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和歌とコミュニケーション

毎週「平清盛」が楽しすぎるんだけど。
で、何度も書いてるけど鳥羽院が面白すぎるんだけど。

第4回まで来ましたが、毎回鳥羽院は璋子に愛と思いやりを求めて、で、毎回無残に玉砕してるんだよね。
怒ったり下手に出たり、手を変え品を変え璋子の真心に触れようとするんだけど、璋子に真心なんてモノないからさ、毎回お約束のように鳥羽院はガーンと傷ついて、水仙で自分を慰めるんだ。

水仙好きなんだな、鳥羽院。
確かにきれいだよね、清楚で、いい香りで、たおやかで。
でも毒があるんだよね、この花。で、結構たくましいんだ。
鳥羽院にとって璋子は水仙のイメージなのかな。
そういえば始めは水仙をプレゼントしてたなあ。
でも既に哀れを通り越してコント寸前で、お可哀想にとしか言えない。

院の不幸、というか璋子にとっての不幸は、鳥羽院の中宮の地位が本人にとって全然スペシャルじゃなかったってことですね。
本来なら女人にとって最高であるはずの地位が、絶対権力者の養女で愛人で孫娘のような恋人のような可愛がられ方をしてきた璋子にとっては全然そうじゃないんだ。
この世で最も素晴らしい場所から鳥羽院のもとに入内させられて、実家のために帝の歓心をひく必要も地位向上に努力する必要もなく、ホントーに「 お つ と め 」としか言いようのない夜のお相手をつとめるだけで、後にも先にもこんな天皇妃いないってくらい特殊。

天皇の后であることにここまで意味を見出せなかった后、他にいないんじゃないかな。
で、最も不幸なのはそんなのを妻に迎えたお若い帝で、その後彼の后達の地位が秩序もへったくれもなくなっていくのは、ホントに璋子の存在があったせいなんですよね。

橋本治と三田村雅子の対談で、待賢門院璋子は絶対権力者白河院の世界の住人として他者とコミュニケーションをとる必要がなかった、即ち歌を詠む必要がなかった、ってな話がありましたが、確かにドラマの璋子もコミュニケーション能力が恐ろしいほど欠如した人物になっています。
あの他者を他者として認識してない感じ、他人の感情がわからないというより自分自身すら把握できてない感じは怖いほどで、鳥羽院とも全く噛み合ってないし、こりゃ確かにまともな歌は詠めないだろうなと思います。
お仕えしている堀河にしてみれば、気苦労ばかりの勤め先でしょうね。

鳥羽院と璋子のやり取りに毎度胃をキリキリさせてる堀河ですが、第4回でやっと著名な歌人「待賢門院堀河」としての見せ場を与えてもらいました。
藤木西行に歌を直される(笑)というシーンではありましたが。
ここから堀河と西行はいろいろと歌のやりとりをして、交流を深めて、西行は璋子に近付くことができて、で、アレコレ起こってしまうわけですね。
堀河がますます心労でやせてしまう展開まっしぐらです。

でも今から想像するのもなんだけど、西行さ、璋子に懸想するのはいいが、事を成してもあの無神経さに木っ端微塵にされたりしないか?
繊細な歌うたい(歌詠み?)にあの無神経さは凶器だと思うんだけど。
鳥羽院はなんだかんだで治天の君で、頂点に立つ人間の無神経さが自身にもあるからいいけれど、西行はそうじゃないし、なんだか璋子に心をメッタ打ちにされそうで恐い。
確かに出家するほどの何かが起こるんだけど、一体どんな経緯でブロークンハートな西行になるのか、そこは今から興味があります。



「平清盛」は朝廷側が大変いい味出してますが、平家方も源氏方もそれぞれ良いです。
松山ケンイチの清盛、いろいろ言われてるけど私は結構好きです。少しずつでも成長してるし、なんといっても素直。

というわけで来週も期待。
新たな登場人物が今から楽しみです。
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by teri-kan | 2012-02-01 16:58 | 大河ドラマ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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