「SWAN」モスクワ編 その27
2013年 12月 18日
「アグリーダック」で顕著になった真澄の精神論についてですが、これまでは深く掘り下げない方がいいかなと思ってスルーしてました。
突き詰めて考えても難しいし、人それぞれだよねってところもあるし、まあマンガだし気楽に読みたいなあってのもあったし、なので今までこれについて書いたことはなかったのですが、ここにきて完全に無視できるものでもないなという気がしてきたので、真澄の行き着いた境地についてちょっと書いてみます。
一番気になっているのは、パートナーは自分自身という「アグリーダック」の答えは、レオンとかぶっているのかどうかということなんですよね。
アヒルの子のパートナーはそれでいいとして、真澄にとってのレオンってどうなんだろっていうのが問題。
というのも、読んでる限り真澄の踊るアヒルの子と真澄自身は完全に一体化してるんですよ。先生とのアレコレもそうだし、アヒルの子の答えは真澄自身の答えでもあるのです。
で、そうなると、じゃあレオンは?ってことになるんです。
真澄の考え方はそれはそれで納得できるとこはあります。
現実に起こっていることは自分の内面を写してることだってのは、真澄ほど周囲に影響を与えられる人間にとっては確かにそうなのだろうと思います。
凡人ならば、周囲のあらゆる事柄は自分の理解を通してしか自分には認識されないから、起こっているそれらをどう捉えるかは自分自身の問題ということになるんでしょうが、どちらにしろ自分を自分として認識するというのはそういうことで、パートナーが自分自身というのもその考えの延長線上にあるのかなと思います。
ただ、それはそれである限り、やっぱり他人は他人なんだよね。
パートナーが自分自身って、パートナーは永遠に他人ですって言ってることと同じだと思うんだ。
いや、ある意味自分自身なんだけどさ。でも自分を通して他者を自分と認識する限り他者は他者だと思うのです。
で、多分この辺りが原因なんだろうけど、「アグリーダック」のレオンが終始一貫して存在感薄いのは、真澄のこのパートナー観がレオンと合うのかどうか、正直言って合ってないんじゃないかってところがあるからなんですよね。
「パートナーは自分自身」なんて考え方、レオンの信条とは真逆じゃない?
まあ真澄と一緒にいるためならレオンも自説を曲げるのかもしれないけど(そんなの見たくもないが)、今は盛り上がっていいダンス踊ってる2人だけど一体この先どうなるのかねって感じは正直する。
まあそのためのドイツ編なんだと思うし、おそらくその辺がテーマになるんでしょう。
となるとドイツ編はかなりレオンの比重が高くなる予感。というか、レオンが主導権を握ってストーリーを進めなきゃダメでしょうね。
真澄は妙な形で自己完結しちゃったから真澄から動くのは至難の業でしょう。レオンも自己完結してる人ではあるけど、彼は「他人は他人」の人だからね、他者と認識して他者との関わり合いができる人なら、そこから何か新しいものも生み出せるだろう。
真澄は……うーん、このままいくとブラックホールみたいな人になりそう。
もっぱら吸い取って取り込む。飲み込んで自分のエネルギーにする。
まあ自分自身でエネルギーも発するけど。
しかしそばにいると結構キツイ人かもしれない。
うん、先生の決断は正解かもしれません。
先生にとって真澄はミューズだけど、離れるに限る対象かも。
最も近くにいることができないのなら離れるべきですね。
いろいろと真澄は危険です。
下手すりゃ先生でも飲み込まれる。
クリスとアリスのために振り付けたけど実は真澄のためだったって自覚しちゃった時点でダメでしょう。「春の祭典」の繰り返しをやってしまったなんて救われない。今後の生き方は他の方法を探した方がいいです。
まあ、そこまでのパワーを描くための真澄の精神論なんだろうなあ。
正直「アグリーダック」を踊りながらペラペラペラペラモノローグされるのってキツかったんですよね。好みとしてはNYでの「シンフォニー」とか東京での「アグリーダック」とか、説明は最低限にして絵だけで踊りとその内面性を見せるというのが好きなので。
