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「影の軍隊」(1969)

ナチス支配下のフランスにおけるレジスタンスの物語です。
主演はリノ・ヴァンチュラ。
監督は日本では「サムライ」が有名なジャン=ピエール・メルヴィル。



レジスタンスのお話と言っても具体的な工作活動とか破壊活動が見られるわけじゃなく、1942~43年だからナチスは圧倒的にフランスを支配してて、同志は次々と逮捕・拷問・処刑されていく状況です。

見るからに苦しい。
先の希望はまだまだ全く見えない。

そんな状況下でレジスタンス活動をする人達の気概というのが、言葉にするのが難しいんだけど、熱く燃えるというのでは全然なく、むしろ冷静、冷徹、淡々。
でも感情はある。
おそらくすべきことをするといった感覚なのだと思うけど、命がかかってるので時に恐ろしいほど苛烈になる。

特に裏切り・密告に対しては……内輪の処刑シーンは壮絶すぎた。
やられるのが年配者じゃないってのが、これまた。
若者には未来があるのに!といったこと、善の側のはずのレジスタンス闘士にも通用しない。
ナチスは明らかに悪だが、レジスタンスはレジスタンスで血も涙もない戦いをしている。

……といった感じの映画です。
確かにナチスが悪いんだけど、ナチスから受けるプレッシャーによるレジスタンス内の緊張感がハンパなくて、なんかもうずっと緊張してるって感じの、そんな映画。

監督のメルヴィルは実際にレジスタンス運動に参加した人で、この映画はそうであるからこその彼らの真実ではあるのでしょう。
エンターテイメントって感じまるでありません。
苦しい映画です。



リノ・ヴァンチュラは存在感がすごいですね。
個人的には「モンパルナスの灯」のえげつない画商が印象に強いですが、他にも警察の役とか、そういうプロフェッショナルの威厳や説得力を力強く表現できる俳優さんってイメージです。
あと、シモーヌ・シニョレが良かった。
ラストシーンは、いやあ、それしかないかあとは思うものの、レジスタンスは苦しい。

酷い時代でしたね。
ああいうことがありえた時代だったというのが本当に苦しいです。




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by teri-kan | 2019-08-02 00:00 | フランス映画 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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