カテゴリ:本(歴史書・新書)( 92 )

橋本治死去

とんでもなく驚いたし、とてつもなくショック。
頼りにしていた知性の塊がいなくなってしまいました。



出る本出る本読みまくっていた時期があったんですよね。
執筆スピードが速かったし、雑誌の連載も合わせたら常に橋本治の何かを読んでいた。

おかげでかなり影響されています。
身体感覚に根差した思考のやり方を教えてもらいました。
感謝しかありません。

読んでいたのは専ら評論とかエッセイ。
時事問題はもちろん、文学、歴史、芸術、芸能。古典から現代モノまで幅広い。
とんでもなく広くて深い知識の海だった。
その海で泳がせてもらうのは本当に楽しかったです。

印象に残っているのはたくさんあるけど、今の人にもオススメなのは、一見ライトに見える「性のタブーのない日本」。
橋本治らしい本だと思う。

あとは文学系では、「源氏供養」「失われた近代を求めて I 言文一致体の誕生」。
古代史も含めた日本史では、「権力の日本人 双調平家物語ノート 1」がべらぼうに面白い。
これが合えば続きの「院政の日本人」も是非。

昔お気に入りだった「江戸にフランス革命を!」も良いし、話題になった「宗教なんかこわくない!」も良かった
あとは「ひらがな日本美術史」ですかねえ。
「小林秀雄の恵み」も良いです。
本居宣長、小林秀雄、橋本治、この知の巨人の系譜に続くのって……次は誰?

著作がありすぎて困るほどですね。
どれも刺激的で面白かった……。



……ああもう、ショックしかありません。
冷静にお悔やみが言えません。
なんでこんなに早く逝ってしまうのか。
ただただショック。




by teri-kan | 2019-01-31 00:00 | 本(歴史書・新書) | Comments(2)

「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」

片山杜秀著、文春新書。

タイトルのベートーヴェンはもちろん、バッハとワーグナーの音楽史上の価値を詳しく知りたい方には特にオススメのクラシック音楽の音楽史本。

カトリックのグレゴリオ聖歌という、修道士が歌う神のための音楽から、プロテスタントの讃美歌という信者が神のために歌う音楽が出来上がっていく歴史の流れ、神のための音楽が人間(王侯貴族)の音楽になり、王侯貴族のための音楽が金満市民の音楽に、更には中階層の市民も聴く音楽になっていく過程、その歴史の流れがとてもわかりやすく書かれている良作です。





神、王、貴族、ブルジョア、庶民、他人種、その次は?
by teri-kan | 2018-12-05 14:56 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

「物語 ウェールズ抗戦史」

副題は「ケルトの民とアーサー王伝説」。
日本では珍しい、ウェールズ人の歴史の本です。
桜井俊彰著、集英社新書。



ウェールズ人とは、かつてブリトン人と呼ばれていたケルトの人達。
ブリテン島に住んでるからブリトン人。
現在あの島で大きな顔してるアングロサクソンは彼らからしたら新参者。
ローマの精神性を受け入れてたブリトン人にしたら、もう野蛮で野蛮でナニアレ?な人達。

でもやたらめったら強い。
残念、ブリトン人。
でも、「うう……無念である……」だけでは終わらなかった人達。
なんと、苦しい時代の果てにイングランド王になったウェールズ人が現れたのです。

……といった内容の本です。
ウェールズ系イングランド王が颯爽と玉座に着くまでの、長い彼らの苦難の歴史が描かれています。

いやもう、これを読んだらウェールズが好きになること間違いなし。
著者にかなり乗せられてるけど、映画化決定(個人的に)。





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by teri-kan | 2018-10-11 09:42 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

中世ヨーロッパの二つ名

先日書いた「あだ名で読む中世史」の感想の続き。

前回は名づけのことや姓がないことがどういうことかについて書いたので、今回はあだ名そのものについて。
ユニークなのも多くあって、かなり想像力を刺激されるので、そこら辺の感想をゆるゆると書いてみたいと思います。





結構毛だらけ
by teri-kan | 2018-09-05 11:50 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

「あだ名で読む中世史」

岡地稔著、八坂書房。

どことなくカジュアルなタイトルだけど、内容は専門的でした。
ヨーロッパの中世前期好きにはうってつけ。
禿頭王とか肥満王とか、向こうのネーミングはなんて容赦がないんだ!と思ってる人にオススメ。
なんでフランス王はルイとかシャルルばっかりなんだ!と思ってた人にもオススメ。