でも先生を立ち去らせるに足る理由が真澄に必要となると、こういうのもアリなのかなあ。恋愛絡みで身を引くわけではないという説明にもなるし。
いや、もう完全に憶測だけど。
先生の真意はやっぱり謎で、どんだけロイヤルの仕事に本気だったのかもサッパリだけど。
とまあ、そんなこんなでモスクワ編は終了。
リリアナと先生と真澄の物語は幕を下ろしました。
はっきりいってレオンはいてもいなくてもあまり変わらない存在でした。
そりゃ恋人同士にはなれたけどさあ、今回の真澄にどれだけ影響を与えたかとなると、先生とリリアナとは比較にならない。むしろレオンはこれからです。
でも心を押さえつけて動けなかった真澄がやっと動けるようになったかと思いきや、今度は自己完結してやっぱり動かない人になってしまった。
結局モスクワ編が先生の言動によって主導されたようにドイツ編はレオンがその役目を担うしかなさそうです。
思えばリリアナの存在は貴重だった!
いかな真澄でもひれ伏さずにはいられないような圧倒的な存在が、また新たに欲しいところです。真澄に振り回されず、真澄に影響を与えられる人物が。
レオンはすっかり真澄色に染まって最近なんか怪しいもんね……。
この先はひとえにレオンの頑張りにかかっているんだけどね……。
とりあえずこんな感じでしょうか。
他にもいろいろ思ったことがあるような気がするけど忘れてしまいました。
ドイツ編が始まるのは半年後か1年後かもっと先か。
面白い話になってくれたらいいなあ。
真澄の精神論
私、いつの間にか、これにドップリ浸かってましたわ~^^;
映画「ブラックスワン」を観てそう思いました。
有吉先生の精神論的なバレエを読んでいたので、バレリーナがみんな
そんな考えを持っているのかと勘違いしていて、ある意味日本のバレエ漫画のレベルの高さかもしれませんが^^;
>思えばリリアナの存在は貴重だった!
私もそう思いますね!
リリアナが一番解っていたのかも。
あっ!それと、8月に京都に行ったついでに、京都国際マンガミュージアムへ寄り、「バレエ・マンガ~永遠なる美しさ~」展を見てきました^^
日本のバレエファンは、外国とは違って漫画世代の母子たちによって、支えられている部分が多いのではないかと思いますね。
「26」に続き感想ありがとうございます。
映画「ブラックスワン」って精神性が全くない話なんですか?
ここんとこホントに新作って観てなくて、「ブラックスワン」も怖そうな映画だなあという印象しかない……(苦笑)。
日本のバレエ人気をマンガが支えているというのは結構あると思います。自分もどっちかというとそうだし。
「SWAN」のNY編を読んでなかったらモダンバレエにどこまで興味が持てたかわからなかったりしますしね。
綺麗だからTVで観るだけでも目の保養になるけど、マンガで奥深さを知ることができるというのは幸せなことだと思います。
バレエに限らずマンガで知識を得ている日本人は多いですけどね、私も含めて。
でもそれって幸運なことだと思います。
>ハイテンションの今の真澄は結構恐い。
これ、すごくうなずきました。
先生にとって、ミューズは遠くにあって思うもの、が安全ですよね。
とはいえ、んむー。
真澄ばなんとでもどうにでもなる強い子だから、
先生、ちゃんとしあわせに生きていけるのかなあ、とモンモンとしています。
ドイツ編は、レオンがんばってなんとかなるの巻、なんだろうと思いつつ。
コメントありがとうございます。
>とはいえ、んむー。
そうなんですよ。うむーなんですよ。モンモンなんですよ。
先生にはぜひ真澄以外の幸せを見つけてもらいたいものですが、もし見つけられたとしても、読者はそれをマンガとして読むことはきっとできないのだろうなあと、ちょっと寂しい気持ちになっています。
レオンはもうただ「がんばれー」としか言えないですね。
ホント、「がんばれ」だけです。
いきなりの最終回!しかもお休み!にびっくりの今号でした。
真澄の精神論の掘り下げ、すごいです。私も「自分自身がパートナー」の解釈はよくわかりません。自分がレオン?って?
