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「エマ」

森薫の漫画。

時はビクトリア朝。
主人公はメイドで、ガッチガチのイギリス階級社会が舞台。
メイドの生活ぶりと、階級社会のイヤミぶりがとことん味わえる良作です。

初め頃は、まさかこんな深刻なお話になるとは思っていませんでした。
のほほんとした青年坊っちゃんと、物静かだけど芯の強いメイドさんの、のほほんとしたあったかーい関係が、このままのほほんと描かれていくのかなーと思いきや、いやはや、なんともハードな展開に。

えげつないわー、エゲレス。
ギッチギチの階級制度は何百年と安定を保ってきた社会の賜物ではあるのだろうけど、一度過激な市民革命なりなんなりして壊してしまえば?とでも言いたくなるような、そんなえげつなさに満ち満ちています。

イギリス人がアメリカに行きたくなる気持ちがわかるし、パンクだなんだと破壊的な若者文化が起こったのもわかる。
若かりしデヴィッド・ボウイがイギリスを嫌ってアメリカに住んだのもわかる(笑)。
フランスと違い移民を移民として思いっきり区別して、同化させようとしないのもわかる。

とまあ、現代人から見たらイヤーな感じしかしない階級社会の、多分問題が表面化してきた頃のお話ですね。
主人公のお相手の坊っちゃんが爵位を持たない新興の家の跡継ぎということで、いろいろと価値観が入り乱れる時代のゴタゴタがたくさん描かれています。
坊っちゃん、もしかしたら一番難しい立場の階層の人だったかも。
だからこそ彼の意思や頑張り次第なわけで、彼に対して「ガンバレガンバレ」になってしまうわけです。

とはいえ、メイドさんには大変な今後だろうなあと思います。
もう少し時代が下れば、もしかしたら大戦とか始まれば、価値観もごちゃまぜになって、もうちょっと生きやすくなるかもしれないけど。
まあそんな一気の破壊なんて求めてちゃ命も危ないので、やっぱり徐々に変えていくしかないですね。
坊っちゃんのお父さんにはお父さんの苦労があったように、代替わりしながら徐々に変えていくしかない。
ちょっとずつでも変える努力をしていかないといけないんだろうなあと、先行き大変そうな主人公のラストを見て思った次第でありました。
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by teri-kan | 2014-08-01 10:16 | 漫画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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