人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ホビット 竜に奪われた王国」(2013)

「ホビット 思いがけない冒険」の続編。
「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚3部作の第2作目です。







いやー、おもしろかった。
160分があっという間だった。
信頼関係構築は前作でバッチリ描きましたからね。だから今回はとにかく冒険。
戦いに次ぐ戦い、知恵と勇気と情熱を駆使してひたすら目的地に向かって突き進む冒険ストーリーです。

ビヨルン、いいですね。こういった登場人物が中つ国が多種多様な種族が存在する豊かな場所だということを教えてくれます。
が、ビヨルンの場面は思っていたよりスピーディに終わって、一行は割とさっさと闇の森の中へ。
この森の描写がいい。アヤしさぷんぷん。
そしてクモ登場。「ロード・オブ・ザ・リング」のシェロブのお仲間、孫の孫? 太古のクモの大怪物の血をひく禍々しいヤツらです。
でもビルボのつらぬき丸が大活躍。
これが後にシェロブをやっつけるんだから面白いですねえ。

レゴラスのパパ王スランドゥイルは結構イヤなヤツで、これまで抱いていたエルフのイメージがちょっと覆されます。
血筋がガラドリエルらとは違って、これを説明するとエルフの膨大な歴史に触れなければいけないので割愛するけど、エラい人と揉めたり悪と壮大な戦いを繰り広げたガラドリエルの一族と比較すると、多少俗っぽくなるのは仕方ないところがある一族であります。
でも冠はカッコいい。いかにも森の王様って感じでビジュアルは大変いい。

そしてレゴラス。
オーランド・ブルーム変わらないなー。
戦う姿は「ロード・オブ・ザ・リング」より何倍も堪能できて、レゴラスファンには良かったですね。
オリジナルキャラのタウリエルさんが結構よくて、レゴラスともども闇の森に生きるエルフの生き方を体現してます。
戦闘能力大事ですね。木々、岩を足場にして、軽々と跳びまわりながら弓を射る。
これまでエルフの身の軽さを生かした戦闘シーンってレゴラス以外少なかったし、それを思うと今回の森のエルフの戦いは興味深かったです。

さて、原作の中でもハイライトの一つとしてあげられる樽の脱出&急流下りですが、いやー、これぞ映画、ここは素晴らしかったですね。
映画用にかなり改変されていますが、おかげでハラハラしつつも笑える展開になっています。
ボンブール、おもしろすぎる。もともと好きなキャラだけど、ピーター・ジャクソンも絶対好きだろうという扱いをされていて、ヒジョーにわらける。
ドワーフはお笑いとシリアスがいい感じで混ざり合ってていいですね。

男前の人間(いわくあり)に助けられつつ、活きの悪そうな魚にまみれつつ、トイレから顔を出しつつ、なんやかやいろいろあって、一行はようやくはなれ山へ。
はなれ山グループと居残りグループと、ドワーフそれぞれの壮絶な戦いがここから繰り広げられるのですが、実は人間には人間の戦いがあるどころか、エルフにはエルフの、更に同時進行でガンダルフの戦いも存在して、映画の終盤はカオスな状況になっています、
悪の元凶とかなり近いところで戦う魔法使い、現状を打破するために自らがどうあればいいのかといった戦いをしてる森のエルフ、制度維持を図る権力者と町の安全のために動く人間の攻防、それらがドワーフ一行の出現によって引き起こされ、ドワーフがこれまた竜を起こしちゃったりしたもんだからもう大変なことに。
ドワーフはただ故郷を取り戻したい、誇りを取り戻したい、という思いだけなのですが、これが様々な厄介なことを呼び起こすのだから世の中は難しいです。

ドワーフ、がめついだのなんだの言われていますが、いいヤツラには違いありません。
山の下の王国の彼らの仕事場は素晴らしく、こういった仕事をする人達ならきっと素晴らしいのだろうという気持ちも起こってきます。
トーリンに指示されてそれぞれ仕事を担当するところは感心の一言で、アホなこと言ったり欲なこと言ったりしても、基本この人達は職人なんだなあと感じられてうれしかったですね。
旅の途中じゃそんなことわからなくてしょうがないんだけど、やっぱり鍛冶職人なんですよ。竜を倒すためとはいえ仕事してる時のイキイキした姿は印象的でした。

ふいご、デカすぎ。
ボンブール、やっと役に立ったかな?

さて、ドワーフの不幸の元凶、恐るべき竜スマウグですが、ベネディクト・カンバーバッチが声を(動きも)担当しているということで、そのせいなのかどうなのか、やたら魅力的なキャラになっています。
ビルボとの問答がいいですね。ユーモアあふれる邪悪です。
西洋の竜はキラキラ光る宝物が大好きだと言われていますが、スマウグの寝床にあるのは宝飾品よりも金貨が圧倒的で、竜だけど俗物っぽいというか、宝石よりもお金、芸術品よりもお金って感じで面白かったですね。
キレイなものに目がないというより、単なる金の亡者だあれは。
ウロコの間に金貨がはさまってるところとか芸が細かくて、バッサバッサと動くとチャリーン、チャリーン……。
こういう演出、好きですねえ。
そしてビルボとドワーフはスマウグを完全に怒らせ、人間の町へと向かわせてしまう……。
いよいよ次回は大変な戦争の場面です。

「ホビット」って原作はあんな語り口なものだから、なんとなくのほほんとして、すごく危険だったり悲しかったりしてもどこか穏やかなんだけど、映画はかなり大人向けというか、「ロード・オブ・ザ・リング」のおどろおどろしさの一端が垣間見えるどころか、世の中はかなり悪に侵食されてるって感じの状況で描かれていました。
これを知ってからフロドを旅に行かせるとなると、絶対「行くな」と言ってしまうわけで、ガンダルフってひどいなあというか、よく博打うったなあと思います。
アーケン石を竜から奪う役目にビルボを選んだのもよく考えたら酷い話だけど、ホビットの美点を最も良く知っていたのも彼で、その美点こそが世界を救うという考え方は、個人的には支持したいものではある。何かの犠牲の上に世界は守られるというのは好きじゃないけど。
でもこのシリーズはその辺のバランスが非常に絶妙なんですよねえ。

さて、泣いても笑ってもあと一作。
ヒジョーにいいところで終わっているので早く次が観たいですが、完全に終わってしまうのも寂しいものがあります。
でもやっぱり続きはよ!
とりあえず暴れるスマウグが観たい。
名前
URL
削除用パスワード
by teri-kan | 2014-03-10 11:19 | その他の映画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
カレンダー