「三銃士の息子」

1929年発表のフランス産ユーモア冒険小説。
なんとも心惹かれるタイトルです。
この三銃士は本当にあの三銃士で、ダルタニアンの従者プランジェが登場します。

作者はカミ。
ハヤカワ・ポケット・ミステリ。
妙にかわいらしい表紙の本です。







カミは1884年、ダルタニアンの故郷とも近いポーの生まれ。
ユーモア作家として知られていて、本書のオビにも「チャップリン絶賛」などと書かれています。
ちなみに1884年生まれというと、アルセーヌ・ルパンのちょうど10歳年下になり、ベル・エポックの時代に若かりし時を過ごした人、ということになります。
少年時代は闘牛士になりたかったそうで、それを知ると本書の内容もなるほどね~と思えます。

楽しいフランス冒険小説(できれば王朝時代モノ)がないものかと探していて、見つけた1冊なのですが、これはオビにもある通り、「ア・リ・エ・ナ・イ」小説といっていいでしょう。
どのようにアリエナイかと言うと、言うなれば、映画の「少林サッカー」。
普通のサッカーが「少林サッカー」になったように、普通のチャンバラ冒険モノが、物理の法則を無視したトンデモ活劇になった感じ。
ギャグ漫画が文章になったと考えればいいのかな?
1929年の作品ですから、当時としては確かに斬新だったかも。

とてもステキなタイトルですが、これは実は三銃士といっても、ちょっとひねった三銃士でした。
なんとアラミスがいないんですよ。
息子はアトスから気品を受け継ぎ、ポルトスから頑健な体を受け継ぎ、ダルタニアンから勇気と知略を受け継いでるという設定で、確かに知略をとられちゃうとアラミスから受け取れるものって…………腹黒さ? 
謀略家なところしかないかも。

三銃士なのに四人いる、というのは収まりが悪かったんでしょうねえ。
かといって一番の有名人のダルタニアンを外すわけにはいかない……。

といった風に、アラミスのラの字も入らない作品になってるわけですが、まあ、読み進めるうちにそんなことは気にならなくなります。
彼らはもう死んでしまってる時代の話ですしね。
彼らの息子の主人公が奇想天外な知恵と技を使って幸せをつかむ話として、とことんアリエナイ成り行きを楽しめばいい作品になってます。

ちなみに、本当に息子は三人の資質をその体に受け継いでいます。
遺伝子のことは真面目に考えない方がいい。
本当にそういった意味でもアリエナイお話です。

本書のユーモアについていける人といけない人と、多分結構はっきり分かれるんじゃないかと思うけど、私は好きな方でした。
本当に本当に、くだらなくてバカバカしいんですけどね。
でもハッピーエンドだし、くだらないのが好きな人にはいいんじゃないかな。

あ、ちょっと映画「マーズアタック」の雰囲気があるかも。
ああいったナンセンスが好きな人にはオススメです。
挿絵がこれまた変わってて、著者本人の筆によるものなんだけど、そういったのも含めて、いろいろと風変りな作品であることは間違いない。

頭をカラにして楽しんだらいいのではないかと思います。
これはとことんそういった本でした。




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by teri-kan | 2018-02-07 12:53 | | Comments(0)
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