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ダンブルドア私見 その9

天才魔法使いの皆が皆権力を欲しがるとは限らないのでしょうけど、魔法界は普通の人間社会とはかなり違うので、天才に生まれついたらそれなりの何かを求めたくなるのだろうなと思います。
ダンブルドアは本当に飛びぬけてたんだと思う。
その存在を恐れて変な方向にいっちゃったファッジの気持ちも、まあわからんではないです。






ダンブルドアはロン、ハーマイオニーにだけ分霊箱について話し合うのをハリーに許可したが、その他の生徒にはもちろん、騎士団員、スネイプにすらそれに関わる全ての事を秘密にしていた。なぜここまで極秘扱いにしたのかということだが理由はおそらく二つある。
まずは自分達が分霊箱を探していることを敵側に知られないため。捕らえられて真実薬を使われる恐れがある限り身近な騎士団員にこそ秘密にしておかなければならないから。もう一つは第二のヴォルデモートを作らせないためだ。彼の思考、力の行使の仕方、不死になるための方法、それらを今後利用されないようこの世から完全になくすためである。
ヴォルデモートとの戦いが激しかった二十年前からダンブルドアが考えていたことの一つに、自分亡き後の魔法界の心配があったのは間違いない。たとえヴォルデモートを倒せたとしても今後再び「悪」が出現した時、誰がどうそれと対峙するのかという問題である。グリンデルバルドを倒せたのは自分しかいなかったし、ヴォルデモートも自分がいなければ簡単に魔法界を掌握しただろう。闇の魔術を駆使して支配者にならんと欲した魔法使いは歴史上他にもおり、ヴォルデモート以後もそういった魔法使いが出てくる可能性は大いにあるのだ。なにしろ今世紀だけで二人も登場したのである。というより、むしろ自分を含めて三人だ。自分があちら側に転ばなかったのはほとんど偶然に近い幸運であり、その偶然がなければ彼らに匹敵する力の持ち主が彼らと対決する事も起こらなかったのである。
グリンデルバルドもヴォルデモートも自分も、当世の天才三人は三人とも支配者を目指し死の克服を望んだ。身をもって経験したからこそダンブルドアはその恐ろしさがわかるのだが、突出した才能の持ち主はそういった誘惑にすこぶる弱い。これは本人が善良かどうかというより「飛びぬけた才能は永遠の権力と仲良くしたがる」という才能そのものの性質の問題だ。だからこそ今後のためにそういった誘惑の原因となりうるものを出来るだけ排除しておきたいと考えたのである。
もちろん考え方の一つとして全てを公表して教訓にするという手段もあるが、個人の暴走という危険性を常に孕んでいる魔法界ではそれによる抑止効果は期待できない。才能ある者が突出しやすく個々の善良さにかけるしかない不安定な社会では分霊箱の存在など、まして七個まで魂を分けることができた事実などない方がよいのである。
この件はダンブルドアの他にはハリーら三人しか知らぬ秘密となり、結果的にこの作戦は成功、全ての分霊箱は誰にも知られることなく破壊される。ダンブルドアは自分が早くに死んでもこれは最終的にはなんとかなると考えていたのではないかと思われ、むしろ心配していたのはハリーの中に引っ掛かっているヴォルデモートの魂の方だった。こちらを破壊する勇気がハリーに出てくるかどうか、自分が死なねばならぬと知った時に「死の秘宝」を集めて自らの死を克服しようとはしないか。ダンブルドアに計算違いがあったとすればそれは「死の秘宝」がここにきて突如存在感を増したことであり、自身の死を間近にして秘宝三点の処理を任されるが如くに目の前に揃えられたことであった。
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by teri-kan | 2008-10-18 02:56 | ハリーポッター原作 | Comments(0)

本や映画、もろもろについて思った事。ネタバレ有。


by teri-kan
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