ダンブルドア私見 その5

ハリーポッターの世界では、神秘部に置かれていたあの「予言」の数からして結構頻繁に予言が行われているんじゃないかと思います。ただ、それらが全てその通りに実行されているわけではないところが面白い。その設定は秀逸ですね






トレローニーの「予言」が行われたのは予想外の出来事であったが、スネイプに立ち聞きされた事こそ全くの計算外であり、ダンブルドアは心ならずも戦術の変更を行わなければならなくなった。というのも予言の内容を分析すればするほどそれを封殺したい気持ちにさせられるような、立ち聞きされていなければ秘密裏に神秘部に収めたいと思ったのではないかというような内容だったからである。
冒頭部分は歓迎できるとしても、子供が自分が殺されるのも覚悟の上でヴォルデモートを殺さなければならないという後半の内容はダンブルドアには到底承服しかねるものであった。あまりにも実行不可能な無茶な話で、いつか予言が行われるにしてもそれならば出来るだけ先延ばしにしたいと考えるのが道理である。せめてその呪われた運命の子が成人するまで、十分に訓練を受けられるまでと考えたとしても不思議はないだろう。
そのためヴォルデモートに予言を伝えたスネイプを相当呪ったと思われるが、ところが当のスネイプから呼び出され、思わぬ成り行きで彼をこちら側に取り込むことに成功する。(この「取引」をダンブルドアの狡猾さゆえと言うのが単純すぎるのは、チャンスがあるなら闇側の人間をなんとしてでももこちら側につかせたかったという当時の切羽詰った状況を考えれば無理ないことであり、結局これによってスネイプの魂は救われることにもなるからである。)
とにかくこの時の両者の会合のポイントは次の三点、ヴォルデモートは予言の子をポッター家に生まれる子と確信した、母リリーはスネイプの頼みにより命を助けられる可能性があった、彼らの保護と引き換えにスネイプは二重スパイを引き受けた。この三点は今後の推移に大きく影響を与え、ダンブルドアとヴォルデモートの戦いは新たな局面を迎えることとなる。

ポッター家襲撃事件を目撃していた者がいたのかどうかは定かでなく、物語上ではヴォルデモートとハリーが語るまで当時の状況説明は具体的にはされないが、一階にジェームズが倒れていたこと、リリーは二階でハリーを背にして絶命していたこと、呪いを受けてもハリーは生き残ったことから、ダンブルドアには成り行きを推測することはできた。リリーが犠牲の守りを(偶然ではあるが)ハリーにかけ、そのためハリーへ向けた呪いが自分自身に跳ね返ってヴォルデモートは肉体を失ったという流れである。
この時ダンブルドアに疑問を抱かせたのは、この魔法は愛からくる自己犠牲を基にしている分シンプルだが非常に強力であり、それなのになぜヴォルデモートはハリーに杖を向けたのかということであった。考えられるのはそのような魔法が存在する事を知らなかった、もしくは知っていたが忘れていた、またはそんなものは自分の魔力の前には無に等しいと過小評価していた、のどれかなのだが、少なくとも知らなかった事はないはずだとダンブルドアは推測した。
この魔法の存在を現代の魔法使いが知らないのはハリーがなぜ助かったのか彼らが想像できていないことからわかるのだが、古代の闇の魔術にも精通しているヴォルデモートなら古い文献を読んだ際に知ることはできたはずだ。博識の彼がその知識を持っていないなど考えられず、となるとヴォルデモートは全く愚かな大失敗をしでかしたということになる。仮にその「守り」を見くびっていたのなら「愛」の持つ力を全く理解していなかったことになり、うっかり忘れていたのならああいう場面で母親が我が子を守るためにどういう行動をとるのか想像すら出来なかったということだ。どちらにしても愛に対する理解も想像力も大きく欠けていることには違いなく、彼がそういった傾向にあることは既に知っていたが、それが彼自身を滅ぼす可能性を持っていると確信したのはこの時が初めてだったろう。
とにかく「予言の子」が生きながらえた上にここでヴォルデモートが消えたことは望外の成り行きであった。魂が消滅したとは分霊箱を疑っていたため全く考えなかったが、ハリーの成長を待つ時間が出来たことは歓迎すべきことであった。しかし主人を失った死喰い人の逮捕があまり進まなかったのは後年に多くの懸念を残し、死喰い人同士の横の繋がりを作らなかったヴォルデモートのやり方はこの時は成功したといっていい。生き残ったものの「予言の子」が危険な状態にあることは変わらず、死喰い人に殺されたり利用されたりしないよう、リリーの守りをより強固にした母方の親戚の家に預け、ホグワーツ入学までマグル社会で保護するという決断は当然のことであった。
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by teri-kan | 2008-10-13 02:55 | ハリーポッター原作 | Comments(0)
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