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「神々の子孫」

副題は「 『新撰姓氏録』から解き明かす日本人の血脈」。
戸谷学著、方丈社。





戸谷氏の著作はそれなりに読んでるのだけど、悲しいかな、記憶力の悪さゆえ雰囲気でしか覚えられていないものが多い。
でも今回は「スサノヲの正体」を読んで間がないのでこれについては内容を覚えてて、なので今作「神々の子孫」を読んで「自分は思い違いをしていたらしい」ということもわかって、なんかますます頭がこんがらがってきました。

どうやら一度過去の作品を読み直さなければならない感じ。
オオヒルメってスサノヲよりも早く日本列島に来てるのね。
「ヒルコ」も読んでるんだけど、ホント頭の中で整理できてないのを実感します。

といった、前作の記憶がある分残念な気持ちにさせられた本作ですが、記憶がある分良かった点もあって、なんといっても尾張氏を始めとする渡来人についてですよ。
「スサノヲの正体」を読んだら渡来系について知りたくなるのは必然で、本作はその辺のフォローにもなってます。
なってるけど、複雑なのものはどうあっても複雑(苦笑)。
「国譲り」についてももっと頑張って考察しないと駄目っぽい。

そしてやっぱり謎が深まる三種の神器の一つ、草薙剣。
一体どこにいっちゃったんだろう。
もしかしたらヤマトタケルは本当の草薙剣を失くしちゃったから死ななきゃならなくなったんじゃないの?
ていうか、ヤマトタケルが倒したイズモタケルの「出雲」も島根じゃなく大和の出雲となると、考えなきゃいけないことがまたまたたくさんよ。
ちなみに今最大の関心は物部氏と尾張氏、ヤマトタケルと武内宿禰です!



本書は戸谷氏のこれまでの論のまとめのようなもので、特に後半は基本的な考え方や思想のようなものもわかりやすく書かれています。
氏の本を初めて読む方には本作から薦めたらよいかも。
どういうスタンスで古代史にアプローチしているのか理解しやすいと思います。

神道の専門家という肩書はそういうのに全く不案内な人間にはありがたく興味深い。
古代エジプトにしても古代ヨーロッパ(ケルト、ゲルマン)にしても、当時の宗教を知らずして歴史の解明なんてできませんし、日本においてもそれは同様だと思います。
しかも日本は砂に埋もれたエジプトやキリスト教に覆われたヨーロッパとは違って、今も神社が残って古代の精神を伝えてくれている。
ここを深掘りしなくてどうするのだ、って感じなのです。
天皇の行う祭祀が古代の日本を知る上で重要なのは当然だし、神様について知りたい気持ちは募るばかり。

でも本書の最後を読むと、現在の皇統存続問題にはかなり憂いを抱いていらっしゃるようで、「神々の子孫」の国である日本も今後はどうなることやら。
なんだかんだで二千年続いてる実績はあるので、のらりくらりしなやかに対応できないかなあ。
時代はあまりにも大きく変わってるけど、せっかくなので日本の日本らしいところは残したまま存続してもらいたいものです。
話題の某K氏についてもいい加減ハッキリ決めてもらいたいですね。




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by teri-kan | 2021-05-28 00:00 | 本(歴史書・新書 日本) | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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