ダンブルドア私見 その7

ヴォルデモートが予言を知らないままならどうなっただろうと考えると面白いです。ハリーとネビルが適度に成長したところで噂を流すかな、ダンブルドアだったら。ヴォルデモート、躍起になって噂の真偽を確かめようとするでしょうねえ。
原作でもあそこまでハリーに拘らなくてもよかったのにと思います。ダンブルドアには手を出さなかったのに、やっぱり相手が子供だからですかね、「ダンブルドアを恐れている」と陰口叩かれるのは我慢できても「子供に負けた」と言われるのは我慢できなかったんですね。






厳重に守っていたハリーが姦計に陥ってヴォルデモート復活の面前に連れて行かれ、ダンブルドアは「予言の子」を失うかもしれないという最大の危機を4巻で迎える。実際生きて帰ってこられたのは奇跡で、しかしダンブルドアにとってみれば生き延びたのには確かな理由もあった。
ハリーの血を肉体再生に使用したという暴挙が示した通り、ヴォルデモートのハリーに対するこだわりは対ハリーとの戦いにおいてどんどんヴォルデモートを不利に追いやるものとなっていた。ハリーにこだわればこだわるほど墓穴を掘り、両者の力関係はある意味この時点でハリーの方がまさっているという状態にもなったのだ。
杖がつながるという前代未聞の現象についても、ヴォルデモートはそれを自身の魔力や杖、ましてや自分の行いに問題があるなどとは考えずハリーに何かがあると考えた。そのため唯一自分の思い通りにならない少年の正体が何であるかを知るために「予言」の全容を手に入れるべく復活後第一の仕事として神秘部への侵入を企てる。彼はどこまでもハリーに、そして予言にこだわったのである。
予言にこだわることはハリーの危険が高まることであったが、同時にヴォルデモートの首を絞めることにもなり、ダンブルドアとしてはある意味歓迎できる状況だった。が、神秘部でのナギニ襲撃事件以降の事態は厳しくなってくる。ハリーとナギニの魂がつながっていることからナギニがヴォルデモートの分霊箱になっている可能性が高い事、ハリーも同様の存在である事を確信できた一方で、ヴォルデモートも自分とハリーがつながっていることを知り、それを利用せんと企んできたからだ。
閉心術の訓練もヴォルデモートに情報を与えないためスネイプに任せるしかなく、これまたスネイプにしてみれば気がのらない仕事であって、訓練がうまくいくかどうかはなはだ疑問であった。「二重スパイの自分がヴォルデモートが見ている可能性の高い前で訓練を行うのは危険ではないか」とスネイプが訴えていたとしても不思議はなく、閉心術士としての能力をかっているとか、命令を受けて仕方なくやったという言い訳が出来るから大丈夫だとか、ダンブルドアはいろいろ理由をこじつけたに違いない。だがスネイプがシリウスに言った「やりたくない仕事をやらないのは校長の特権」の皮肉はおそらく本心からの愚痴だったろう。
ハリーを守るに際してダンブルドアの唯一の気掛かりはスネイプとハリーのどうにも改善しようのない相性の悪さであったが、それが最悪の形で発揮され閉心術の訓練は見事失敗、結果神秘部の戦いが起こり、ヴォルデモートに取り憑かれそうになるという人生何度目かの危機をハリーは迎える。さすがのダンブルドアも肝を冷やしたがそれはヴォルデモートにとって苦痛を伴う失敗となり、以降取り憑くことはおろか感情をハリーに見せることさえしなくなる。これを境にハリーの中のヴォルデモートの魂が表に出てくる事もいったんなくなり、ダンブルドアもここが潮時とみて予言について本人に説明することを決心した。
どれだけそれを先延ばしにしたかったかは物語中で詳しく語られているが(成人したら伝えようとは考えていたかもしれない)、とにかくダンブルドアはここで初めてハリーに「対ヴォルデモート戦の責任」を負わせることを決断した。ハリーは生まれる前からヴォルデモートと戦うべく存在していたということ、最終的にハリー自身がヴォルデモートを殺さなければならないということ、それらを伝えて、しかし自分自身が死なねばならぬ運命だとは当然のことながらここでは語らなかった。全てを明かすのは分霊箱に解決の目処が立ってからと考えていたからである。
ところが思わぬ事故が原因でダンブルドアは自身の口からハリーにそれを話すことが叶わなくなってしまう。なんとか彼に伝える方法を考えるにしても、それ以前の問題として分霊箱の調査が未だ道半ばであり、残りの探索と破壊をもハリー1人に委ねるしかなくなった。
自分の死後全てを1人で決断しなければならなくなる彼に、ダンブルドアは何としてでも確固とした覚悟を持ってもらいたかった。「予言」に動かされるのではなく、ましてや振り回されるのでもなく、自らの意志で「ヴォルデモートを滅ぼすのは自分だ」と決意すること。それが成しえなければ全てが終わるくらいの覚悟を持つこと。ロケットの探索のために洞窟へ連れて行ったのも、ダンブルドア自身の覚悟を実際に見せ、自分とヴォルデモートとの戦いの長さとその執念をハリーと共有せんがためであった。共有していると思っていた分7巻でダンブルドアの過去を知った時、ハリーは本人の口からそれを聞かされなかった事にショックを受けるのだが、そのことによって成すべき事が揺らぐことはもはやなかった。その点においてダンブルドアはまさしくハリーを「予言の子」としての役割を全うできるよう正しく導いたと言えるだろう。
[PR]
by teri-kan | 2008-10-16 16:26 | ハリーポッター原作 | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< ダンブルドア私見 その8 ダンブルドア私見 その6 >>