アメリカからロンドンに渡ってきたばかりのシングルマザーが幼い娘を保育園に預けたのだが、保育士の誰一人その子を見ないまま子供が行方不明になってしまう。
新居にも子供の物は何一つなく、子供の存在すら警察から疑われる中、若い母親とその兄は子供を見つけようと独自に捜索に乗り出すのだが……といったお話。
出演はキャロル・リンレイ(「ポセイドン・アドベンチャー」の歌手の人)、キア・デュリア(「2001年宇宙の旅」の船長)、そしてローレンス・オリビエ。
監督はオットー・プレミンジャーです。
誘拐された当人を誰も見ていないためその存在自体を疑われる、といった作品は他にもあるけど、この作品はその子供を観客も見ていないため、「ホントに存在しないんじゃないか」という気にさせられてしまうという、そういう面白さがあります。
しかもそう思っても仕方ないくらい母親がちょっと不安定。
まあ子供が行方不明だから母親が多少おかしくなってもしょうがないんだけど、疑いたくなるようなエピソードがちょっとずつ出てきたりして、「もしかしてホントに母親の妄想かも?」な気持ちにさせられてしまう。
で、実は犯人は時間的に思ったより早くわかるのだけど、ここから急に話の雰囲気が変わると言うか、実はここからが真骨頂でしたみたいな感じになって、いやー、もう恐い恐い。
ヤバいよ、あいつ(苦笑)。
目が恐い。顔が恐い。
あー、こりゃしょうがないわーみたいな、今までこうして生きてきたのねー、といったことになるのです。
うーん、マザコンの変形タイプと言えばいいのだろうか。
ヤバいよヤバいよ。
……といった、品はあるけど怖い映画なのでありました。
モノクロなのが品を担保してるかな。
このモノクロ映像が実に美しかったです。
オススメ。