ヨーロッパの名付けは日本と全然違います。
「家」の概念がないというのはこういうことなのかー、って感じ。





あだ名とか二つ名とか異名とか別名とか
by teri-kan | 2018-08-29 14:22 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

「火山で読み解く古事記の謎」

蒲池明弘著、文春新書。

こういう古事記の解釈は初めてだったんだけど、いやー、面白かった。
ホントかどうかはともかく面白かった。
古事記の神話部分は火山活動がベースになってるというもので、あれも火山これも火山って、なんでもかんでも火山に結びつけちゃうんだけど、これがなぜか無理がない。
むしろ「おお~、確かにピッタリ合うかも~」って感じ。

古事記の奥深さはたまらんですね。





楽しい感想
by teri-kan | 2018-01-31 16:29 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

「世界神話学入門」

後藤明著、講談社現代新書。

以前読んだ「日本神話の論点」の感想で書いたのですが、アマテラスの天岩戸のくだりは比較的新しく日本に入ってきた神話だということで、新しい部分を除けば古いオリジナルの日本の神話が現れてくるだろうから、是非その大元の日本の神話なり思考なりを知りたいものだ、そういうことを解説してる本はないものかと、思っていたのです。
この本はその願いを叶えてくれそうだということで、手にとってみたのでした。

で、確かに日本の神話には古い部分と新しい部分とがあり、新しい部分は西アジア発祥だということが本書にも書かれてあるのですが、どうやら古い部分だって、別に日本オリジナルということではないらしい。
ていうか、民族オリジナルの発想とか思想とかいうものは、あまりない?
まあ、一万年前の人間に対して民族というのも変だけど、言うなればその土地土地の事情が思考に反映されてるんじゃないかと想像していたのに、本書を読む限りどうやらそうではないらしい。

面白い内容だったけど、「そうか、そういうものなのか」と、なぜだかちょっと残念な気持ちになりました……。





神話から見えることはたくさん
by teri-kan | 2018-01-26 16:24 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

「ハプスブルク・スペイン 黒い伝説」

副題は「帝国はなぜ憎まれるか」。
ジョゼフ・ペレス著、小林一宏訳、筑摩書房。

これはとても良い本。
スペイン史にとどまらずヨーロッパ史、いや、人間が紡ぎ出す歴史というものの本質を知ることができる、とても面白くて恐い本。

よく「歴史は勝者によって作られる」と言われますが、読んでるとそれは微妙に違うように思えてきます。
正しくは「敵を上手いこと貶めた者が歴史の勝者になる」。

スペインの見方が変わりました。
今までは一面的だったですねえ。
スペイン史は考えさせられることばかりで、「歴史を学べ」と一言で言われるけど、「歴史って恐ろしい」と、この本には心底思わされたです。





続き
by teri-kan | 2018-01-17 12:40 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)

「オオクニヌシ 出雲に封じられた神」

戸矢学著、河出書房新社。
日本古代史最大の謎であり、最大の事件である「国譲り」について解明を試みた本。
出雲に深く切り込んでます。
とても刺激に満ちてる内容です。





感想
by teri-kan | 2017-12-13 15:59 | 本(歴史書・新書) | Comments(2)

「スペインレコンキスタ時代の王たち」

副題「中世800年の国盗り物語」。
西川和子著、彩流社。

カタルーニャ独立問題で、個人的にスペインがちょっとブーム。
でもどっちかというとカタルーニャより、スペイン中央政府に興味があります。
独立問題があるにしても、ちょっとカタルーニャに厳しすぎない?ってことで。
例えばイングランドがスコットランドに対して見せる態度とは、かなり違うような気がするのです。
もうちょっとこう、融和的な態度をとればいいんじゃないかと思うのに、国をまとめる象徴の王でさえカタルーニャに厳しい。

というわけで、ここらでちょっとスペイン史をきちんと知っておこうということで、本書を読んでみました。
近現代ではなく中世なのは、スペイン人のもっと基本のところを知りたいから。
以前読んだ西ゴート王国についての本で、スペインは西ゴートの影響を後々まで受けてると書いてあって、スペインのことを知るならそこから読み直すべきかもしれないのですが、それだとさすがに長大になってしまうので、とりあえず今回はその西ゴート王国が滅亡したところから。
イスラムに侵略され、それが故に西ゴートの後継を自認していたレコンキスタ時代のカトリックの王達の行動を、今回は見てみようというわけです。

で、じっくり読んでみたんだけど、いやー、もうね、私は腹が立ってしょうがない(笑)!





続き
by teri-kan | 2017-12-06 14:22 | 本(歴史書・新書) | Comments(0)