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2019年 08月 09日 ( 1 )

「日の名残り」(1993)

主人公は長くイギリス貴族に仕えたベテラン執事。
1930年代の回想シーンとその20年後の戦後の現在とが行き交うお話。

原作はカズオ・イシグロ、監督はジェームズ・アイボリー。
執事役はアンソニー・ホプキンス。



執事とはどういうものかを知るのにうってつけの映画と言えると思います。
当時の富裕なイギリス貴族の館の日常運営がどのように行われていたか、細かく演出されています。

と同時に、もしかしたら貴族の使用人やメイドといった業界は、この頃は斜陽産業になりかけていたのかな?と思わされることも。
若い子が結構簡単に辞めていくし、新しく雇うメイドもイマイチな子だったり、人に仕える仕事よりも自由に働きたいって感じの若者が目立ちました。

そして主人公の執事は、……どうなんだろう、優秀な人なのだと思うけど、このあり方こそがこれぞ執事というのなら、政治的知識など全く持たず、ひたすら主人の人間性に仕えるのが正しい執事、ということでいいのかな?
主人の政治的な仕事には全くノータッチでいることが正しい執事。
まあ、主人に余計な助言なんて以ての外だよねえ。
でもこの映画のご主人様はちょっと気の毒だったな。

メイド頭との関係は難しかったですね。
主人に対して無私で働くことが正しいことと思い及んで生きていると、自分の感情の正しい出し方もわからなくなってくるのかなあ。
ベストな形は結婚なりなんなり微妙な関係をきちんと形にして、その上で執事とメイド頭としてあのお屋敷を二人で切り盛りしていくことだったと思うんだ。
とにかくお屋敷で一緒に仕事をするのが大事ってことで、二人に関してはまずはプロフェッショナルだったということが一番印象に強い。

「日の名残り」とはよく言ったものだと思います。
時代の移り変わりと共にご主人は不遇な立場に置かれ、自由が尊ばれる世の中になり執事業界はおそらく斜陽で、当の主人公が古い時代の生き残りのような年齢。
晴れ晴れとした良かった時代を振り返る彼は本当に日の名残り

でも新しいご主人はアメリカ人なんだよね。
本当なら新たな日の象徴のはずなんだけど、昇る日にどれだけ主人公は気持ちを新たにしてるのか。

いやほんと、「日の名残り」とはまさしくそのまんまの言葉ですね。




by teri-kan | 2019-08-09 00:00 | イギリス映画 | Comments(2)