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カテゴリ:本(歴史書・新書 海外)( 32 )

「ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる」

片山杜秀著、文春新書。

タイトルのベートーヴェンはもちろん、バッハとワーグナーの音楽史上の価値を詳しく知りたい方には特にオススメのクラシック音楽の音楽史本。

カトリックのグレゴリオ聖歌という、修道士が歌う神のための音楽から、プロテスタントの讃美歌という信者が神のために歌う音楽が出来上がっていく歴史の流れ、神のための音楽が人間(王侯貴族)の音楽になり、王侯貴族のための音楽が金満市民の音楽に、更には中階層の市民も聴く音楽になっていく過程、その歴史の流れがとてもわかりやすく書かれている良作です。





神、王、貴族、ブルジョア、庶民、他人種、その次は?
by teri-kan | 2018-12-05 14:56 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「物語 ウェールズ抗戦史」

副題は「ケルトの民とアーサー王伝説」。
日本では珍しい、ウェールズ人の歴史の本です。
桜井俊彰著、集英社新書。



ウェールズ人とは、かつてブリトン人と呼ばれていたケルトの人達。
ブリテン島に住んでるからブリトン人。
現在あの島で大きな顔してるアングロサクソンは彼らからしたら新参者。
ローマの精神性を受け入れてたブリトン人にしたら、もう野蛮で野蛮でナニアレ?な人達。

でもやたらめったら強い。
残念、ブリトン人。
でも、「うう……無念である……」だけでは終わらなかった人達。
なんと、苦しい時代の果てにイングランド王になったウェールズ人が現れたのです。

……といった内容の本です。
ウェールズ系イングランド王が颯爽と玉座に着くまでの、長い彼らの苦難の歴史が描かれています。

いやもう、これを読んだらウェールズが好きになること間違いなし。
著者にかなり乗せられてるけど、映画化決定(個人的に)。





More
by teri-kan | 2018-10-11 09:42 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

中世ヨーロッパの二つ名

先日書いた「あだ名で読む中世史」の感想の続き。

前回は名づけのことや姓がないことがどういうことかについて書いたので、今回はあだ名そのものについて。
ユニークなのも多くあって、かなり想像力を刺激されるので、そこら辺の感想をゆるゆると書いてみたいと思います。





結構毛だらけ
by teri-kan | 2018-09-05 11:50 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「あだ名で読む中世史」

岡地稔著、八坂書房。

どことなくカジュアルなタイトルだけど、内容は専門的でした。
ヨーロッパの中世前期好きにはうってつけ。
禿頭王とか肥満王とか、向こうのネーミングはなんて容赦がないんだ!と思ってる人にオススメ。
なんでフランス王はルイとかシャルルばっかりなんだ!と思ってた人にもオススメ。

ヨーロッパの名付けは日本と全然違います。
「家」の概念がないというのはこういうことなのかー、って感じ。





あだ名とか二つ名とか異名とか別名とか
by teri-kan | 2018-08-29 14:22 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「世界神話学入門」

後藤明著、講談社現代新書。

以前読んだ「日本神話の論点」の感想で書いたのですが、アマテラスの天岩戸のくだりは比較的新しく日本に入ってきた神話だということで、新しい部分を除けば古いオリジナルの日本の神話が現れてくるだろうから、是非その大元の日本の神話なり思考なりを知りたいものだ、そういうことを解説してる本はないものかと、思っていたのです。
この本はその願いを叶えてくれそうだということで、手にとってみたのでした。

で、確かに日本の神話には古い部分と新しい部分とがあり、新しい部分は西アジア発祥だということが本書にも書かれてあるのですが、どうやら古い部分だって、別に日本オリジナルということではないらしい。
ていうか、民族オリジナルの発想とか思想とかいうものは、あまりない?
まあ、一万年前の人間に対して民族というのも変だけど、言うなればその土地土地の事情が思考に反映されてるんじゃないかと想像していたのに、本書を読む限りどうやらそうではないらしい。

