ダンブルドア私見 その8

ダンブルドアは余命が残り1年とわかったのでハリーに分霊箱の事を教えたけれど、そうでなければ教えるつもりはなく、全て自分で処理するつもりだったのでしょうか。それともしかるべき時がきたら一緒に探索するつもりだったのでしょうか。
その辺はちょっと謎です。






ダンブルドアは分霊箱探しにとてつもない年月を費やしており、ヴォルデモート失脚後も調査を継続させていたが、大きな転換点はハリーが2年生時に解決した「秘密の部屋」事件であった。
この事件がもたらした成果はリドルの情報の膨大さにあり、様々な現象から「日記」は簡単に分霊箱と判断された。問題はこれが唯一の分霊箱ではない可能性があること、更にはそうだった場合ヴォルデモートが幾つの分霊箱を作ったのか全く予想がつかないということであり、ここにきて改めてヴォルデモートが分霊箱や魂に関してどういう見解を持っていたのかということが重要になってきた。
修正されたスラグホーンの記憶ではリドルが分霊箱に興味を示していたことしかわからず、正確な記憶はどうしても不可欠であった。が、何度頼んでも「ヴォルデモートは消えているのに記憶は不必要だ」などと拒否され、分霊箱の数の問題はこの時点では保留にするしかなかった。
そのためヴォルデモートの戦利品を探す旅をダンブルドアは地道に続けていくしかなかったのだが、その中で探し当てたのが過去にゴーント家を訪ねたことのあるオグデンである。(6巻の時点で「さきごろ得た記憶」と語っているのでオグデンの記憶を得たのは十何年も昔のことではなく四年前のこの時期と考える。)
彼の記憶から得た情報で重要なのは、リドルの父親は妻から逃げた卑怯者というよりも、意思とは無関係の結婚をさせられていたという点で、ある意味魔法の被害者だということ、祖父マールヴォロはスリザリンの血統を異常に誇りにしており、家宝のロケットとペベレル家の指輪をこの上なく大事にしていたという事であった。
リドルという悪は魔法の術による結びつきから生まれていたという事実や度を越したスリザリンの血への執着なども興味深かったが、それらはペベレルの指輪を目にした驚愕とは比較できなかっただろう。指輪の石はどう考えても「蘇りの石」でしかあり得ず、そんな魔法界の最大の謎であり宝を彼らが持っていたということ、そしてリドルが16歳の時に既にそれを奪っていた事実はダンブルドアにとって驚き以外何物でもなかった。と同時にまたもや大きな疑問が浮上してきた。
世界支配を目指したグリンデルバルドも当時の自分も「蘇りの石」は最大の武器に成り得る物だと血眼になって探していた。「死の秘宝」についての知識があるならあの石を手にして支配に使用しないなどあり得ない。事実グリンデルバルドは「蘇りの石」を使って亡者の軍隊を作ろうとまで計画していたのに、今までヴォルデモートはそのような形跡を一度も見せたことがないのだ。
このことからわかるのはヴォルデモートの知識の偏り、古代の愛の魔法を軽視したのと同じ無知さに他ならない。「三兄弟の物語」が「死の秘宝」を暗示している事を発見するのは好奇心と高い知識を持つ者にとってはそれほど難しいことはなくラグブッドですら知りえることである。神話や童話は往々にして歴史上の出来事を元に作られるものだが、そういった読み物に触れる事はマグル時代にもなく、当然ホグワーツでも見る気が起こらなかったのだろう。ヴォルデモートは童話には全く価値がないと最初から切り捨てていたのだ。
少年トム・リドルの人間的な不均衡の原因を彼の不幸な生い立ちにあると考慮し、学生時代の彼を監視しつつも罪の追及を行わなかったのは、様々な書物や学生達との触れ合いの中から愛のなんたるかを欠片でもいいから知ってもらいたい、いつかは気付いてもらいたいという思いからであったのだが、それは全くの無駄であったと2年後に起こる復活の儀式と合わせてダンブルドアは観念する。自身の肉体再生にハリーの血を使用したことは、なぜリリーの守りが自分の呪いを跳ね返したのか、なぜ取り憑いたクィレルはハリーの体を触れられなかったのか、過去の失敗から何も学ばず問題の根本をわかっていないままであることの証明であり、ダンブルドアとハリーがこの戦いに活路を見出すならこの点しかありえず、以降ダンブルドアは事あるごとに「愛」の重要性をハリーに説くこととなる。

分霊箱に成り得る品々はわかっているだけでここまで4個。すでに破壊された日記の他にスリザリンのロケット、ハッフルパフのカップ、そしてペベレルの指輪であるが、その後偶然ハリーがナギニの脳内とつながってしまう夢をみたことから5個目の分霊箱が蛇であるとわかった。ここまで出てきたそれらしい品物全てが分霊箱になっているかはこの段階ではわからず、しかも場所の特定となると発見は容易ではなかったが、彼の最後の夏にとうとうその一つの発見に成功する。ゴーントの廃屋に隠されていた、予想通り分霊箱にされていたペベレル家の指輪だ。
この指輪にはめ込まれている「蘇りの石」はダンブルドアにとって過去の愚かさを思い出させる苦々しい品であると同時にその過去を償える唯一のものであった。なのでつい心が流されてしまったのは致し方ないかもしれない。しかしそれは取り返しのつかない事態を引き起こし、彼の寿命を残り1年まで縮めてしまうことになる。先がなくなったダンブルドアはなんとかハリーを通じてスラグホーンの記憶を手に入れ、そこから自分の推測に確たる事実を付け加えてハリーに分霊箱の知識を授ける。リドルの人生を辿らせたのは彼の欠陥をより深く理解させるためであり、いまだ明らかになっていない分霊箱を探すヒントにしてもらいたいとの思いからである。
結果ハリーはダンブルドア亡き後も彼の遺志を正確に読み取り、運も味方したとはいえ全ての分霊箱を探し出すことに成功した。特にレイブンクローの髪飾りはハリーでなければスラグホーンの気持ちを動かすことができなかったと同様、切羽詰った状況での「情」がものをいうことになった。心が人の心を動かすことを知らないヴォルデモートがレギュラスに密かに裏切られていたのとは全く逆の事象である。分霊箱がそれぞれ六人の手によって見事破壊されたところにも何もかも一人で行ってきたヴォルデモートの限界が表れており、皆と協力することの重要さがここで一つ証明されたといえると思う。
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by teri-kan | 2008-10-17 14:29 | ハリーポッター原作 | Comments(0)
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