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「チェーザレ 破壊の創造者」その1

惣領冬実による、チェーザレ・ボルジアを主人公とした漫画です。
現在まで10巻刊行。








悪名高いボルジア家の全盛期は15~16世紀のルネサンス期。
私はヨーロッパ史が好きですが、特に興味があるのは中世までで、ルネサンス以降、特にその時期のイタリア半島の歴史については、実はずっと敬遠していました。
なぜかというと、ボルジア家が評判悪い理由と同じで、欲にまみれ過ぎているから。
嫌悪感を呼び起こすほどの欲がどうしてイタリアで花盛りだったのか、いろいろ理由はあるんだろうけど、やはりカトリックのお膝元だったからなんでしょうねえ。

ヨーロッパの他国の権力の基盤が王権と軍事ならば、イタリアは商売と宗教、モロにカネ。
教皇庁がイタリアにあるからヨーロッパ中の金がイタリアに集まる。教皇は血筋で決まらず資質で決まるからある意味民主的だけど、ようするに金で買える地位とも言えるわけで、実際教皇庁は汚い金にまみれている。
そして血筋ではなくと言いながら、子供を儲ける聖職者は山のようにおり、一族の繁栄を目指して地位や領土をめぐる血みどろの争いをあちこちで繰り広げる。それでいながら神への服従を説く。
神への服従は、すなわち聖職者(自分達)への服従。
ここまで汚い世界もそうそうないだろうと思われるほど醜いイメージです。

しかしそれが当時の当たり前の社会で、そういうキリスト教の論理で成り立っている時代なのだからしょうがない。
いや、しょうがないというのも変ですね。ヨーロッパの支配者が自分達の権力を盤石にするためにキリスト教を利用してこういう社会を作ったのだから、やっぱりヨーロッパ人の資質が「そういうもの」だったとみていいような気がします。

なんていうか、ろくでもないんですよねえ。
で、ボルジア家というのは、その醜いヨーロッパの濃縮版というイメージで、まあチェーザレ・ボルジアは男前というのもあって人気があったりするようですが、個人的には「近寄らない方が良い人物」といった印象でした。

でも惣領冬実がチェーザレについて描くということで興味がわいたわけです。で、このたびようやっと読んだ。
本当は完結してからまとめ読みしたかったけど、完結するのかどうだかわからない雰囲気になってたんで読んでみました。
で、確信したけど、おそらく完結しないでしょう、これは。
適当なところで終了するんじゃないかな。
チェーザレの死まで描くとしたら、ううーん、あとどれだけ紙がいることやら。

とにかく、10巻は内容的にもキリがいいし、ここで読んだのは良かったと思います。
まだ読んだことのない方は今読むのがオススメ。



というわけで、その2に続きます。




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by teri-kan | 2014-07-24 13:51 | 漫画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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