ダンブルドア私見 その6

ダンブルドアの人生は長く、「その6」でようやく原作の年代までやってきました。
彼とヴォルデモートとの長い戦いの、最後の7年間がここから始まるわけですが、ハリーを一体どうするか、ダンブルドアは悩んだと思いますねえ。
作者は「ハリーはダンブルドアの操り人形」と言ったらしいけど、私は物語を読んでもそのような印象は受けなかったので、ダンブルドアへの好意は7巻読了後も全く変わりませんでした。
ハリーもあまり読者から好かれてないようですが、私の中では彼は好く好かない以前の存在ですね。彼の運命はあまりに過酷なんで、多少のことは大目にみてしまうのです。
きっとダンブルドアもそうだったんだろうな。






ヴォルデモート逃亡後も後年の戦いに備えてやるべき事は数多くあり、ダンブルドアは一時的な平和な時代の間に様々な計画を立てた。その戦略の柱は次の三点、①分霊箱の探索と破壊、②マグル保護や異種族との協調、③「予言の子」ハリーの存在をどうとらえるか。①と②は以前からの課題であり新たな問題はハリーの扱いだが、これら三点をどのように遂行していったかを以下に見ていく。まずは「予言の子」の件からである。

ハリーについては、ホグワーツに入学して以降は人間性、特に闇の魔術に惹かれる傾向を持っていないかどうかに注意して観察する必要があった。彼は一般の魔法使いから英雄視されていたがある意味闇の陣営からもそうであり、人間性次第ではあちら側に取り込まれる可能性もあったからである。もちろん善良でも勇気がなければヴォルデモートとは戦えず、行動力や決断力といった面も一年目からかなり自由にさせて観察し続けた。
それらの結果幸いハリーは善良で、勇気も機転のよさもダンブルドアを満足させるものであり、信頼できる友人を得ていることも申し分ないと判断された。しかし額の傷が時折痛むという現象、「秘密の部屋」事件で発覚したある意味予測通りのハリーの危険な兆候に、ダンブルドアの中で徐々に葛藤が生まれ始める。
初めて額の傷跡を見た時から抱いていた懸念は、ハリーの「蛇語の才能」は何を意味するのかという恐れへとつながった。「予言」が語った「印」が意味するものは何か。呪いをかけて自身の才能がその対象者に移るという例はおそらくこれまでになく、どういう場合にそのような事が起こりうるのか。もし自分の推測が正しければハリーはただ単純にヴォルデモートと戦って彼を倒せばよいというだけではすまなくなる。事実ハリーは額の痛みの上に悪夢にも悩まされるようになり、彼自身がヴォルデモートとの感情の繋がりを自覚するようになっていたのだ。
夢の内容について聞かされたダンブルドアは不安視していた事が高確率で正しい事を悟る。十中八九ハリーの体内にはヴォルデモートの魂が存在しており、その繋がりはヴォルデモートが力を回復してくる毎に強くなるに違いない。おそらく復活した時にはほとんどあちらとこちらを行き来できるくらいの結びつきになるだろう。と同時に分霊箱を壊してもハリーの中の魂が死なない限りヴォルデモートは死なない事になり、あれの死を望むならハリーの死は絶対条件となる。
これを理解した時のダンブルドアの苦悩は深かった。ハリーは自分の中で愛すべき子供になっており、彼の勇気と悪への抵抗心には賞賛も贈っていた。ハリーがどうしようもないろくでなしだったらまだ気は楽かもしれないが、どちらにしろヴォルデモートと戦った上に自分を殺させなければならない運命というのは酷い。このような呪われた人生を歩まざるを得ない子供に、どのようにその使命を告げればよいものか。悩めば悩むほどそれを行ったヴォルデモートと、きっかけを作ったスネイプに対して重苦しい思いを抱いたことだろう。
ハリーは最後には死なねばならぬ。どうしてもそれが避けられないなら、せめてその死を勇気をもって受け入れる状態にまで強く育てたい。そういった考えからダンブルドアはハリーに本格的な身の危険が近づいてさえもむやみに不安がらせたりせず、自分で判断し行動するよう黙認した。自分で決断する勇気を育まなければ到底死に立ち向かうことは出来ず、自分の人生に何の意味も持たずに殺されるしかなくなってしまうのだ。せめて死ぬ時に「生まれてこないほうがよかった」と自分を否定せずにすむような生きる理由と戦う理由を与える。最終的にハリーが戦わなければならないのはヴォルデモートではなく自分自身なのだと自覚できるよう、それとわからせず導く事がダンブルドアには課せられた。
もちろんヴォルデモートと戦う前に死んでしまっては元も子もないので守りは厳重に施し、スネイプにはハリーから目を離さぬよう動いてもらう。二重スパイの任についているため当然他の者と同様彼にもハリーの死の運命は秘密だ。
しかしスネイプにしてみればこの任務は腹立たしいことこの上なかったろう。他の者と違い彼は予言の冒頭部分を聞いており、ハリーが「選ばれし者」だということは既に知っている。だから守る必要性は十分承知しているが、しかし子供らしく規則を守って静かにしていればよいものをハリーは好き勝手に行動し、勇気というより愚かとしかいいようのない無謀さで危険に首をつっこむ。闇の勢力から命を守る事が第一ならば無駄な勇気など封殺して寮に閉じ込めておけばよいのにと、ダンブルドアのハリーに対する寛大さを苦々しく思ったに違いない。もちろんそのような苛立ちをダンブルドアは承知していたろうが、何故勇気を育まなければいけないかという理由は完全な秘密であり、そもそもハリーを呪われた運命に導いた者がハリーを守ることは至極当然の行為である。その辺はきっちり割り切ってダンブルドアはスネイプにあれこれ命じていたことだろう。
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by teri-kan | 2008-10-14 02:09 | ハリーポッター原作 | Comments(0)
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