先生との区切りの付け方も強引で、揺り戻しが来ないか心配。来ては困るんですが。
真澄にとってのレオンが何なのか、ドイツ編?ではしっかり描いて欲しい。モスクワ編では存在感が先生に圧倒的に負けていたレオン。「優しい」「いつもわかってくれる」そんなキャラではなかったはず!がんばれレオン!!真澄色すぎるのは引くなあ。
こんにちは。こちらこそ今年もよろしくお願いします。
揺り戻し、結構きそうな感じですよね。抑えつけるものがなくなったせいで真澄は振れ幅がかなり大きくなってそうだし。
「まいあ」の頃の何事にも動じなさそうな真澄になるにはまだまだいろいろありそうです。
ドイツ編、こっちが忘れないうちに早く始まってもらいたいですね。
レオンには頑張ってほしいと私も思います。
真澄とのセットだけじゃなくて、ソロでも踊ってくれないかなあとか思います。
先生振り付けのクリスとのコンビも夢で終わったし、いろんな方面でもっと見せ場が欲しいですね。
真澄色すぎるのは私もちょっと……です。
ドイツ編が出てから 真澄とレオンのその後がある事を知り 大人買いです(笑)
愛蔵版はちょっと値段に手が出なかったので 書き下ろしの感想を求め こちらにたどり着きました。
文字数だけ多いなんて とんでもない!
すっかり teri-kanさんの感想をのめり込む様に読ませていただき ますますSWANが大好きになりました。読ませていただき 疑問がほとんどなくなったのですが 一点、、モスクワ編ラストのレオンの言葉、俺達 そろそろ次のステップに進まないか?の意味がつかめません(ー ー;)単に結婚、、、??
いや、、レオンだからなぁ、、、と自分で納得出来る答えが見つかりません。。teri-kanさんはどう思われますか??
こんにちは、はじめまして。
あたたかいコメントどうもありがとうございます。
>モスクワ編ラストのレオンの言葉、俺達 そろそろ次のステップに進まないか?の意味
漠然と「もっと関係を深めたいんだなあ」と思っていましたが、確かにレオンの気持ちを考えたら意味深ですね。
ちょっと読み直してみたのですが、あの場であれを言ったのは、その直前の踊りで真澄の中から先生の影がなくなったことを確認できたから、というのはあるように思います。
それまでレオンは真澄の心の中の先生に結構気を遣ってましたから、真澄が完全に先生から卒業できたと確信できたのが自信につながったのかもしれません。
たからこその「俺たちの次のステップ発言」ではないかと。
それが結婚を指すのか同棲を指すのか、具体的なものはわからないけど。
私も今気が付いたのですが、ラストページの立ち去る先生の後ろ姿とレオンのセリフはセットで解釈するのが正しいのかもしれませんね。
真澄だけでなくレオンも先生の影から自由になってモスクワ編完結、といった感じかなと。
今のところの私の答えはこんな感じです。
ご質問ありがとうございました。
私も新たな発見ができたという思いです。
ご参考になれば幸いです。
とっても納得です!!(≧∇≦)
結婚と言った様な具体的な意味ではなく 真澄が先生の影を吹っ切って(レオンも)2人はその先のステージに行くといった感じでしょうか。。
自分だけで考えていると モヤモヤしてしまうので
お聞きしちゃいました(*´艸`*)
また次回のスワンマガジンの感想も楽しみにしています☆