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リー将軍の銅像

白人至上主義者とそれを許さない人達との対立がアメリカですごいことになってます。
白人至上主義は問題外ですが、人種差別反対を訴える人達も壮絶。
リー将軍をはじめとする南北戦争時の南軍の将の銅像がターゲットにされ、あちこちで引き倒し、踏みつけ、破壊が行われています。







最初はなぜ銅像が壊されるのかわかりませんでした。
確かに南北戦争は奴隷制が焦点になりましたが、南北の対立は経済的な問題が大きく、奴隷については事情が複雑だったし、リー将軍を単純に「人権問題としての黒人差別の象徴」とするのは、ちょっと違うのではないかと思ったからです。

でも銅像が建てられたのが、黒人差別が酷かった1950年~60年代にも多かったとなると、話は変わってくる。
それだと確かに銅像は忌まわしいものでしょう。
奴隷ではなくなったけれど、当時も白人の黒人への態度は同じ人間に対するものではありませんでした。

黒人差別の構造は私が知る限りでも複雑で、永遠に解決されないのではと思われるほど根深いのですが、差別となると黒人以外にもヒスパニック、アジア系、イスラム系と、アメリカは入り交じってる。
アジア系は黒人に差別されるとか、一昔前に聞いたことがあるけど、今はどうなってるんですかね?
差別構造のヒエラルキーの頂点にいる白人についても、白人至上主義者はそもそも何を望んでいるのだ?って思うし。
白人人口が減りつつあるからこそ立場にこだわるのでしょうが、にしても今更「白人教」を信仰したってねえ。
正直言って「何をしたいんだか?」って感じです。

かといって企業経営者や政治家、グローバリストの「人種差別反対」の声もうさんくさい。
肌の色が黒かろうが白かろうが、彼らにとっては同じ労働力、同じ一票。
それだけの話でしょ?ってフシもあるし。
アメリカの本音と建前は闇が深すぎて、うかうかと綺麗な言葉を信じてはいられません。

なんてことを考えていたら、なんと次はコロンブスの銅像がターゲットになっているらしい。
いやあ、すさまじいなー。
コロンブスの次は誰だ?
はっきり言って歴史上の人物の白人でセーフな人はいないんじゃないの?
入植した白人は慣れない土地でインディアンに助けてもらいながら、後にインディアンを虐殺した人達。
そんな彼らを否定するのはいいけど、でもこんなことをやり続けていたら自分達の存在すら否定しなければならなくなると思うんだけど。
一体何をやってるんだろうねアメリカは……。

いやまあ確かにコロンブスはひどいんだけどさ。
次にターゲットになりそうなワシントンもひどいんだけどさ。
でも「その時代はそういう時代だった」と理解して先に進むしかない話だと思うし、いくら酷い人物とはいえ、彼らの足跡の上に今のアメリカが存在していることは確かなわけで、少なくともこんな勢いに乗って銅像を壊そうとか、そんなことはしてはいけないと思うんですけどね。

ただ、こういったことは遅かれ早かれアメリカには起こることだったかもしれないと思います。
パンドラの箱を開けたのはトランプだけど、既にふたが中から持ち上がりそうなくらい箱の中は不満で飽和状態だったのでしょうから。
ポイントなのは箱のふたを最終的に押し上げたのが下層・中間層の白人だったってことかなあ。
やはり格差をつけすぎちゃいましたよ。
アメリカ教をアメリカ人が信じられなくなったら、人工国家アメリカは結構きついんじゃないでしょうか。



アメリカって、きっともう狭くなっちゃったんですね。
あそこの最大の価値はフロンティアだったことですが、もうそうではなくなって、自由を守る余裕もなくなったってことかなと。
自由って自分の価値観で生きていけるってことだから、国が狭くなるとそういった好き放題な自由は担保出来なくなると思います。
そうなったら、アメリカはアメリカではなく、他と変わらない普通の国ってことになるような。

移民による人工国家がどのように変貌するか、その変化の只中にいるってことなんでしょうね。
今までは「汚い国だけど魅力的な国」ってイメージでしたが、それがどうなるか。
とりつくろえないほど分裂が深刻化したら、アメリカは帝国じゃなくなってしまうような気が。
数百年をかけてやってみたアメリカが失敗だったとなると、異なる人種、異なる宗教、異なる価値観の人間が一つ所に仲良く住むなんてことは幻想である、ってことに確定しちゃいそうだから、それはそれで如何なものかという気持ちになります。




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by teri-kan | 2017-08-25 10:41 | その他 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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