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「ラ・セーヌの星」とチューリップ

このブログって日本以外の事だとフランスに関する記事が多いなあと、前々から過去記事を振り返って思っていたんですが、「マスケティアーズ」にハマって改めて自覚しました。
私はどうやらフランスが好きらしい。
少なくとも他のどの外国よりも。

まあアルセーヌ・ルパンが好きなので自然とそうなってしまうんですけどね。
実はルパンは私にとって理想中の理想。理想のフランス男。
女に優しい弱者の味方。
女たらしでありながら正義の人。
「マスケティアーズ」のアラミスは、だからまんまタイプ。
ハマってしまうのも、これはもう小学生以来そうなんだからしょうがない。
私はこういうのに弱いのです。(但しフィクションに限る。)

もう一つのフランス好きの原因は、まあベタですが「ベルサイユのばら」。
華麗な文化とドラマチックな歴史。ドラマチックな人間模様。
これに心惹かれない女子がいようかってものです。
なんだかんだでフランス史は面白い。

まあそういう感じで、この二本柱が私のフランス好きの基本かなあと考えたのですが、ふと思い出したんです。
そういえば「アルセーヌ・ルパン」と「ベルサイユのばら」のいいところを併せ持ったアニメがそれ以前にあったよなと。
自分は元々それが好きで、フランス好きの原点を求めるならむしろそっちの方だよなと。

そのアニメこそ「ラ・セーヌの星」。
革命期のフランスを舞台にした、とある少女を主人公にしたアニメです。

主人公は夜になると剣を持って悪と戦う花屋の女の子。
しかしその正体はフランス王妃の腹違いの妹。
本人それとは知らず権力を憎み、事実を知って苦悩するも、最後には和解。
和解っていうか、フランス革命だからね、王妃は断頭台へ、本人は姉の思いを胸にパリを離れる。
それがもう劇的。最後の場面は今でも忘れられん。
私はしばらくマリー・アントワネットには妹がいると思い込んでいました。

彼女には「黒いチューリップ」という義賊の味方がおり、それがまたイケメンの男子。
彼の正体がこれまた文句なしで、良い生まれなのに義賊、とことん正義の人という、おいしいところしかない男。

当時このアニメが大好きで、シモーヌ(主人公)には心底憧れたものでした。
主題歌も歌いまくってました。
「良いフランス男とは、男前で女に優しく弱者に優しい」という刷り込みは、アルセーヌ・ルパンを読むよりも随分前、「黒いチューリップ」からきていたのでした。
後に読んだ「ベルサイユのばら」で似たような人が登場して、「まるで黒いチューリップだー、フランスってこういう話がたくさんあるんだー」なんて思ったものでした。
黒いチューリップ、ホントに素敵だったんですよ。
女の子が憧れるのもしょうがないというくらい。

まあ今見たら、「え!?こんな絵!?こんな顔!?」ですが。
古いアニメですのでね、それはしょうがないです。
1975年ですよ、75年。
私が見たのは再放送ですが、それでも随分昔です。



ところで、「黒いチューリップ」で検索をかけると、デュマの作品が出てきます。
義賊の話ではないようですが、心惹かれるタイトルです。
アラン・ドロン主演の映画(1963)もあります。
デュマの原作を元にしていますが、だいぶ内容は変わっていて、こちらはホントに義賊の話。
解説には「フランス革命迫る動乱の時代を背景に、貴族を罰し庶民を助ける神出鬼没の快盗“黒いチューリップ”の活躍を描いたアクション」とあります。

「ラ・セーヌの星」はこれを参考にして黒いチューリップのキャラを作ったのだと思われますが、にしてもフランスにとってチューリップってなんなんだろうと思わされます。

「黒いチューリップ」の監督であるクリスチャン・ジャックがそのまた昔に監督した映画、ジェラール・フィリップの「花咲ける騎士道」の原題が「ファンファン・ラ・チューリップ」で、やっぱり「チューリップ」なんですよ。
「ファンファン・ラ・チューリップ」はもともとフランス民謡で、少年の武勇を語ってる歌らしいんだけど、でもやっぱりなんでチューリップなのかがよくわからない。
フランス人にとってのチューリップのイメージってどういうものなのか、ちょっと知りたいです。

花だけど男性と結びついてるんですよねえ。
男性というより男の子。せいぜい青年。
チャーミングな若者というイメージですね。
そんな男の子が戦ってるのが、なんでか知らないけど「チューリップ」。
一本でスッと立って、鮮やかだけど花弁がシンプルなのがイメージに合ってるのかなあ。

とりあえず言えることは、フランスには明るいチャンバラがあるということ。
弱者に優しい正義の戦いがある。
ひたすら女に優しい正義の男がいる。
時代背景が暗くても、だから陰鬱なだけじゃない感じになる。
ドラマチックで、やっぱりイキイキしてるんです。

これが今でもフランスがいいなあと思う理由の一つではあるかも。
応援したくなるフランス男です。
ルパンとかファンファンとか「マスケティアーズ」のアラミスとか、憎めない感じのフランス男はずるいなあと思います。
みんな大きな欠点を持ってるんだけど、愛嬌がハンパないんですよね。
この手の男は「俺の愛した女はみんな死んでいく」というパターンもあって、ますます応援しなきゃならない羽目になる(笑)。
やっぱりずるい気がします(笑)。




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by teri-kan | 2016-06-15 09:06 | フランス映画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


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