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バテレン追放令

大河ドラマ「軍師官兵衛」、舞台が九州に移りました。

九州。
キリシタン大名がたくさん、キリスト教改宗者たくさん、キリストの名のもとに迫害された神社仏閣たくさん、欧州のキリスト教国に売られた女性たくさん。
いろいろと、本当にいろいろと問題を抱えていた場所であります。
秀吉が危機感を覚えて当然ですね。








この時期世界でキリスト教が何をやっていたかを見てみれば、秀吉のキリスト教対策は正しかったとしか言いようがありません。
あのまま野放しにしていたら、他国のように宗教対立が起こる日本になっていたかもしれないし、植民地とまではいかないにしても、欧州の支配をある程度受ける日本になっていたかもしれません。
少なくとも干渉はずっとされ続けたでしょうね。軍事攻撃される口実もうっかり与えたかもしれない。
この時期の日本国内のキリスト教に関しては、殊にキリシタン弾圧だけが取り沙汰される傾向がありますが、何もないのに信仰の自由をただ禁止したわけではないし、いろいろと勉強すべき事柄ではあります。
とても難しいですけどね。

キリスト教は他者の存在を許しませんからねえ。
おおっぴらにそうは言いませんが、布教活動してる時点で言ってるも同じだし、時々恐ろしいほど寛容性のない宗教だなあと思いますね。根本的に日本人には馴染みにくい教えだと思います。
でも弱者のための宗教だというのはすごく感じる。
だから戦国時代の、特に女性がキリシタンに改宗したのはとても理解できます。

魚がシンボルだった頃の原始キリスト教もやっぱり理解できて、女性信者が多かったというのも頷けるんですよね。
ローマのあの時代にあの教えは、そりゃあ弱者の心を救っただろうと思うのです。女性達がすがるように原始キリスト教に帰依したのはわかる。キリスト教の教え自体は、素晴らしいものだと私もさすがに思えるのです。
でもね、植民地政策やってた頃の、特にイエズス会の活動は、欲を背景にした醜いものだったよねえ。

大河ドラマで戦国時代の近畿以西が舞台になることは珍しく、過去を振り返っても「毛利元就」しかないようなのですが、今回黒田官兵衛が主人公ということで、小早川隆景が主要人物として登場したり、戦国末期の中国地方が今までになくTVで描かれて、とても新鮮な気分でドラマを見ています。
播磨や中国地方が出たのだから、次は九州の大名をメインにした戦国の大河ドラマを作ればいいよなあとちょっと考えたのですが、上記の通り、九州を取り上げるとキリシタンの問題を真正面から取り扱わないといけなくなります。
「軍師官兵衛」によく出てくる高山右近はクリスチャンとして評価の高いキリシタン大名ですが、九州のキリシタン大名は、いろいろと、そのー、評判がよろしくないんだな。一方的な見方すぎるかもしれないけど、ホント、評判がよろしくない。
火薬欲しさに日本女性を売ってたとか、「え?」って話も出てくるし。

まあ、人身売買は別にキリシタン大名だけが行っていたわけじゃなく、当時は普通に戦に負けたら売られたり買われたりして、女性だけに限らず、戦国時代は弱者がそんな扱いをされる時代でした。
(大河ドラマでは「武蔵」で珍しくそういったことが描かれていました。チャレンジだったんだろうなと思います。)
だから、キリスト教が流行る下地はあったんですよね。「軍師官兵衛」では荒木村重の妻が熱心なキリシタンとして出ていましたが、あんな状況で心穏やかに死んでいくためには信仰の力はなくてはならなかったでしょう。

でもキリスト教は戦国時代の弱者の筆頭だった女性を奴隷として買うんですよね。
いや、本国との売買の仲介をするって感じなのかな?
どちらにしろ、売る方も売る方、買う方も買う方、仲介する方も仲介する方。
キリスト教ってホント自分の都合なんだ。
でも一般信者は私の体験でも善い人が多くて(そうでない人もいるけど)、だから庶民のキリシタンが弾圧された歴史は辛いんだよなあ……。

「軍師官兵衛」は近年稀に見る中身のある戦国の大河ドラマだけど、多分宗教を描くことから逃げてないからでしょうね。
徹底的に仏教界の力を削いだ信長から、秀吉を経てキリスト教を禁じた家康まで、戦国時代って宗教を政治に介入させなくするための戦いの時代でもあるのですが、キリシタンと関わりが深かった官兵衛の目を通してそれを描くことで、ただの国取り合戦になってないドラマになっていると思います。
現在の日本が宗教ストレスフリーな国になってるのは彼らのおかげと言っていいと思うんですよね。
でもそのために膨大な血が流されたことも確か。

供養が絶対に必要ですよね……。
でも供養するには宗教が必要なんですよね……。
必要だからこそ社会の中でどうバランスとって存在させるか、そこが難しい……。




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by teri-kan | 2014-09-02 14:15 | 大河ドラマ | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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