り、湖は静けさと明るさを取り戻す。再び美しい光景が現れて……はい、ここで第一主題の再登場。
しかし同じ旋律とはいえ最初と微妙に違っているのは、嵐の後の湖は静かとはいえ確実に嵐の爪跡が残っていることで、かき回されて濁ってしまった水の色、吹き飛ばされた葉っぱのようなゴミは湖面を浮遊して、穏やかでありながらどうにも落ち着かない気分になってしまう。
そんな二度目の第一主題は、その落ち着かなさがまるでまた嵐を呼び込むかのようで、そしてやはり嵐に襲われて、それからはまるで静と動が交渉をしてるかのように平穏と嵐が交互に顔を出し、緊張感の中でその主導権争いが行われる。
既にこれは湖の情景でありながら平静と狂気を抱える人間の内面の戦いとも言える展開になって、そしてそれに勝利するのは嵐、すなわち狂気の方。そしてその狂気は、最終的には悲劇の階段を上がっていくんだ。
クライマックスは、湖の情景的には湖水が底から巻き上がって、全てとっちらからせて、ある意味唐突に嵐を収束させるといった感じ。人にたとえて言うなら、狂気に支配された人が精神が高ぶったあまりに失神したって感じの終わり方。ようするに、終わったからといって解決したわけではないという状態。
失神したから静かにはなった。でも狂気がその人から去ったわけではない。既にその人は嵐を経験してしまい、それに翻弄される事にきっとこれからも抵抗できない。

……といった悲惨な終わり方をする曲ですね、バラードの2番って。
冒頭の平穏さえ、振り返って「あれは本当の光景だったのか?」と疑ってしまいそうになるくらい、かなり救われない終わり方をする曲。いっそのこと最後は狂い死にしたといった解釈でもいいかもしれない。



まあこれはこの曲について勉強とか全くしてない人間の、曲を聴いただけの感想なんで、詳しい方には温かい気持ちで読んでもらいたいものですが、結局何が言いたいのかというと、要するにこの曲はとても聴きやすいということです。あまり難しいこと考えなくても理解できるということ。
構成が単純なのは素人向き。嵐のドラマチックさも素人向き。
素人……というか子供に聴かせてあげたらいいんじゃないかなー。私は子供時代に慣れ親しんだおかげで今でも大好きですよ、この曲。
世間的な評価は高くないけど、特別な1曲であることは間違いないです。
バラードはどれも素晴らしいけど、2番だって素晴らしいと思います。
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by teri-kan | 2010-11-04 00:43 | 音楽 | Comments(2)
Commented by むーみん at 2011-03-07 20:58 x
趣味でピアノを弾いている中年男性です。
私はバラ2大好きで、練習をしているのですが、なかなか弾けるようになりません。私には難しすぎるのだと思います。この曲の最大の魅力は第1主題の再現部にあると思いますが、いかがでしょうか?和音の迷宮に入り込んでいくようでなんとも言えず神秘的です。
印象派の先取りをしているような雰囲気を感じます。
Commented by teri-kan at 2011-03-08 14:45
むーみんさん

はじめまして!
稚拙な音楽感想文にコメントして下さいましてどうもありがとうございます。

>和音の迷宮に入り込んでいくようでなんとも言えず神秘的

その感覚はとてもよくわかります。第一主題の再現部が最大の魅力というのは確かにその通りですね。

私は高校でピアノを習うのをやめた上、それからほとんど弾いていないので、今ではもっぱら聴く専門なんです。きちんと音楽の勉強をしたわけでもないし、本当にただ好きで聴いてるだけの素人。
でも弾けたらもっと曲の理解も深まるんでしょうねえ。
上手な方々がうらやましいです。

むーみんさんはこの曲を練習なさってるんですね。
確かに難しそうではあるけれど、でも弾けたらカッコいいですよね。
私が言うのもおこがましいですが、是非頑張って下さい。
「バラード2番」が大好きだという方がいらっしゃって嬉しかったです。
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