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岸谷“秀吉”

大河ドラマ「江」、作品中で異彩を放っていた秀吉がとうとう死んでしまいました。
あらゆる意味で特異な秀吉だったので、なんとも言えない感慨が湧き起こりましたねえ。

「江」の秀吉はとてもわかりやすかったです。
作り手側の意図する秀吉像が明確だったのだと思いますが、そのおかげで今までのドラマでは考えもしなかった「こうすればよかったのに、秀吉」と思うようなこともたくさん出てきました。なんていいますか、成り上がりの悲劇を一番感じられた秀吉かもしれません。

成り上がりゆえ代々の家臣を持たない豊臣家にとって、やっぱり秀次殺害は致命的だったですよね。
本来ならどこよりも身内で結束しなければならなかったのに、息子を守るために甥を殺したというのは、何をおいても豊臣家としては一番やっちゃいけないことだったんじゃないかな。
秀頼が大きくなるまでの政治を秀次に託していたなら、少なくとも豊臣家がなくなることはなかったよねえとか、結局天下をとった後のビジョンが問題なんだよなあとか、今回ほどしみじみと成り上がりを感じた秀吉もなかったような気がします。

私が知ってる大河ドラマに限っていえば、秀吉って視聴者に好かれるような親しみやすい人間像で描かれることが多かったのですが、岸谷秀吉は黒いのを全然隠してなかったので、最初からウザイくらい気になる人物でした。
「おんな太閤記」ほど愛嬌があるわけでもない、「秀吉」ほど元気いっぱいなわけでもない、「利家とまつ」は頭が回る秀吉って感じだったかな、「功名が辻」や「天地人」では年配者が演じた分老境に入った秀吉の描き方が良かったけれど、岸谷秀吉はそのどれとも違ってて、子供が生まれておかしくなる以前から妙にあやうく、どこか狂気をはらんでた。
まあそのくらいでなければ天下は取れないだろうと思うからそれはいいんだけど、その黒さとのバランスをとるために茶々との恋をああいう風にしたのかなあと考えると、やっぱりあれは問題大有りだったと思う。
秀吉が茶々に恋焦がれるのはいいけどさ、無理矢理奪う設定にはさすがに出来なかったですかね。
無理矢理じゃ、あまりにドス黒くなりすぎましたかねえ。

岸谷五朗と宮沢りえだからそこまで思わないけど、そもそも二人の年齢は鶴松誕生時に53歳と20歳。そりゃ加藤茶みたいな例もあるけどさ、昔の53歳っていったら今の加藤茶よりもおじいさんといっていいくらいだし、そんな年齢の親の敵を若い娘さんが愛しちゃうとか、やっぱりありえないだろーと思うんですよね。
まだ三成とデキてた方が納得できるというか(笑)、まあ「江」の茶々はすごく良いお嬢さんだし三成はイマイチ小者っぽいので本作品中ではありえないだろうけど、にしてもやっぱり茶々との恋愛は無理がありすぎたと思うなあ。

まあこれで秀吉も物語から退場、ドラマは大きく変わって、江も己の立場を確固たるものにしていきます。
やっぱり子供をたくさん生むといろいろと強いよね。
家康だって何人も男の子がいたからこその徳川家の繁栄だと思うし、となると秀吉はやっぱり辛かったな。



「江」はいろいろとメチャクチャなドラマだけど、気楽に観れるのでそこまで悪くないと最近思うようになりました。スルー能力は要求されますが、楽しめるところだけ抜き出して楽しめる人には楽しいドラマではないかと思います。
視聴率はヤバイらしいですが、着物は綺麗だし、見所なくはないと思います。
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by teri-kan | 2011-08-19 12:11 | 大河ドラマ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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