「鉛を呑まされた男」

ニコラ警視の事件シリーズ、第2巻目。
ジャン=フランソワ・パロ著、ランダムハウス講談社文庫。

第1巻の事件から約八か月後の秋。
パリにも仕事にもそこそこ慣れ、ヴェルサイユに呼ばれることも増えた、まだまだ青いニコラの活躍のお話です。







これまた事件モノなのであらすじは省くとして、大雑把な特徴としては、第1巻と比べてより政治的になっていた、ということです。
前回は言ってみれば警官の事件というか、警察と、あるブルジョワ家庭が事件の舞台だったのですが、今回は宮廷政治と、有力貴族の家族が事件の核。
エライ人もたくさん出てきて、なんていうか、貴族ってウーンと言いたくなるお話。
一部の貴族がろくでもないのはわかってたけど、にしてもウーン。

フランス革命って、国王夫妻が旧体制の全ての責任を背負わされた感じになっちゃったけど、ガンは貴族だよねえと、改めて思っちゃったですよ。
国王の権威に寄生しながらも、王に対して忠誠心はない。
うーん、サイテー。
貴族もいろいろ、ブルジョワもいろいろ、フランスのこのカオスはなんだろうと、すごく丁寧に当時を描いている本書を読みつつ、頭を抱えたくなります。

主人公のニコラはその出自ゆえ、そういった「フランス社会を構成する複雑な各階層の人達」に、それぞれ深く関わります。
彼は聖職者に育てられた市民であり、実は貴族であり、警察として社会の末端の人間とも親交を深める人物。
人々との間に垣根がなく、あの時代にあってかなり特異な立ち位置にいる人物になっている。

上手いこと考えたキャラだと思います。
この作品はこの先何冊も続きが出ているのだけど、そういった立ち位置の彼がこの後のフランスをどう生きていくのか、その辺もおそらく見所になっているのだろうと想像します。



第1巻で活躍したキャラが今回もレギュラーとして登場していて、そういった個性ある脇の人達も魅力的なお話。
ただ、このシリーズは事件モノだけど、分量の割にミステリーの要素は少な目かもしれない。
事件を通じて当時の社会と人間を知る、という方に主眼が置かれてるような気がします。
謎解きやトリック、そういった面での奇想天外さを求める人には、もしかしたら物足りないかも。

フランス好きには楽しめる作品であることは間違いない。
登場人物のグルメっぷりもすごいので、食道楽の日本人には合ってるかなと。
調理法がやけに詳しく描かれてるところも見どころではないでしょうか。
フランス人とフランス料理万歳!と言いたくなる作品でもありますね。




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by teri-kan | 2018-03-26 14:32 | | Comments(0)
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