面白い内容だったけど、「そうか、そういうものなのか」と、なぜだかちょっと残念な気持ちになりました……。





神話から見えることはたくさん
by teri-kan | 2018-01-26 16:24 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「ハプスブルク・スペイン 黒い伝説」

副題は「帝国はなぜ憎まれるか」。
ジョゼフ・ペレス著、小林一宏訳、筑摩書房。

これはとても良い本。
スペイン史にとどまらずヨーロッパ史、いや、人間が紡ぎ出す歴史というものの本質を知ることができる、とても面白くて恐い本。

よく「歴史は勝者によって作られる」と言われますが、読んでるとそれは微妙に違うように思えてきます。
正しくは「敵を上手いこと貶めた者が歴史の勝者になる」。

スペインの見方が変わりました。
今までは一面的だったですねえ。
スペイン史は考えさせられることばかりで、「歴史を学べ」と一言で言われるけど、「歴史って恐ろしい」と、この本には心底思わされたです。





続き
by teri-kan | 2018-01-17 12:40 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「スペインレコンキスタ時代の王たち」

副題「中世800年の国盗り物語」。
西川和子著、彩流社。

カタルーニャ独立問題で、個人的にスペインがちょっとブーム。
でもどっちかというとカタルーニャより、スペイン中央政府に興味があります。
独立問題があるにしても、ちょっとカタルーニャに厳しすぎない?ってことで。
例えばイングランドがスコットランドに対して見せる態度とは、かなり違うような気がするのです。
もうちょっとこう、融和的な態度をとればいいんじゃないかと思うのに、国をまとめる象徴の王でさえカタルーニャに厳しい。

というわけで、ここらでちょっとスペイン史をきちんと知っておこうということで、本書を読んでみました。
近現代ではなく中世なのは、スペイン人のもっと基本のところを知りたいから。
以前読んだ西ゴート王国についての本で、スペインは西ゴートの影響を後々まで受けてると書いてあって、スペインのことを知るならそこから読み直すべきかもしれないのですが、それだとさすがに長大になってしまうので、とりあえず今回はその西ゴート王国が滅亡したところから。
イスラムに侵略され、それが故に西ゴートの後継を自認していたレコンキスタ時代のカトリックの王達の行動を、今回は見てみようというわけです。

で、じっくり読んでみたんだけど、いやー、もうね、私は腹が立ってしょうがない(笑)!





続き
by teri-kan | 2017-12-06 14:22 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福」

ユヴァル・ノア・ハラリ著‎、河出書房新社。

これまたいろいろ考えさせられる下巻でした。





生きるってなんなんですかね
by teri-kan | 2017-11-22 11:07 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「サピエンス全史 (上) 文明の構造と人類の幸福」

ユヴァル・ノア・ハラリ著‎、河出書房新社。

昨年とても話題になった本。
面白かったー!
というわけで、とりあえず上巻の感想。





範囲が広すぎ!
by teri-kan | 2017-11-10 14:32 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)

「100分de名著」と、こないだのドイツの総選挙

「全体主義の起原」、先日の第4回目で終了しました。
最後はアイヒマンをとりあげてましたけど、うーん、アイヒマンが徹底して「法に従っただけ」と言ってるのには、恐れながら「うん、まあ、そうですね」と、とりあえず納得するしかないような。
だからといってそれでいいってわけではないんだけど。

ああいう場合の時、個人ってどうすればいいんでしょうね。
もちろん個人でも抵抗した人はいるので、アイヒマンの鈍化された人間性が問題なのだけど、でも別にアイヒマンが他と比べて特別心がない人間ってわけでもないでしょうしね。
せめて無能だったらよかったんだろうけど、それを問題にするのは違うし。

時代と、社会と、彼の官僚的有能さと、おそらく感受性の乏しい人間性と、諸々の条件がピッタリはまっちゃった恐ろしさというのはあるけど、じゃああの場合どうすればいいのかなあ。
「法に従っただけ」というのは、多くのナチス党員、ドイツ人の本音であったような気がします。

