「黒井戸殺し」

土曜の夜に放送された、三谷幸喜脚本のアガサ・クリスティドラマ。
野村萬斎の勝呂シリーズ第2弾ですね。

原作は「アクロイド殺し」です。
邦題「黒井戸殺し」にはクスリときました。
このシリーズの醍醐味はあちらの人名や地名をどのような日本語に置き変えるのか、そこにあるのかもしれない。

執事のパーカー → 袴田
ラグラン警部 → 袖丈警部

このあたりがお気に入りです。
こういうの、ホント好き。







実は原作は読んでません。
でもデヴィッド・スーシェのドラマ版は見てて、多分最低でも二回は見てるはずなんだけど、犯人が誰だったか、すっかり忘れていました。

話の成り行きは覚えてるのです。
そうそう、お医者さんが電話を受けるよね、椅子が動いてるよね、ドアの前でいろいろあるんだよね、お手伝いさんが息子とデキてたんだよね……等々、そういうのはしっかり覚えてるのに、なぜか誰が犯人だったかは全然思い出せないという。

多分手記のせいで混乱したのだと思います。
イギリス版のドラマはお医者さんの手記のくだりなんてなかったような気が。
あったっけ?
うーん、よく覚えていない。

とにかく、そのせいで犯人が誰だか紛らわしいことになったのだと思うのだけど、そういえば昔冒頭だけ読んだことがあったのを思い出して(親の焼けまくった古い文庫本をパラッとめくったことがある)、そういえばああいった語りによる回顧録っぽい感じだったよなあと思って、Wikiでちょっと調べてみたら、うん、この手法には「フェアじゃない」という声が当時からあったんですね。
語り手が犯人だなんて卑怯じゃないか、って感じで。

Wikiにはなかなか面白いことが書いてあるんだけど、まあそういったわけで、フェアかフェアじゃないかは判断つかないけど、とにかく私は何度も何度も見るたびに騙される、ミステリー作家にとってカモのような客なのでした。
チョロすぎて騙し甲斐がないかもしれません。
もともと小説でもドラマでも、犯人捜しをしながら読んだり見たりするタイプではないので、犯人が予想と違ってた当たってた、といった盛り上がり方をしないというのがあるのですが、にしても記憶力の悪さに我ながら愕然とします。

「えー、この人が犯人だったんだー!?」という新鮮な驚きを、「アクロイド殺し」では今回のドラマも含めて最低三回はしてることになりますからね。
いい加減にしろよとさすがに思います。

でも今回のドラマで犯人は記憶にバッチリ刻みこまれました。
大泉洋の終盤の表情はとても印象深かった。
勝呂の提案が結構ゲスくて、二人のやりとりの緊張感がすごい。
「殺人犯にも人権がー」なんて時代ではないですからね。
人間関係の絶妙さこそがこのドラマの鍵だったと思います。

で、日本人バージョンになると、やっぱりイギリス版ドラマよりウェットなんだなあ。
三谷幸喜版の「オリエント急行」でも、ラチェットもちょっと生い立ちに気の毒な面がある人になってたし、今回もイギリス版のお医者さんより大泉洋の方が見ていて辛かった気が。

まあ、原作がどうなってるかによるのだけど、イギリス版のポワロのドラマは大体ドライなので、きっと原作もドライなのだと思います。
もしくはこっちがイギリス人に思い入れがなくて、大泉洋に思い入れがあるだけとか。

その辺どうなんだろうと、ちょっと思いましたです。
今回のドラマは終わり方が余韻ありすぎでしたね。




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by teri-kan | 2018-04-16 17:12 | ドラマ | Comments(4)
Commented by suezielily at 2018-04-16 17:30
こんにちは
見てないけど予告でワトソン君になれと?、のセリフで突っ込みを 笑
野村萬斎さん。。。むしろ大泉さん(勝手に石立鉄男の後継者と決めた私)のほうがいいような気がしたけど、ポワロ。
漫画をチラ見したかぎり、陰陽師も稲垣さんと杉本哲太さんが似ているな、と思った次第です。
Commented by まるさん at 2018-04-17 15:56 x
 teri―kanさま、こんにちは。
 前回の「オリエント急行」、「そして誰もいなくなった」的なオールスターの豪華さはないけど、大変良く出来た
ドラマでした。大泉洋の演技力と存在感がこのドラマの出来不出来を左右すると言ってもいい位難しい役でしたね。
 ドラマの視点がもっと劇的に変わるともっと面白かったかもしれません。でもこれだけ上手ければ合格点だと思います。
 「アクロイド殺し」は結構有名な叙述トリックを使った小説ですが、映像化するのは至難の業だと思うのですね。また原作と違う物語にする方が、見る側にもインパクトがあります。スーシェのBBCドラマでは、かなり結末等を変更していたので、(本国ではクリスティ作品の改変にためらいが無い模様)正統的に原作の大筋を変えず、三谷色も入れて、しかも、日本人的な感覚を生かした出来栄えになっている…。これ、テレビドラマでなくて舞台で観たかったかもしれません。
Commented by teri-kan at 2018-04-17 16:07
suezielily様、こんにちは。

そう、ワトソン!
あれで余計紛らわしくなったのです。

「そういえばポワロにはヘイスティングズがいるよな、レギュラー化するなら三谷作品常連の大泉洋はピッタリだな、このまま大泉洋が助手になったらいいかもね」

……なんてことをドラマを見ながら考えてしまったせいで、犯人が誰だかわけわからんことになってしまいました。
あれはひっかけだったのかどうか、ともかく私は「ワトソン」のセリフにうかうか乗せられ、彼を助手候補に仕立ててしまい、犯人候補に挙げることを忘れてしまったのでした。
ホントちょろい視聴者なのですよ……。

大泉洋にポワロ……どうでしょうか。
いい人そうな印象が強いので、合うかどうか判断に難しいです。
新境地が開けそうな感じはしますね。

陰陽師は平安貴族の雰囲気が大事なので、萬斎でよかったと個人的には思っています。
稲垣吾郎も良かったですけど。
杉本哲太は確かにピッタリだったと思います!
Commented by teri-kan at 2018-04-17 16:37
まるさん様、こんにちは。

前々から映像化が困難と言われていたようですが、私は原作を読んでないので、最初その意味がよくわからなかったのです。
本国ではドラマ化してたけど?私もうBBC版ドラマで見てるけど?って感じでしたし。
でも今回の「黒井戸殺し」で語りが肝だったとわかってからは、なるほどと納得しました。

>スーシェのBBCドラマでは、かなり結末等を変更していたので

おおー、やはりそうだったのですね。
残念ながらどんな終わり方だったか覚えてないのですけど、見てるこっちの感覚が違ったことはわかったので、どうだったっけ?と気になっていました。

三谷幸喜、かなり上手に作ったのですね。
原作既読の方に評価してもらえたら、ご本人も本望でしょうね。
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