幻想ポロネーズ 変イ長調 作品61

さりげなく続くショパンブーム。
ポロネーズの第7番です。ショパン晩年の大傑作。







幻想曲の次は幻想つながりでこれでしょう、ということで、大変難しいこの曲を選んでみました。
素人には聴くのも難しくて、どうだろう、ピアノに詳しい方はこの曲を絶賛しますが、一般的な知名度はそこまで高くないのではと思います。副題付きの割には同じポロネーズの「軍隊」や「英雄」に比べて耳にする機会が極端に限られている印象があります。
まあちょっと聴いただけでは全く耳にひっかからない、いわゆるキャッチーな曲ではないので仕方ない面はあるのですが。

私が初めてこの曲に触れたのはCDのポロネーズ全集でだったのだけど、1番から6番まで聴いた流れでこの7番を耳にした時は、「なんてとりとめのない曲なんだ」とガッカリしたものでした。
そりゃ最後は盛り上がるけど、正直「これがポロネーズ?」と疑問に思ったのです。
後に「幻想曲に近い」「幻想曲として作曲していた」と書かれてあるのを読んで大いに納得したのだけど、そういったことやショパンの当時の状態を全く知らずに曲だけポロネーズのつもりで聴いてしまったら、かなり戸惑うこと必至の作品だと思います。

というわけで、幻想曲のつもりで聴いたらなんとかついていけるようになったのですが、とはいえ同じ幻想の名がつくとはいえ作品49の「幻想曲」とは根本的に違ってて、あちらが積極的に妄想を働かせて前向きに幻想の世界を表現したものだとするなら、こちらはかなり受け身状態の幻想。
心身が不安定だったからかなあと思うけど、表現されている感情の揺れ方が危うい感じに聞こえます。妄想したくて幻想の中に行っているのではなく、幻想に取り込まれてしまってるといった感じ。絶望したり、開き直ったり、悲嘆にくれたり、希望を見たり、追い詰められつつある人の不安定さを感じます。

時折出てくるポロネーズのリズムは追憶のリズムなのかな。未来を見ることができなくなった人間が過去を振り返っているかのようで、とても懐古的に聞こえます。だから美しいけど物悲しい。
最後盛り上がるところも、聴いていて非常に複雑な気分になります。
全く現状打破になっていない激しさが哀れにすら感じます。
瞬間的なんだけど「どうせもういいのさ。さらばこの世」みたいな振り切れ方をしてるように聴こえたりして、盛り上がってカッコいいはずなのに、なんか寂しい気分になってしまうんですよね。
最後の一音なんてかなりキテると思います。
なんなんだこの音の終わり方はーっ!て感じ。

でも何度か聴き続けていくと、そういったショパンの晩年の心境や苦しさからこちらも解き放たれて、楽曲の気持ちよさにただ浸れるようになってきます。
この曲を理解するためのとっかかりとして作曲当時のショパンの病状をイメージしまくったのはいいけれど、実は曲に慣れてからもしばらくはショパンの病気に支配されていた感が抜けなかったんですね。音楽の向こうにある感情を長らく気付けなかった「舟歌」とは全く逆。
ショパンの病気や感情を感じずに聴けるようになった「幻想ポロネーズ」はとても気持ちよく、素晴らしい曲だと改めて思ったけど、そこに行くまでは結構かかりました。

というわけで、今では大好きなピアノ曲になっている「幻想ポロネーズ」。
たゆたう感じが大変気持ちいい。それでいて微妙な抑揚にいちいち刺激される。
あの広がりと深さは……うーん、行き着くところがなくて飽きることがありません。
本当にいい曲ですねえ。
[PR]
by teri-kan | 2014-03-19 12:51 | 音楽 | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< お肌と胃カメラ 「JAPANESE ONLY」... >>