アイヒマンは特殊な人間だったからだ、と簡単には思いきれなくて、ちょっと有能な人間があの立場に置かれたらあのようになる人はたくさんいるだろうと思えて、だからああいう社会になってしまったらもう「人間は政治に対して敏感にならなければいけません」と教訓をたれても多分無駄で、ああいう状況になる前になんとかしなければ、ということしかないような気がします。

個人の良心と理性に期待するのは無理な気がするんですよね。
いざとなった場合、自分の命をかえりみず良心に従って行動できるほど、大多数の人間は強くないです。
目の前に能力を生かせる儲かる仕事があれば、しかも闇の仕事ではなく政府の仕事なら、「誰かがこれで不幸になってる」と心のどこかで思いつつも、家族のために粛々とそれに頑張ってしまうというのは、人間として普通に起こりえます。
現在の日本でも「お役所仕事」という言い方がありますが、「規則だから」の一言で苦しんでる人をほったらかしとか、普通にあります。
社会生活を営むために組織は必要だけど、でも組織とはそういうものである、という認識をまず持つことが、とりあえず必要なんでしょうねえ。

結局組織と個人の関わり方の問題ということになるのでしょうが、組織やら国家やらが人間にとって必要であるならば、人間は弱く、流されやすく、無感情に淡々と日々をこなすだけの、恐ろしいほど無機質的な存在になりえるのだ、という前提に立った社会にするしかないでしょう。
そもそもなぜナチスが生まれたかというと、莫大な賠償金による困難な国民生活に原因があったわけだし、そういった苦境に国民を置かないということが、そもそも大事ってことになるのではないかなあ。
個人の良心だけに期待するようじゃ全然駄目っていうか。

まあそれが難しいから問題が起こるわけで、このままでは自分達の生活がヤバくなると現在でも思ってるドイツ人がいるからこそ、先日の総選挙で極右といわれてる政党が第三党まで躍進するわけであって、ようするに国家として排外思想を助長させたくなければ、個々の良心に訴えかけるよりも個々の不安を取り除く方が先決なわけで、不安を取り除くことができなければ、もちろんホロコーストまではいかないにしても、厳しいことが起こる可能性は今後もあるのかもしれません。

経済がダメだと人心が荒むナチス前の反省からかどうか、「EUで独り勝ち」と文句を言われても自国の経済発展に邁進するというのは、多分ドイツにとっては正しいのだと思います。
でも移民・難民を第二のユダヤ人にしないためには、すべきことがまだあるのではないかと思ったりします。
理性と良心を国から試験されてるようなドイツ国民、って感じが、今はしますもんねえ。
「もうこれ以上難民は無理だ」と言ってる人達をナチ呼ばわりする社会ですから。
今度は「そんな良心のない人間は出ていけ」になるのかな?
それは人種で区別してるわけではないからOKになるのだろうか。
難民を受け入れるか受け入れないかの是非が問題なのではなく、大事なのは「不安を減らす」、これ一点だけだと思うのですけどね。

ドイツの将来に不安を抱える人達がこれから増えるのか減るのか。
「ナチスを生み出した反省」と一言で言うけど、難しいですね。
反省って、ナチス的なものが出てきた時に叩きつぶすってのもあるけど、そもそもナチス的なものを生み出さない社会作りが大事じゃないの?と思ってて、デスクワークで個々の町の事情を考慮に入れずに、住民のほとんどが高齢者という地方の小さな町に大勢の難民を受け入れさせて失敗したとかいう話を読んだりすると、「ほんとに反省してるのかいな?」って正直思ったりします。

番組の最後で「複数性に耐える」と出てきたけど、政府の難民対策に反対して極右政党に投票した人達を、他のドイツ人はドイツの中の複数性として認めてるのかどうか、ここは真面目に気になるなあ。
日本も総選挙があるけど、こっちは野党がわけわからんことになってるし、「複数性に耐えよう」と言われても、複数の内訳すらどうなっているのやら。

いよいよ難しい時代になってまいりました。




by teri-kan | 2017-09-29 12:00 | 本(歴史書・新書 海外) | Comments(0)