「エロイカより愛をこめて」その2

個人的に本作の魅力は、任務一筋の少佐と、美術品最優先の伯爵の、それのみを追いかけるがために結果として果てしない所まで来てしまうという、その長々とした道のりにあると思うのですが、作品としてそういう方向性が出てくるのは、本編第6番目の「イン・シャー・アッラー」あたりからではないかと思います。
とはいえこの頃はまだ伯爵は何人もの部下を抱える大盗賊団の首領。後のお話のように身軽にあちこち動き回るわけではありません。
でも部下が何人もいるから大掛かりなことができるし、やっぱりにぎやか。「アラスカ最前線」と「グラス・ダーゲット」はたくさんの人間が入り乱れて人間模様も面白いです。

「アラスカ最前線」は少佐の魅力が全開ですね。これまでで最も危険な目に合うからですが、FBIと渡り合い、狼の群れと睨み合い、KGBには囚われて、でも冷静沈着。伯爵と対峙する時だけは頭に血が上りますが、その激しさすら「アラスカ最前線」では面白い、というよりカッコいい。絵もこの頃が少女マンガ的には一番らしくていいんじゃないかな。特に少佐の目はたまらんです。

「グラス・ターゲット」はアラスカとはうってかわって街を舞台にしたお話。珍しく一つの場所に居座って、あちこちに飛ばないストーリーになっています。それがかえってこの話の魅力で、これだと伯爵の部下が大所帯である設定も生きる。
ですがそれ以上に盗賊団の本領をいかんなく発揮したのが、番外編の「ミッドナイト・コレクター」。
実は私、なぜこれが番外編扱いなのかわからないのですが、伯爵の回想部分が多いとはいえ本編と遜色ないこの作品が番外ということは、結局このシリーズの要は「NATO情報部の任務」そのものにあるということでいいのかな。即ち「エロイカより愛をこめて」はスパイアクションものという事が絶対で、それを彩る様々なものはあくまで彩りということです。

「ミッドナイト・コレクター」は美術品泥棒ストーリーとしては王道だと思うし、ある意味「エロイカより愛をこめて」というタイトルにふさわしい内容であるのですが、でも番外編なんですよね。

そしてこれを最後にエロイカ盗賊団は規模を大幅縮小。
現在見られるような形にシフトしていきます。



続く
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by teri-kan | 2010-11-19 09:24 | 漫画 | Comments(0)
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